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英語が聞き取れない|覚えた単語が聞こえない理由は「音の知識」不足

リスニング

単語は知っている。文を読めば意味も分かる。それなのに、耳から入ってくる英語は、どこで単語が切れているのかも分からないまま過ぎていく。もう一度再生しても、同じところで消える。何度聞き直しても、同じ箇所で詰まったままだ——そんな経験は、特に社会人の英語学習では誰にでもあるのではないでしょうか。

「英語 聞き取れない」で検索すると、原因が5つ、対策が3つ、という形で整理された記事が並びます。単語力の不足、話すスピード、音韻の理解。どれももっともです。しかし自分がどれに当てはまり、どこから手を付ければ実際に聞こえるようになるのかは、記事を読み終えても分かりません。

では、聞き取れないことを課題に挙げる人は、実際にどれくらいいるのでしょうか。英会話教室を運営する株式会社イーオンが、全国16歳〜69歳の男女を対象に実施した「英会話」に関する意識調査(n=1,000、2025年7月25日〜7月28日)によると、英会話の課題として『相手の英語のスピードについていけない、または聞き取れない』を挙げた人は27.0%で、『言いたいことがすぐに口から出てこない』38.0%に次ぐ2位でした。学習者に限らない一般調査ですが、聞き取りは代表的なつまずきの1つだということです。

実際に、聞こえ方が変わった人たちがいます。精神科医の髙木さんは、セブ島での1週間の集中訓練を終えた後、その変化をこう語っています。

発音矯正を受けて日本人が苦手とされる発音を徹底的に繰り返してトレーニングを行い、自分がその発音が出来るようになったら、自然と英語の発音も聞き取れるようになりました

髙木さんが取り組んだのは、聞く練習ではなく発音の練習でした。発音専門のシャベリッシュを受講した獣医師の中村さんも、自分がネイティブのように発音できるようになると、ネイティブの英語が聞き取れるようになったと語っています。

髙木さんも中村さんもミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されていて、聞き取りに悩んだ人の声も残っています。この記事では、聞き取れない原因を3つに分けて、自分がどれに当てはまるのかを確かめられるようにします。そのうえで、実際に聞こえるようになった人たちが何を変えたのかを見ていきます。

英語が聞き取れない理由——原因は語彙・速さ・音の知識の3つ

まず、「何が原因で聞き取れないのか」を3つに分けていきます。

1つ目は語彙——知らない単語は聞き取りようがない

そもそも知らない単語が出てくる場合です。会議で初めて聞く専門用語、新聞記事の時事語、業界独自の言葉。知らない単語が話された時点で、聞き取りようがありません。

この場合は対処がはっきりしています。その単語と定義をセットで覚えるだけで、次に聞いたときには理解できます。

2つ目は速さ——単語は知っているのに処理が追いつかない

単語は知っているのに、音声の速さについていけない場合です。

例えば、TED Talksは理解できるのに、映画の会話には追いつけません。字幕なしの動画は難しくても、スクリプト付きなら分かります。速さが上がると追いつけなくなるのが、この場合の特徴です。スクリプトを読めば意味は全部分かるという点が、次に見る3つ目との違いになります。

3つ目が音の知識——知っている単語なのに聞こえない

本記事で扱うのは、知っている単語なのに、その単語が聞こえない場合です。

スクリプトを見れば知っている単語ばかり。文法問題として出れば解ける。それなのに、聞いたときだけ消えてしまう。この矛盾に悩む人は、音の知識が足りていない可能性があります。

検索で見つかる「聞き取れない原因は5つ」という記事も、多くはこの3つのどれかに整理し直せます。「集中力が続かない」「不安になる」は、聞き取れないことの結果として起きている場合があります。原因を集中力のせいだと考えてしまうと、必要な練習が後回しになります。

英語は、書いた形と話された音がずれる

英語は、書き言葉と話し言葉が大きくずれています。文字で見た単語と、実際に話されたときの音が別物になることが頻繁に起きます。

具体的には、3つのことが起きます。

1つ目は単語同士がつながること。例えば「want to」は文字では2語ですが、話されるときには「ワナ」のように1つの音になります。「Did you」も「ディジュー」ではなく「ディジャ」と聞こえることがあります。

2つ目は音が消えること。「perfect」の最後の「t」のように、語尾の音がほとんど聞こえなくなることがあります。

3つ目は別の音に変わること。「water」の「t」は、「ウォーラー」のように「ラ」に近い音で発音されることがあります。

こうした変化は、文法書や単語帳には載っていません。文字で覚えた音と、実際に流れてくる音が別物なら、知っている単語でも聞き取れません。

ドバイと日本を行き来しながら会社経営をしているH.Tさんは、毎日英語を使っている環境にいながら、こう語っています。

母語が英語の人と話すとリスニングが追い付かなかったり、長い文章になるとどうしてもカタカナ英語になってしまう

毎日英語に触れていても、それだけでは聞き取りが楽にならないということです。

IT業界で働く松田さんも、同じ課題に直面していました。

リスニングでは音の変化が聞き取れないことが大きな課題でした

多くの人は「リスニングが苦手」とひとまとめにしますが、松田さんは「音の変化が聞き取れない」と具体的に言葉にしています。ここまで具体的にできると、何を練習すればいいかも決まります。

聴力の問題ではない

大切なのは、ここです。英語が聞き取れないのは、聴力の問題ではありません。その音がどのように発音されるのかという知識が、まだ手元にないだけです。

これは、あとから変えられます。つながる音・消える音・変わる音がどう起きるかを知り、その音を自分の口で出してみれば、その音は次に聞いたときに気づける音になります。聞き取れる音が増えれば、聞き返す回数も減っていきます。

では、自分の聞き取れなさはどれに当たるのか。次章で確かめます。

セルフチェック——あなたはどこで詰まっているか

次の5つの質問で、聞き取れない原因を見分けられます。当てはまるものを選んでください。

複数当てはまる場合は、すべてには手を出せません。直近1ヶ月で実際に困った場面——会議で聞き返した、指示を取り違えた、動画を何度も巻き戻した——を思い出し、いちばん支障が大きかった1つから始めてください。

Q1: 読めば分かる単語なのに、聞くと拾えない→当てはまる場合、音の知識が足りていません。文字で覚えた音と実際の音がずれているため、知っている単語でも「その単語が聞こえた」と認識できていない状態です。

Q2: ゆっくりの音声なら聞き取れるが、通常速度になると崩れる→当てはまる場合、速さに慣れていません。音そのものではなく、処理の速度が課題です。

Q3: 単語を、文字と意味だけで覚えてきた(音を確認していない)→当てはまる場合、単語を覚えるときに音を確認する習慣がありません。例えば「cat」は「ねこ」だと分かっても、実際に「キャット」に近い音で出されたときに結びつかない状態です。

Q4: 聞き返すことができず、分かったふりでうなずいてしまう→当てはまる場合、課題は聞き取りではなく、聞き取った後の対応です。分からないことを伝えるのが申し訳ない、恥ずかしいといった気持ちが背景にあります。

Q5: 何度リピート再生しても、同じ箇所が聞き取れない→当てはまる場合、聞く回数を増やしても前に進みません。その箇所の音がどうつながっているかを、先に知る必要があります。

チェック結果の見方

Q1・Q3・Q5が多いなら、音の仕組みを先に学びます。つながる音、消える音、変わる音を知らないままでいると、いくら聞く量を増やしてもどの音か分からないままです。発音記号と音の変化を先に知ってから聞く練習に入る方が、早く進みます。

Q2が多いなら、速さに慣れる練習が先です。語彙や音の知識がある前提で、通常の速さの音声に繰り返し触れます。シャドーイングが、この練習に当たります。

Q4が多いなら、変えるのは聞き取りではなく、聞いた後の対応です。聞き返すことは失礼ではなく、普通のやりとりだと実感できるまで、実際の会話で何度も聞き返してみることです。聞き返しても相手が根気よく応じてくれる、マンツーマンのような環境だと続けやすくなります。

放置すると何が起きるか

原因が違えば、放置したときに起きることも違います。

佃さんは、TV映像のクリエイティブディレクターとして働きながら、海外のクリエイターやプロダクションとの協力を目指していた人です。

受賞後のパーティでエージェントに話しかけられ、よく分からないままニコやかに相槌を打っていたら、後日それが大きなオファーだった事が判明しました

話しかけられた時点では、それが仕事の話だと分かりませんでした。留学前に参加した現地ツアーでも、こんなことが起きています。

キャニオニングという現地にしかない、川下りのツアーに参加しましたがガイドの英語が聞き取れず、滝に飛び込み足を脱臼しました(笑)

本人は明るく振り返っていますが、聞き取れるかどうかが身の安全に関わった場面です。

一方、KさんはITコンサルティングのプロジェクトマネージャーで、所属企業の6割以上が英語を使う環境にあります。実働部隊に限れば、8割以上が日常的に英語で仕事をしています。

以前、ドイツに本社がある企業に勤めていたのですが、会議中など、英語を使用するので、そういった英会話を聞いていく中で、知らない単語が出てきたら調べて覚える、ということを繰り返し行っていました

Kさんは、知らない単語をその場で調べて覚えることで前に進めました。語彙が課題なら、この積み上げで解消できます。

ただし、知っている単語なのに聞こえないのだとしたら、単語を増やしても聞こえ方は変わりません。速さが課題の人が音の確認ばかりしても、会話での反応は速くなりません。だから、最初にやることは、自分がどれに当たるかを確かめることです。

音の知識が足りていなかった人が、どう聞こえるようになったのか。次章で見ます。

実録——発音を学んだら、聞こえるようになった

ここでは、実際に聞こえ方が変わった2人を時系列で見ていきます。2人とも、聞く練習を増やす前に、発音の練習をしています

受け身の学習では変わらなかった——髙木さんの選択

精神科医の髙木さんは、セブ島留学に来る前、すきま時間を使った学習をしていました。通勤時間や休み時間を英語学習に当て、聞き流しの教材や参考書で英語に触れようと工夫していました。細切れの時間をすべて英語に充てる、という取り組み方です。忙しい社会人にはよくあるやり方で、量としては足りていました。

けれど、その学習法では聞き取りは進みませんでした。

セブ島留学に来る前に移動時間や空き時間を利用してスピードラーニングや英語の参考書を読んだりしてから来ました。でも、英語を聞いたり読んだりする受身だけの英語学習法はダメなんだなと実感しました

聞く・読むだけの学習には、自分の口で出す練習がありません。その限界を実感して、セブ島の訓練で選んだのは、音を自分の口で出す練習でした。

自分で発音できる音は、聞き取れる——1週間での変化

セブ島での集中訓練で、髙木さんは発音矯正に取り組みました。朝から晩まで、講師とマンツーマンで、苦手な音を自分の口から出し続けます。RとLの使い分けから子音と母音の違いまでを、1週間という限られた時間の中で集中して扱いました。

この期間に起きた変化は、聞き取りに表れました。

発音矯正をしたことでリスニング能力が上がり、今まで聞き取りづらかった英語の発音が聞き取れるようになったことは、1番の収穫だと思います。

1週間という短い期間でも、自分で出せる音が増えるほど、聞き取れる音も増えていったことが分かります。

予測まで働くようになった——中村さんの変化

冒頭で触れた獣医師の中村さんも、同じ順序で変わっています。

自分がネイティブのように発音できるようになると、ネイティブ英語が聞き取れるようになり、英語の発音を正しく理解することによるメリットを実感しました

中村さんが実感したのは、聞き取りの精度が上がったことだけではありません。

会話でわからない単語が出てきても、『この人なんとなくここで重要なことを言っていて、こんなことを言っているのかな』と、予測がつくようになりました

全部聞き取れなくても、文脈から予測できる。そうなると、聞き取れない部分があっても、会話を前に進められます。

なぜこの順序なのか

自分の口で出せる音は、聞いたときに気づける音になります。つながる音、消える音、変わる音を一度自分で出してみた人は、その音が流れてきたときに気づけます。

多くの人は「聞き取れないから、もっと聞こう」と考えます。聞く時間を増やす。教材を増やす。けれど、知らない音は何度聞いても知らない音のままです。

だから、まず自分の口で、その音を一度作ってみる。それだけで、次に聞いたとき、その音に気づけるようになります。

自分で試すなら

まず、聞き取れなかった文のスクリプトを確認し、知らない単語だったのか、知っている単語だったのかを仕分けます。知らない単語が原因なら、辞書で調べて覚えれば進みます。

知っている単語なのに聞こえなかった場合は、その部分の音声を遅くして、音がどうつながっているかを確認します。単語単位の音ではなく、前後の単語とどう連結しているかを見ます。

確認したら、お手本を聞きながら、その1文を自分の口で再現します。何度か声に出して、お手本の音と比べます。その後、通常速度でもう一度聞いて、聞こえ方が変わっているかを確かめてください。

この順序を日々の練習にすると、何から始めることになるのか。次章で整理します。

対策の順序——音の知識から埋める3ステップ

ここでは、何から手を付ければ聞こえるようになるのかを、3つのステップで整理します。独学でできることと、フィードバックが要ることの線引きもここで示します。

ステップ1. 単語に音をひもづけ直す

多くの学習者は、単語を「文字と意味」だけで覚えてきました。単語帳を開いて日本語訳を見る。音声は、あっても副次的な扱いでした。

知っている単語が聞き取れないのは、その単語が実際に発音される音を知らないためです。文字の形と耳に入る音のズレを埋めるには、それぞれの単語が「どんな音になるのか」を確かめる必要があります。

発音専門のシャベリッシュを受講した外資系コンサルタントのYさんは、受験勉強の延長で、単語を文字と意味だけで覚えてきた方です。発音記号を学んだ後、学習の中身が変わったと書いています。

発音記号を理解できるようになった今、単語を勉強する際には意味だけではなく音も一緒に確認することで学習スピードが格段に上がっているように感じます

具体的に変わったことは2つです。

1つ目は、過去に覚えた単語に音を後から付けること。例えば、単語帳の隣に発音記号をメモする、オンライン辞書で音声を再生して確認する、といった形で習慣に組み込みます。

2つ目は、新しく学ぶ単語を最初から音とセットで覚えること。単語を読む→意味を確認→音を聞く、この流れが日常になります。これまでの「文字→意味」が「文字→音→意味」に入れ替わります。

この段階で大切なのは、完璧さを求めないことです。発音記号が読めなくても、音声を聞いて「こういう音なんだ」と耳に入れるだけで十分です。Q3が当てはまった人は、ここから始めます。独学で完結し、今夜からでも始められます。

ステップ2. 声に出して、お手本と比べる

音の知識を入れた次は、聞こえない部分を自分の口で確認します。

聞き取れなかった文があったら、スクリプト(字幕)を見て、知らない単語だったのか、知っている単語だったのかを確認します。知らない単語だったら、覚えるだけで済みます。

知っている単語だったら、その部分の音声を遅くします。多くの英語学習アプリや YouTube には速度調整機能があります。0.75倍速や0.5倍速にすると、その単語がどうつながっているのか、どこで消えているのかが見えてくることがあります。

例えば「Did you get it?」が「ディジャゲリッ」のように1つの塊で聞こえていたなら、遅くして「Did / you / get / it」の切れ目を目と耳で確かめます。文字で知っている4語が、実際には2つか3つの音になっていることが分かります。

その後、お手本の音声を聞きながら、自分の口でその1文を再現します。正確さより、リズムと音のつながりを真似ることです。お手本に続いて話す「シャドーイング」や、音声と一緒に話す「シンクロリーディング」がここに当たります。

大切なのは、「聞き取れなかった」で止まるのではなく、その部分を自分の口で音として確認することです。それが、聞き取るときの基準になります。Q1・Q2が当てはまった人は、この段階から始めてください。

ここまでも、基本は独学で進められます。ただし、次の段階に進むと、1つ埋まらないものが出てきます。

ステップ3. 実際の会話の回数を増やす

口で音を再現する練習を積んでも、実際の会話で聞き取れるかどうかは別の問題です。教材の音声と、実際の人間の会話は違います。教材は発音が明確に録音されています。一方、会話の中では、人は無意識に音を省略します。背景ノイズもあります。話者のアクセントも異なります。

製薬会社で研究開発をしている方は、セブ島留学に来て、教室の外で現地の人と会話する機会を重ねました。

実際にセブ島で生活することで、先生以外にも現地の方と会話をする機会が多数あり、セブでの生活を通して英語力に自信を持てる様になりました。また、会話を通して自然にリスニングスキルも身について満足しています

デジタルマーケティング営業の方は、セブ島到着からわずか2日で変化を感じたと述べています。

留学後2日程で以前より会話が聞き取れるようになったのを実感しました

短い期間での変化ですが、なぜ2日で変化を感じたのかまでは書かれていません。Q4が当てはまった人に必要なのは、この「実際に話して、聞き返せる」機会です。

会話では、相手に聞き返すことができ、文脈から推測もでき、同じ単語を何度も耳にします。教材ではできない練習が、毎日の会話で起きています。

例えば、相手の一言が聞き取れなかったとき、教材なら巻き戻して同じ音をもう一度聞くだけです。会話なら「もう一度お願いします」と言えて、相手は言い方を変えて言い直してくれます。同じ内容を別の音で2回聞けるということです。

独学で埋まらないもの

3ステップのうち、ステップ1と2は独学で完結します。オンライン辞書の音声機能、YouTube、英語学習アプリ——音源は十分にあります。自分で声に出して再現することも、今夜からできます。

しかし、埋まらないものが1つあります。「自分の出している音が、実際に正しいのか」を判定する耳がないことです。

仮に、自分の発音がずれていたとします。それでも、そのずれた音を基準にしたまま聞き続けることになります。ずれた音を「正しい音」だと思い込んだまま、練習を重ねてしまいます。

だからステップ3に進む前に、聞き手から「その発音は正しい」または「ここが違う」というフィードバックをもらう必要があります。それがコーチや講師です。自分の口から出た音が実際の発音にどれだけ近いのかを、聞いて判定してくれます。

自分の音を確認してから会話に入れば、会話から学べることも増えます。Q5が当てはまった人は、この確認が特に必要です。

音読した音声を週1回、日本人コーチに送って直してもらう

音の知識を入れて口で再現しても、その音が合っているかは自分では分かりません。たとえば、毎朝10分の音読、通勤中のシャドーイング、寝る前の教材リピート——。読みっぱなしのままだと、自分の音が「基準」になってしまい、毎回同じずれで読み続けることになります

そんなときに効くのは、読む回数を増やすことではなく、音読を「課題」に変えることです。音読は、本質的に一人で完結する練習です。だからこそ、合っているかどうかの判定だけは、一人ではできません。判定は、聞き手側からしか返らないものです。

  1. 音読する英文を決める。仕事で使う資料でも、教材の1ページでもかまわない
  2. 週に一回、英文を音読した音声をスマートフォンで録って、日本人コーチに送る
  3. 返ってきた指摘を、単語の音とリズムに分けて書き出す
  4. 次の週は、指摘された箇所だけを直して、同じ英文をもう一度録る

イギリスに赴任したTさんは、毎週1回、英文を音読した音声を日本人コーチに送っていました。口元の見えない音声だけを材料に、コーチがずれを言い当てて返してくれます。Tさんは同じコースの卒業生の学習記録を自分の基準に置き、2ヶ月で受講生トップの自己学習時間を更新しました。提出して直しをもらうと、その瞬間に「ここがずれていた」という事実が現れます。読みっぱなしの音読が「確認される音読」に変わると、次に読み込むときの質そのものが変わります。

詳しくは英語の音読は「お手本・確認・時間」で決まる|変わった5人がやったことで説明しています。

単語は音節を数えてから、強く読む位置を決める

知っている単語なのに聞こえないとき、原因が強く読む位置にあることがあります。たとえば、invoice を「インボイス」、feedback を「フィードバック」、record を「レコード」——。カタカナで平坦に覚えていると、相手が強弱をつけて言った同じ単語が、別の語のように流れていきます

そんなときに効くのは、単語を暗記し直すことではなく、音節を数えてから位置を決めることです。日本語は文字数、英語は音のかたまりで数えます。tax、trend、sale、wide、long、grow、save、build はすべて1音節です。カタカナで書くと「タックス」「トレンド」のように音が増えますが、英語では1つのかたまりで読みます。

  1. その単語の母音の数を数える。増えているのは母音なので、母音の数が音節の数になる
  2. 1音節なら位置を考えず、そのかたまりを強く長く読む。平坦に読むと強勢がない語のように聞こえる
  3. 2音節は品詞で決める。名詞・形容詞は第一音節に、動詞は第二音節に強勢を持つことが多い
  4. 3音節は最初の音節、4音節は第二音節に置いて読み直す

名詞・形容詞なら feedback(feed・back)、invoice(in・voice)、profit(prof・it)はいずれも前を強く、動詞の invest(in・vest)、promote(pro・mote)、record(re・cord)は後ろを強く読みます。文にすると、前置詞・冠詞・代名詞といった機能語は弱く短くなります。機能語を弱めることで、内容語の強勢が際立ちます。どこが強く読まれるかが分かっていれば、流れてきた音のどこを拾えばいいかが決まるので、全部を聞き取ろうとして詰まる時間が減ります。

詳しくは英語のアクセント|音節を数えれば位置は決まるで説明しています。

会話の回数を増やすときは、業務で英語を使う場面を絞ってから始める

ステップ3の「会話の回数を増やす」に進むとき、何を練習するかを決めていないと回数が成果に変わりません。たとえば、会議なのか、電話会議なのか、商談なのか、出張前の打ち合わせなのか——。必要な語彙も間の取り方も別物なので、同時に追うと、どれも半端に終わります

そんなときに効くのは、レッスンの回数を増やすことではなく、狙う場面を狭めることです。どれも「時間を増やす」話ではありません。選び方は単純で、直近3ヶ月で締切が一番近い場面から決めます。

  1. 業務で英語を使う場面を1つだけ選ぶ。会議・電話会議・商談・出張前の打ち合わせのどれか
  2. その場面の実物を用意する。次の会議のアジェンダ、商談で使う資料、契約書のテンプレート
  3. それをレッスンに持ち込み、「この場面で使える英語を鍛えてください」と伝える
  4. 仕事の時間割にレッスンを固定する。業務の前後、朝イチ、昼休み、終業後に「毎週この時間」と決める

要望を出さないまま汎用教材を受け続けると、レッスンは「日常会話の続き」になります。教材を待つのではなく、こちらから業務を渡します。外資系製薬のM.Rさんが月4〜6回のペースで1年半続いたのは、その枠が業務スケジュールの中に埋め込まれていたからです。「時間ができたら受ける」は、繁忙期に必ず消えます。頻度を落としても構いません。落とした頻度が、消えない場所に置かれているかが分かれ目になります。

詳しくはオンライン英会話はビジネスに効くか|受け方を決める3つの設計で説明しています。

この3ステップで聞こえるようになった人たちが、そのあとどうなったのか。最後に、その後を見ます。

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聞こえるようになった人たちの、いま

ここまで、聞き取れない原因の見分け方と、発音から入って聞こえるようになった人を見てきました。では、その後どうなったのか。いまも学習を続けている人たちの話を見ます。

分からない箇所が減っていく

HP制作会社でプログラマーとして働く坂谷さんは、セブ島留学の2ヶ月で何が変わったのかを、こう語っています。

もう先生達が何を言っているのかもほとんどわかるようになって、あっても1時間に1,2箇所くらいになりました

完璧に聞こえるようになったわけではありません。何をどう練習したのかも、坂谷さんは書いていません。それでも、分からない箇所が数えられるほどに減っています。

外資系コンサルタントのYさんにも、同じことが起きています。

ハツオンを受講したてのころは、講師の言っていることが分からない場面もあったのですが、レッスン中に使えるフレーズを日本人トレーナーから教えてもらえたので今はしっかり理解できるようになりました

分からないときの対処も変わっています。

英語が理解ができないときに、わからないまま流すのではなくしっかりと聞き返せるようになった

分かったふりでやり過ごすのではなく、その場で聞き返す。仕事では、重要な指示を聞き流してしまう危険が減るということです。

完璧には聞こえない——正直なところ

精神科医の髙木さんの話には、1週間の密度が分かる一節もあります。

ただ、朝から晩までも英語漬けだったので1週間が経つ頃には、日本人同士でご飯を食べに行った時、普段当たり前のように話していた日本語を聞くのに違和感を感じる自分が居ました

それだけ長い時間、英語の音だけを聞いて話していた、ということです。

聞き取りが変わった理由について、髙木さん自身は、聞くトレーニングではなく発音矯正を挙げています。口で出せる音が増えたことが、聞き取れる音を増やしました。

IT業界の松田さんは、前の章で「音の変化が聞き取れない」と課題を特定していた人です。

単語がわからなくても文脈から推測できるようになっていきました

全部を聞き取れなくても、聞き取れた部分と文脈から相手の言いたいことをつかむ。聞き取りが、実際の会話で使える段階に入ったしるしです。

誰も「完璧に聞こえるようになった」とは書いていません。それでも、ここまで紹介した4人は全員、聞こえる場面が増えたことや、分からないときの対処が変わったことを、自分の言葉で記録しています。

まとめ|聞き取れないのは、知らない音が残っているだけ

英語が聞き取れない原因は、語彙・速さ・音の知識の3つに分かれます。知っている単語が聞こえないなら、原因は音の知識です。英語は文字と音が大きくずれる言語で、つながる音・消える音を知らないままでは、聞いても知っている単語と結びつきません。

では、今日から何をするか。次の3つです。

  1. セルフチェックで、自分がどれに当たるかを確かめる。Kさんのように語彙が課題なら、調べて覚えることで前に進みます。診断を先にするのは、原因ごとに練習が違うからです。
  2. 単語に音をひもづけ直し、声に出して確かめる。ここまでは今日から独学でできます。単語帳の隣に発音記号をメモする、聞き取れなかった1文を0.5倍速で確認する、その1文を自分の口で再現する——この3つです。
  3. 自分の音が合っているかは、聞いてくれる相手に判定してもらう。ここだけは独学で埋まりません。ずれた音を基準にしたまま練習を重ねると、聞こえ方も変わらないままになります。

この記事に登場した人たちは、誰も「完璧に聞こえるようになった」とは言っていません。それでも全員、聞こえる場面が増えています。聞き取れないのは聴力の問題ではなく、知らない音がまだ残っているだけです。その音は、これから知っていけます。

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