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ディクテーションのやり方|書き取りは練習ではなく、原因を見つける検査

リスニング

書き取った英文をスクリプトと並べたら、空欄がいくつも残っていた。埋まらなかったのは、読めば意味が分かる単語ばかり。巻き戻して聞き直しても、手が止まる場所は変わらない——そんな経験はないでしょうか。

ディクテーションとは、聞こえてきた英語の音声を、一字一句そのまま書き取るトレーニングです。リスニング教材や海外ドラマの音声を流し、聞こえたとおりに紙やパソコンへ書き出していきます。

学習アプリにも標準機能として組み込まれており、手をつけたことがある方は多いはずです。

ただ、書き取って答え合わせをしたところで止めてしまうと、次に何をすればいいのかは分かりません。

「書けなかった」という事実は残っても、なぜ書けなかったのかは残らないからです。

この記事では、ディクテーションのやり方の4ステップと、書き取れなかった原因の4分類、そして原因ごとに次へ何をやるかをお伝えします。書いているのは、英語コーチングスクール・ミライズです。私たちが運営する発音に特化したオンライン英語コーチング「シャベリッシュ」で、実際に教えている内容をもとにしています。

リスニングは、伸びる人と止まる人に分かれている

アイキューブの「社会人の英語学習に関する実態調査」(n=332、2025年8月)に、気になる数字があります。

英語学習で最も成長を感じたスキルの1位はリスニングで36.1%。ところが、最も苦手なスキルでもリスニングは2位で25.3%でした。1位のスピーキング54.5%に次ぐ多さです。

同じリスニングが、「伸びた実感がある」の1位と「苦手なまま」の2位に同時に入っています。同じ時間をかけても、結果が分かれているということです。

この調査では、学習方法の1位が英語学習アプリで48.2%でした。ディクテーション機能を備えたアプリも多く、手をつけている人は少なくないはずです。

それでも結果が分かれるなら、分かれ目は練習の量ではなく、練習の選び方のほうにあります。

聞き取れない原因が単語不足の人と、音声変化を知らない人とでは、やるべきことが違います。

例えば、単語を知らないことが原因の人が毎日シャドーイングを1時間やっても、聞き取れる範囲は広がりません。逆に、音声変化を知らないだけの人が単語帳を1冊終えても、同じところで詰まります。

自分がどちらかを知らないまま同じ練習を続ければ、片方は伸びて片方は止まります。

同じ調査では、英語力の課題の1位が「瞬時に言葉が出てこない」で60.2%でした。

話す側の課題は自分で気づけますが、聞き取りは「聞き取れなかった」までしか分かりません。 何が原因で聞き取れなかったのかは、放っておくと最後まで見えないままです。

だから、原因を見えるようにする工程が要ります。ここで役に立つのがディクテーションです。

ディクテーションは、聞き取れない原因を見つける検査

シャベリッシュのメディアでは、ディクテーションをこう位置づけています。

ディクテーションとは、聞こえてきた音声を書き取るトレーニングで、リスニングの弱点把握や苦手分野の分析にも有効です。聞き取れにくい音が明確になれば、集中的に発音矯正を行うこともできます。

弱点の把握と分析。つまり、聞き取る力そのものを鍛える練習ではありません。

書き取れなかった箇所は、自分がどこでつまずいているかを示します。そこから何をするかで結果が変わります。

例えば、健康診断で数値の異常が見つかったとします。次にやるのは、もう一度健康診断を受けることではなく、その数値に応じた治療です。

書き取ること自体が目的ではない、というのはそういう意味です。

シャベリッシュのプログラムも、同じ順番で組まれています。学習開始時と卒業時に独自の発音診断テストを実施し、全71のチェック項目から優先順位の高い発音を抜き出して、そこにしぼったカリキュラムを作ります。

先に測り、弱いところを見つけ、そこだけを練習する形です。

延べ1万人の受講者に提供してきた発音レッスンをもとに教材が作られていますが、全員に同じ内容を渡しているわけではありません。 何を練習するかは、診断の結果で変わります。

卒業時にもう一度同じテストを受けるので、どこがどれだけ変わったかが数字で残ります。 測る、見つける、練習する、また測る。この4つを回す形です。

ディクテーションを自分でやる場合も、この順番は同じです。まず測って、原因を見つけて、そこから対策に移ります。

原因を見つけてから練習した人は、聞き取れるようになっている

順番を守ると何が起きるのか。実際に原因を見つけてから練習した方を見ます。

パーソナルトレーナーとして働く三井さんは、自分が聞き分けられない音があると分かってから、その音の練習に入っています。

「自分が発せられない音は聞き取れない音」というのを伺っていて、はじめは半信半疑だったのですが、たとえば今までは同じ音のように聞こえていた「L」と「R」の発音も、学習が進むにつれて全然違う音だと分かるようになり、聞き取ることができるようになっていきました。

海外クルーとのやり取りをする佐野さんは、苦手な音のかたまりを名指しできる状態にしてから練習しています。

私は2つの音が繋がって発音される「リンキング」が苦手でした。リンキングとは通常は発音しない語尾の子音が、次の語頭の母音とつながって発音される日本語にはない法則です。

毎朝1時間を確保して練習しました。復習がやりやすいようにレッスンで使用したスライドをプリントし、苦手部分は反復練習をするように心がけていました。

会社を経営するH.Tさんは、文の単位で聞こえ方が変わったことを挙げています。

受講前は長い英文だとリスニングが追い付かず、呪文のように聞こえていたのですが今はしっかり英語が聞こえてくるようになりました。これも発音のルールを体系的に学べたおかげだと思っています。

自営業の古庄さんは、自分では気づけなかった箇所を人に見てもらう形を取っています。

この面談では発音のプロであるコーチから自己学習では気づくことができなかったような細かいフィードバックをいただき、確実にレベルアップをすることができました。

4人に共通しているのは、闇雲に量を増やしたのではなく、自分の弱い箇所が分かったうえでそこを練習していることです。

ディクテーションは、その弱い箇所を自分で見つけるための道具にあたります。

やり方は4ステップ

手順は4つあり、上から順番どおりに進めることで、最後の原因分けまでたどり着けます。

  1. 教材を選ぶ。正確なスクリプトがある1分から2分の音声を用意してください。リスニング教材でなくても、字幕付きの海外ドラマや、日本語訳のついたポッドキャストで構いません。
  2. 書き取る。音声を何度も再生しながら、聞こえたとおりに書き出していきます。スペルが分からない箇所はカタカナでメモし、聞き取れない箇所は空欄のままで先へ進みます。文法や文脈から推測して埋めても構いません。
  3. 答え合わせをする。これ以上は無理というところまで書き取ったら、スクリプトを見て照合します。大文字・小文字、冠詞、複数形のs、句読点まで細かく確認します。
  4. 原因を分ける。聞き取れなかった箇所を1つずつ見て、なぜ書けなかったのかを次の章の4分類に当てはめます。

4つ目が本番です。 ここを飛ばすと、書き取って丸をつけただけの作業になります。

例えば1分30秒のニュース音声なら、書き取りに10分、答え合わせと原因分けに5分。1回15分ほどで終わります。

書き取る段階では、正確さより先へ進むことを優先してください。最後まで通してから最初に戻るほうが、1文ずつ完璧を目指すより早く終わります。

答え合わせで見つかった間違いは、次の2種類に分けてください。大文字・小文字や句読点のような表記の違いと、単語そのものを聞き逃した違いです。

表記の違いは聞き取りの問題ではないので、次の分類から外します。

書き取れなかった原因は、4つに分かれる

答え合わせが終わったら、書けなかった箇所を次の4つに当てはめます。

書き取れなかった状況原因次にやること
スクリプトを見ても意味が分からなかった単語・文法知識の抜け漏れ語彙と中学文法に戻る
聞き取れなかったが、知っている単語だった発音・音声変化を知らなかった発音の練習に移る
何度も聞くうちに聞き取れた英文処理のスピードが遅い速読で読む速さを上げる
意味を知らない単語や表現が多かった教材の難易度が高すぎる教材を替える

判断は上から順に進めます。まずスクリプトを見て意味が分かるかどうかを確かめ、分かるなら知っている単語かどうかを確かめます。

知っている単語なら、次は何度も聞けば聞き取れるかどうかです。目安は3回で、3回聞いても変わらなければ教材の難易度を疑ってください。

IT業界でスクラムマスターとして働く兼平さんは、通っているスクールでの経験をこう話しています。

弱点をきちんと教えてもらって、自分が克服できるようなサイクルがミライズ英会話 池袋校にはあると思います。

右端の列を見ると分かるとおり、4つのどれであっても、次にやることはディクテーション以外にあります。1つずつ補足します。

①②は、知識が足りていない場合

①単語・文法が原因だった場合。 動画制作の仕事をする兒玉さんは、聞き取れる・聞き取れないの違いをこう説明しています。

ただ、自分の知らない単語やフレーズだと聞き逃してしまうのですが、習ったことのあるフレーズが出てくると、「あ、これ知ってる!」と聞き取れるようになりました。

知らない単語は、どれだけ耳を鍛えても聞き取れません。聞き取れなかった単語をリストにして、意味と音を一緒に覚え直してください。

文法については、シャベリッシュのメディアが範囲を絞っています。

中学3年間の基本文法を押さえておくことで、ほとんどの英文は単語やイディオムさえ知っていれば理解できます。

②発音・音声変化が原因だった場合。 書き取れなかった単語を、自分で発音してみてください。例えば "turn off" は、単語だけを見れば「ターン・オフ」ですが、実際には「ターノフ」のように聞こえます。

スペルどおりの音を待っていると、いつまでも書き取れません。ここは前の章の3人と同じ道です。

③④は、知識はあるが条件が合っていない場合

③処理速度が原因だった場合。 シャベリッシュのメディアは、リスニングから離れることをすすめています。

英文処理スピードを上げるには、英語を日本語を介さず、そのままの語順で理解するくせをつける必要があります。この場合は、一旦リスニングから離れて、(または並行して)速読トレーニングを取り入れてみてください。

読む速さが上がると、聞き取れる速さも上がります。自分の読解スピードより速く流れる音声は、理解が追いつかないからです。

イベント会社に勤める佐藤さんのように、音声の速度を段階的に上げる形でも構いません。

最初はシャドーイングの音源を使ってゆっくりのスピードから始めて、やっと音源に追いついて出来る様になったら、その次は講師の話すもっと早いスピードについていける様にと少しずつスピードアップしていきました。

④教材が難しすぎた場合。 1分の音声に知らない単語が10個以上あるなら、教材を替えてください。

この状態では、①の語彙不足と④の難易度が重なっていて、どちらが主なのか分けられません。スクリプトを先に黙読して、辞書なしでおおよその意味が取れるかどうかが目安です。

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明日から、どう使うか

ディクテーションは検査なので、毎日やる必要はありません。

1回目で原因を分けたら、そのあとは対策に時間を使います。語彙が原因なら単語を覚え、発音が原因なら発音を練習し、処理速度が原因なら速読に取り組む。

検査と検査のあいだに何をやったかで、次の結果が変わります。

2回目は、同じ音声を使ってください。前回空欄だった箇所が埋まっていれば、その原因は片づいています。

埋まらないまま残る箇所があれば、原因の見立てが違っていたか、対策の量が足りていません。

間隔は、週に1回でも月に1回でも構いません。例えば「単語帳を1冊終えたら次の検査」のように、対策を1つ終えたタイミングで受ける決め方でも十分です。

毎日の時間は、検査ではなく対策のほうに使ってください。

IT系企業に勤める田中さんは、レッスン中の聞き方が変わったことを話しています。

それに以前は先生が言っててわからないことがあっても聞き流していたんですけど、今はどの部分が理解できないのか意識しながら英語を聞けるようになりました。

どこで詰まっているかを意識して聞けるようになると、ディクテーションをしていないときの聞き取りも検査になります。 そこまで来れば、書き取る回数は減らして構いません。

ひとつ注意があります。原因の見立ては、自分ひとりだと外れることがあります。

知っている単語だと思って②に分類したものが、実は発音を誤って覚えていて①だった、という取り違えは起こります。

経営者の北島さんは、優先順位を人に絞ってもらう形を挙げています。

思ったように自己学習の時間が取れずにいると、週に1回あるトレーナー面談で事情を汲み取ってくれ、「最低限ここの発音だけ意識してやってみましょう!」とピックアップしてくれました。

2回続けて同じ箇所が埋まらないときは、見立てが外れている可能性を疑ってください。そこだけ人に聞くのが、いちばん早く済みます。

まとめ|ディクテーションは検査。次にやることは書き取りの外にある

リスニングは、伸びる人と苦手なまま止まる人に分かれています。分かれ目は練習の量ではなく、自分の原因に合った練習を選べているかどうかです。

ディクテーションは、その原因を見つけるための検査にあたります。手順は、教材を選び、書き取り、答え合わせをし、原因を分ける4ステップ。1分から2分の音声なら15分で1回が終わります。

書き取れなかった原因は、単語・文法の知識不足、発音・音声変化の未習得、処理速度、教材の難易度の4つ。

そして4つのどれであっても、次にやることはディクテーション以外にあります。

まずは1回、原因を分けるところまでやってみてください。書き取れなかった箇所が、次に何を練習すべきかを教えてくれます。

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