外資系の英語勉強法|仕事で使う場面から絞るのが近道だった
英語を使う職場に入った。会議で意見を求められて詰まる。メール作成に時間がかかる。月次レポートを本社に報告する——英語が「試験」ではなく「業務」になった途端に、何をどう勉強すべきか分からなくなるのではないでしょうか。単語帳のやり直しか、会話練習か、それともコーチングか。時間は限られているのに選択肢だけが多く、本当に必要な学習が見えない状態です。
「外資系 英語 勉強法」で検索すると、実務経験者による学習法やTOEICの点数を目安にした解説など、さまざまな記事が並びます。けれども、そこに書かれているのは書いた人の職場と時間の中での勉強方法であって、あなたの状況と同じとは限りません。本当に知りたいのは、限られた時間の中で英語を業務で使える状態に近づける、自分に合ったやり方ではないでしょうか。
実際に、働きながら英語を学び直した人たちがいます。外資系企業で15年働く経理の方は、アメリカ本社へのレポーティングの仕事を続けるうちに「ワンステップ上の英語力の必要性を感じ」、学び直しを決めました。最初に手をつけたのは教材選びではなく、勉強に使える時間と学ぶ範囲を決めることでした。外国籍の上司・同僚と働くマネージャーの中村さんも、上司がアメリカ人に変わるタイミングで英語を学び直し、週2コマのペースでレッスンを続けました。
2人はいずれも、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、外資系企業で働きながら学んだ人の声も残っています。この記事では、その声をもとに、外資系で通用する勉強方法の組み立て方を見ていきます。
外資系で必要なのは「試験の英語」ではなく、仕事で使う英語
まず、外資系で働く4人が実際にどんな場面で英語を使っているのかを見てみましょう。実際にどのように勉強していくのかは、その後で十分です。
TOEIC対策の講座を探すと、「リスニング400点を目指す」「スピーキングを鍛える」というように、技能全体の底上げを目標に掲げるものが多くあります。しかし現場では、そうした「全方位型」の英語は求められていません。なぜなら、外資系の職場で英語が必要になる場面は、職種と部署によって大きく異なるからです。
レポーティング・会議・外国籍の上司——英語を使う場面は人によって違う
経理の方は、ずっと経理の仕事を続けていて、ここ15年は外資系企業で働いてきました。英語を使うのは、主にアメリカ本社へ数字を報告する場面です。
一方、マネージャーの中村さんの環境は全く違います。「取引先は国内の会社が中心ですが、上司や同僚が他国から来日している外国人なので、1人でも外国籍のメンバーがいるミーティングでは英語を使用します」。中村さんに必要なのは、外国籍のメンバーがいる会議で話せる英語です。
化学メーカーで働く営業・マーケティングの上原さんは、「外資系の化学メーカーなので、お客様は日本人が多いのですが社内の会話は半分くらい英語です」と説明します。社内の会話の半分が英語ということは、仕事の話も日常のやりとりも英語で進むということです。
さらに外資系製薬で働いていた方は、「仕事では英語を話す機会は少なかったのですが、英語の文書を読む、英語でメールやレポートを書くなど、英語を使う場面は日常的にある環境でした」と述べています。この方の場合、必要なのは話す英語より、読み書きの英語でした。
同じ「外資系企業」という括りでも、レポーティング業務、会議のスピーキング、日常会話、メール・文書作成——必要とされる英語は、まったく違います。だから「全技能をバランスよく」という学習は、外資系で働く人にとって時間の無駄になりかねません。
「読める・書ける」のに話せない、が外資系の典型
外資系の現場で繰り返される、もう一つのパターンがあります。
製薬企業で働いていた方は、「仕事上では、レポートやメールで頻繁に使う英単語やフレーズを駆使していたのみで、型に当てはめた英語しか使えませんでした」と振り返っています。
この言葉は、外資系で働く多くの人に当てはまります。仕事で使う英語は、決まった型の繰り返しになりがちです。「売上報告のメール」「プロジェクト進捗のレポート」「会議での報告」——こうした定型業務では、使う表現の幅は案外限られています。その型を覚えれば、その業務での英語は機能します。
読み書きが多い職場ほど、「英語は回っている」という感覚になります。想定外の質問や型にない雑談が始まった瞬間に、言葉が出なくなります。これは努力不足ではなく、業務がその型の範囲の英語しか求めてこなかった結果です。
逆に言えば、全く話す機会のない「旅行英会話」や「雑談の言い回し」を学ぶことは、外資系で働く人にとっては優先順位が低いのです。
英語を使う場面が決まれば、勉強の範囲は絞れる
経理の人が営業の英語を学ぶ必要はありません。会議メインの職場で、レポーティングの英語を延々と練習する意味もありません。
4人に共通するのは1つです。自分の職場で「英語が要る場面」を特定できれば、勉強すべき内容はおのずと決まります。
この特定は難しくありません。直近2週間のカレンダーとメールの受信箱を見れば、英語が要る場面は拾えます。どの会議で英語が出るのか、どんなメールが届くのか、何の文書を読むのか——答えは日常業務の中にあります。「TOEICの点数を上げる」より先に、「月次レポートを英語でまとめる」「会議で意見を言えるようになる」のように、使う場面で目標を立てる。それが外資系の英語勉強法の出発点です。
場面が異なれば絞り方も異なるため、次章では彼らが何を捨てて何に絞ったのか、その決め方を見ていきます。
「全部やる」をやめる——絞り込みで勉強法を決めた人たち
かける時間には限界があります。それなら、すべての英語を鍛えるのではなく、今の仕事に必要な部分だけに絞る。何に絞るかで、やるべき勉強法が変わります。
絞り込みが要る理由は、時間の有限さだけではありません。ビズメイツ株式会社の第28回ビズメイツ調査「英語学習の挫折実態2025」(n=109、2025年6月実施)では、社会人になってから英語を学習した経験がある会社員の84.4%が、自ら定めた目標を達成する前に挫折した経験があると回答しています。そして課題の上位には「学習を継続すること」(53.2%)と並んで、自分の英語力においてどのような学習方法が最適かわからなかった、という項目(51.4%)が挙がっています。多くの社会人がつまずいているのは、英語そのものの難しさの手前——何をどれだけやるかを決める段階だということです。この章で見る2人は、その段階でつまずかないように、先にやることを絞り込んでいます。
期限と優先順位から決めた人
外資系コンサルティング会社で働く川本さんは、入社前から時間配分を計算していました。
35歳までに英語・財務(会計)・ITの3つのスキルを身につけると決めていて、「まずは1番時間がかかりそうな英語をやると決めた」と語ります。その上で、タイミングも決まっていました。「1月から始まる新しいプロジェクトが英語を使うプロジェクトになりそうだ、というのがひとつ」。
川本さんの中では、2つの理由が同じ答えになっていました。ひとつは、35歳という期限までに3つのスキルを身につけるなら、一番時間がかかる英語から始めるしかないこと。もうひとつは、1月から始まる新しいプロジェクトで英語が要ること。どちらから考えても「今は英語に集中する」という同じ答えになったから、迷わず始められています。
つまり、川本さんは何を「やる」かではなく、何を「やらない」かを先に決めていました。財務も情報技術も大切だけれど、今は英語に時間を使う。その代わり、他の分野は後回しにする。そうすると、英語の中でも「今すぐ要る部分」と「後で良い部分」が見えてきます。
川本さんが選んだのはリスニングでした。「ミライズ留学へ来る前の2ヶ月間は、英語の動画をたくさん観てリスニングの練習をみっちり行なってきました。先生が何を言っているのかわからないと、自分も英語で何を言えばいいのかわからないし、コミュニケーションの基本はリスニングだと思っていたからです」。
何をやるかを決めるときも、すでに絞り込みは始まっています。「最初はスティーブ・ジョブスのスピーチから始め、リズムがつかめてきたところで自分の好きなスピーチを探し、どんどん広げていきました」。教材は無限にありますが、川本さんは「自分の好きな内容」に限定しました。つまらない教材では続きません。だからこそ、興味のある分野の英語音声から始めることで、続けやすくしたのです。
教材も、最初は1本に絞っています。1本を聞き取れるようになってから、次の1本へ広げる。この順序なら、無数にある教材の中で迷子になりません。
実務の場面から絞った人
シンガポール勤務のプロダクトマネジメントの佐藤さんは、別の絞り込み方をしていました。職場での英語の使い方を見つめ直すことから始めたのです。
「私の場合社内で英語を使う機会が多いので、ミーティング中の英語やメンバーとの交渉で使う英語に絞ったのですが、初日にコアティーチャーがゴール設定をしてくれて、実践的なテキストも用意してくれたのには驚きました」と語ります。
先に場面を決めたので、教材も練習の中身もゴールも、その場面に揃いました。逆に「英語を話せるようになりたい」という漠然とした目標で始めると、学習は汎用教材の順番に引きずられます。最初に場面を決めることが、その後の選択を全部決めるのです。
佐藤さんが「絞った」というのは、読む力や聞く力のバランスではなく、使う場面です。会議で必要な英語と、メール報告で必要な英語は違います。その場面ごとに、要る表現も文法も異なります。あなたが同じことをするなら、勉強を始める前に、自分の仕事で英語が要る瞬間を3つ、具体的に書き出してみてください。
セルフ診断——あなたが絞るべき範囲はどこか
では、あなたはどこに絞れば良いのか。次の5つの質問を見て、当てはまるものをチェックしてください。
複数当てはまっても、すべてには対応できません。直近1ヶ月で、会議で聞き返された、メールの作成に時間がかかった、報告で誤解が生じた——実際に支障が出た場面を思い出し、もっとも損失が大きかった1つだけを選んでください。それが、あなたが今、一番に取り組むべき課題です。
Q1: 直近3ヶ月の業務カレンダーに、英語の会議・電話が週1回以上入っている→当てはまる場合、会議・スピーキング系に絞る。聞き取れない→返答できない、この連鎖を止めることが優先です。
Q2: 英語のメール・レポート提出が定常業務にある→当てはまる場合、ライティング(書く力)と、そこで使う語彙・型に絞る。読む・聞く力は、メール内容から学ぶだけで足ります。
Q3: 読めば分かるが、口頭になると単語しか出ない→当てはまる場合、話す訓練を先に。読解の追加学習は、話せるようになってからでも遅くはありません。
Q4: 相手の英語が聞き取れずに会話が止まることが多い→当てはまる場合、リスニング・発音側から攻めてください。川本さんのように、聞き取りが変わると、話す自信も変わります。
Q5: 英語を使う場面がまだ確定していない(これから入社・異動する予定)→当てはまる場合、基礎の底上げと、入社前に集中期間を作ることに絞る。この場面については、次の章で詳しく見ていきます。
絞る範囲が見えたら、次は実例です。15年外資系で働いてきた人が、限られた時間で一段上の英語力をどう目指したのか。
実録——外資系で15年働く経理の方は、どうやって一段上の英語力を身につけたか
集中期間を作るのは才能ではなく、期間と時間帯を先に決めることです。この章では、限られた期間で一段上の英語力を目指した人の歩みを、本人の言葉を引用しながら見ていきます。
外資系経理15年——今より一段上を目指す
冒頭で触れた経理の方は、英語で日々の業務をこなし、アメリカ本社へのレポーティングも担当してきました。英語で困っているわけではありません。
似た状態に心当たりのある方は多いはずです。メールは読めますし、簡単な報告もできます。上司の指示も理解できて、日々の業務に支障はありません。だから「英語はもう十分だ」と思ってもおかしくありません。けれども、いまの仕事をこなせていることと、この先も今の英語力で足りることは、別の問題です。この方は、困ってから慌てて学び始めたのではなく、仕事をこなせているうちに次の準備を始めました。
その転機を、本人はこう語っています。
その後も引き続き外資系企業で英語を使ってレポーティングの仕事をしていくうちに、ワンステップ上の英語力の必要性を感じ、今回のセブ島留学を決めました。
できないから学ぶのではなく、こなせているからこそ次が見えます。15年同じ業務を英語でこなしてきた人の「ワンステップ上」とは、いまの英語力でこなせている仕事の、その先を指しています。自分の英語がどこまで通用していて、どこからが手つかずなのかを、本人が把握しているということです。
制約は学習の敵ではなく、計画の材料
経理の方が学び直しを始められたのは、意志が強かったからではなく、先に時間の使い方を決めたからです。
最初はアメリカ等の英語圏も検討しましたが、スケジュールの都合で1か月しか時間が取れなかったので、セブ島は日本から近く行きやすいことと、1:1のマンツーマンレッスンが受けられるので、短期留学でも効果的ではないかと思い、再度セブ島へ来ることを決めました
さらに、ここにもう1つの条件が重なります。
実は現在、会計の資格試験勉強中で、通常通り朝から夕方までレッスンを受けるのは難しく、午後の時間は試験勉強に充てたかったので、レッスンが4コマのみの海外ワーカーコースを選びました
順序を整理すると、こうなります。
- 確保できる時間を先に確定する(取れるのは1ヶ月・午後は使えない)——時間が短すぎると感じても、まずは決めた時間をきちんと守る習慣をつけることが先です。
- その時間に収まる形式を選ぶ(1対1のレッスン・午前のみのコマ数)——時間が先に決まっていれば、形式の選択で迷う余地は小さくなります。
- 英語以外の予定を犠牲にしない(午後の資格勉強は計画どおり続ける)——何かを犠牲にした計画は、犠牲にした側が崩れたときに全体が崩れます。
英語のために資格を諦めるのでも、資格のために英語を後回しにするのでもない。資格勉強は計画どおり続けつつ、確保できる時間だけを英語に充てるやり方です。
「集中の環境」を選ぶという判断
もう1つ確認しておきたいことがあります。それは、集中して学ぶ期間を作るのは今回が初めてではない、ということです。
英語は前から習っていたので、すでに英語を使ってコミュニケーションが取れるレベルではありましたが、毎日韓国人の友達と日常を過ごす事によって、朝から晩まで英語で過ごすことが苦痛ではなくなり、セブ島留学の効果を実感しました
これは11年前と9年前の経験を振り返った言葉です。過去に集中して学ぶ期間を作り、その後も外資系での実務を続け、必要を感じた今回、また同じように期間を作っています。キャリアの節目ごとに「いま自分に必要な英語は何か」を考え、そのたびに集中して学び直しています。
本人の言葉から言えるのは、朝から晩まで英語で過ごすことが「苦痛ではなくなった」という変化が、その後の実務の英語を支える土台になっていたということです。日常の細切れの学習では作りにくいこの状態を、経理の方は期間を区切って作りに行きました。
あなたが同じ計画を立てるなら、手順は3つです。
- 確保できる期間と時間帯を、先にカレンダーで固定する。1ヶ月のまとまった期間でも、毎朝30分でも、週2回の夜でも、形は何でも構いません。決めた時間をきちんと守る習慣をつけることが、計画を現実にする最初の一歩です。
- その時間の中では、絞った範囲だけをやる。時間が短いほど範囲を広げたくなりますが、時間と範囲の両方を固定して初めて、進んだかどうかを自分で判定できます。
- 英語以外に続けたいことを犠牲にしない。犠牲にした側が限界を迎えたとき、英語ごと止まります。
経理の方の計画が示しているのは、時間は長さよりも「守れること」が先だという順序です。集中期間を作れる人ばかりではありません。働きながら学習を続けた人たちを、次章で見ていきます。
働きながらの勉強法——時間・教材・アウトプットの3つの決め方
忙しい時期こそ、勉強が止まりやすい。ここから見るのは、その課題を3つの決め方で乗り越えた人たちの方法です。
決め方1:時間——細く長く続く形にする
「時間ができたら本気を出す」と考えているうちは、学習はなかなか始まりません。時間は待っていてもできません。続いている人は、先に週の決まった時間を作っています。
中村さんは、日本に帰国後は「1週間に2コマ程のペースでミライズ英会話渋谷校に通っていたのですが、『もっとブラッシュアップをしたい』『もう一度集中してみっちりと英語を勉強したい』と思い、今回のセブ島留学を決意しました」と述べています。週2コマという日常の学習を続けたまま、節目に「短く濃く」の集中を上乗せする——ゼロから始め直すのではなく、続けているものに足す形です。
テレビ局勤務の方の順序は逆でした。英語から離れて「その後2年程経過して英語のテストを受けたところ、散々な結果となり、これはまずいと思い、現在に至ります」という危機感が先にあり、「そこからオンライン英会話を約5年間継続しております」と、日常の学習を作り直しています。
なぜこのやり方が効くのか。忙しい時期に「全部止まる」のを防ぐためです。日常は細く、節目だけ濃くと分けておくと、忙しい数ヶ月で学習が完全に止まる事故が起きません。
あなたがやるなら:
- まず、週の決まった時間を2つ作る。例えば、月曜と木曜の20時に25分ずつ。業務の変化に左右されない「その曜日の約束」と位置づけます。
- 四半期に1回、転職や入社といった節目に、集中して学ぶ期間を予定に入れる。まとまった時間が取れるタイミングが決まっていれば、日常の学習との切り替えがしやすくなります。
- 止まった週があっても、その予定は手帳から消さない。完全に止めるのではなく「この週は1回だけ」という減らし方にすると、復帰しやすくなります。
決め方2:教材——自分の実務を持ち込む
外資系の職場で使う英語は、汎用的な「英語」ではなく、自分の業務の英語です。その距離を最短にする工夫が、教材の選び方に現れています。
中村さんは「仕事で、採用など人事に関わる会議も行うことがありますが、そのシチュエーションを先生に希望したところ、次の日には私の会社の情報を調べてまで、カリキュラムを作成してくれました!」と述べています。汎用教材で学んでから自分の業務に当てはめるのではなく、最初から自分の会社の採用会議を想定して練習を組む流れです。
川本さんも「たとえば次のプロジェクトで想定されるフィリピン人とのやりとりのロールプレイをしたときも、僕の予想を超えて、しかも僕自身が納得できるアドバイスをしてくれました」と経験を記しています。来るべき場面を教材にすることで、学んだ表現がそのまま使える形になるのです。
IT広告出身の方は、教材そのものを自分の側に引き寄せています。「僕が日本から持ってきた参考書に置き換えて欲しいと言ったら、ちゃんと全部印刷してカスタマイズして問題を作ってくれ」と語るとおり、用意された教材ではなく、自分で選んだ教材を練習の中心に据えました。与えられた教材の順番に従うのではなく、教材を自分の文脈に合わせて置き換える——方向は中村さん・川本さんと同じです。
なぜこの方法が効くのか。仕事で使う英語は、自分の業務・自分の資料・自分の相手とのやりとりだからです。汎用教材を業務に当てはめるより、業務そのものを教材にした方が、練習と本番の距離が短くなります。
あなたがやるなら:
- 直近の会議・報告書・議論になったメールを1つ選ぶ。
- その中で出てくる表現・専門用語・議論の流れを、20個程度書き出す。
- レッスンを受けるなら、この実物を先生に見せて「この場面で自分なら何と言うか」を練習の中心にする。参考書との違いは、正解が1つではなく、その場面に応じた言い方のポイントが引き出せることです。
決め方3:アウトプット——独学で伸びない部分を外に出す
読む・聞く・覚えるは1人で回せます。ただし、話す・発音・癖の矯正は、相手と指摘者がいないと進みません。
中村さんは「社会人で時間の少ない方など、独学だけですとどうしてもインプット中心になり、アウトプット不足で、スピーキング力は伸びにくいと思います」。独学の限界はここにあります。
上原さんも「典型的な日本人の弱点だと思うのですが、英語を話す時に抑揚を付けずにフラットに話す癖がありました。今回英語のイントネーションやアクセントを学ぶことによって、それらを非常に気をつけて話すようになりました」。自分で気づかない癖は、自分では直せません。指摘してもらう場があることが、初めて軌道修正が可能になるのです。
なぜこのやり方が効くのか。会議で聞き取れない・反応が遅い・発音で聞き返される、という悩みは、すべてアウトプット段階で初めて見える問題です。それを独学のインプットだけで解こうとしても、自分の弱点が把握できないから、対策の立てようがありません。
あなたがやるなら:
- 週の決まった学習時間のうち、最低1つは「話す場」にする。オンライン英会話、グループレッスン、メンタリング、いずれでもよいです。
- 発音・イントネーション・話すスピードは、自己判定を当てにしない。指摘をもらうたびに「なぜその言い方なのか」という理屈を聞くと、次に似た場面で応用できます。
- 会議で聞き取れなかったフレーズ、反応が遅れた表現が出たら、その週のレッスンに持ち込む。課題から遡ってレッスンを組むことで、学んだことがそのまま実務につながります。
最後に残るのが「まとまった時間が取れたとき、何をするか」。転職の谷間や入社前の時間の使い方を見ます。
「知っている英語」を、話せる英語に。シャベリッシュの無料カウンセリングでは、スピーキングの現在地診断と、期日から逆算した学習プランをお持ち帰りいただけます。無料カウンセリングを予約する転職の谷間・入社前——まとまった時間が取れるときの使い方
最後は、転職の谷間や入社前など、まとまった時間が取れるタイミングをどう使うかを見ていきます。
転職の谷間——課題を明確にして帰る
外資系での環境が変わるタイミングは、学習の強い動機になります。
営業・マーケティングの上原さんは、転職の狭間に決断を下しました。「今まで勤めていた会社がヨーロッパの会社で、次はアメリカの会社に勤めるので今まで以上に英語を使用する頻度が増えると思い、セブ島留学を決意しました」。勤務企業が変わるだけで、使う英語の「量」が変わってくるわけです。
上原さんは「仕上げ」ではなく「課題の明確化」を成果として語っています。「そして今回自分の課題が明確に分かったことは大きいですね」「これから日本へ帰国して、セブ島留学で見つけた課題を元に英語学習をすることが楽しみなくらいです」。
転職の谷間に集中期間を作る価値は、仕事を始める前に自分の弱点を知れることです。職場に入って日常に紛れると、弱点を自覚する機会は減ります。けれども、集中した環境で自分の英語を試すと、「この部分が足りない」とはっきり分かるようになります。上原さんはその課題を手に入社の日を迎えます。「楽しみなくらい」という言葉が出てくるのは、入社後の日常学習が改善の道筋を持った学習になるからです。
入社前——基礎の底上げに割り切る
一方で、これから外資系に入る人は、限られた時間で基礎と応用のどちらを優先するかという判断を迫られます。
これから外資系に入る方の選択は明確でした。「次の会社が外資系企業で英語を使う機会が多くなります」と語るこの方は、「帰国後すぐ、仕事が始まるので、その前の1週間で留学に行こうと思いました」と、極めて限定的な時間の中で判断しています。
その1週間は、「完璧を目指す」学習ではありませんでした。変化を聞くと、「英語を聞き取れるようになって来ました。前は全くわからなくて毎回どういう意味?と聞いていましたが、今は耳が慣れて来たなって思います」。入社直前の集中は、「聞ける耳を作る」という限定的な目標に絞られていました。そして本人は、同時にこうも振り返っています。「まずは自分でちゃんと勉強して基礎力をつけてから留学した方が効率的だなと思います」。
ここに、入社前の学習の現実があります。1週間しかなければ、全部はできません。この方はその1週間で、仕事が始まったらすぐ必要になる「聞き取れる耳」だけを優先しました。
いま学び続けている人たち
では、学習を続けている人たちは、いまどうなっているのでしょうか。
シンガポール勤務の佐藤さんは、いくつものやり方を試してきた人です。「私もシンガポールの語学学校にも行きましたし、1年ほどオンライン英会話も続けていますが、一番確実に伸びたと実感できたのがミライズ留学でした」。そして、いまの職場での気持ちをこう語っています。「実は、今の職場は多国籍な環境で皆英語が堪能なので、自分の英語力に引け目を感じて少し悩んでいたタイミングだったんです」。
周りが流暢な環境で引け目を感じるのは、外資系で働く多くの人が経験することです。佐藤さんの場合は、その引け目が学び直しのきっかけになり、集中して学んだことで「伸びた」という実感に変わりました。
コンサルティング会社のSEである川本さんも、変化を実感しています。「1番変わったな、と思うのはスピーキングですね。最初の1週間は、自分の思ったことが英語で言えていないと感じていました。だんだんと自分が言いたいことを英語で言えるようになってきたと実感しています」。最初にリスニングに絞った人が、その後スピーキングの伸びを実感しています。何を先にやるかを決めたことが、後の伸びにつながっています。
集中して学び始めるきっかけは、人それぞれです。外資系への転職、昇進、職場での引け目。共通するのは、自分の選択肢を広げたいという思いです。IT広告出身の方はこう語っています。「もう1つは、転職を考えたときに、英語が出来ないことによって、次の会社の選択肢が狭まっているなと感じたことも、大きかったです」。勉強の理由は、今の仕事のためだけでなく、次のキャリアのためでもあるのです。
誰も「これが正解の勉強法だ」とは言っていません。全員が、自分の場面と時間に合わせて計画を作り、直しながら続けています。うまくいったりいかなかったりを繰り返しながら学び続ける——それが、外資系で働きながら英語を学ぶ現実の姿です。
最後に、今日から何をすればいいかを整理します。
まとめ|外資系の英語勉強法は「絞る・時間を決める・実務を持ち込む」
外資系の英語勉強法に一般解はありません。この記事に登場した人たちは、自分の使う場面と時間に合わせて、学習のやり方を決めていました。
整理すると、視点は次の5つです。
- 自分の英語が要る場面を特定する。会議なのか、メール対応なのか、レポーティングなのかで、必要な英語は異なります。
- 診断で学習範囲を絞り、いま業務で困っている領域だけに集中します。
- 学習時間は、日々の決まった時間と、節目の集中期間の2つに分けて決めます。分けておくと、忙しい時期に学習のすべてが止まる事故を防げます。
- 教材に自分の実務を持ち込みます。直近の会議や自分の業務の頻出表現を素材にすれば、練習した英語を職場でそのまま使えます。
- 独学で伸びない部分(話す・発音)は外に出し、指摘がもらえる相手のいる環境で練習します。
教材を増やす前に、時間と範囲を決める。それが、外資系で働きながら英語を学んだ人たちに共通していた順序です。
