英語のアクセント|音節を数えれば位置は決まる
単語のどこを強く読むか、いつも勘で決めている。辞書で確認したはずの単語でも、口に出すとカタカナ読みに戻ってしまう。そのたびに聞き返されるが、どこが違うのかは分からない——そんな経験はないでしょうか。
英語のアクセントとは、単語のなかで特定の音節を強く長く読むことです。日本語がピッチ(音の高低)で語を区別するのに対して、英語は強さと長さで区別します。
ただ、アクセントは単語ごとに丸暗記するものだと思われがちです。実際には、音節の数と品詞から位置の見当をつけられます。
この記事では、音節の数え方と、音節数ごとの強勢の決め方をお伝えします。書いているのは、英語コーチングスクール・ミライズです。発音を専門に教えているシャベリッシュで、実際に教えている内容をもとにしています。
日本人が最後まで残すのが「話す力」
先に、位置づけから確認します。日本人の英語力のなかで、いちばん最後に残るのが話す力です。
EF(イー・エフ・エデュケーション・ファースト)が世界123の国と地域、約220万人の成人を対象に実施したEF英語能力指数(EF EPI)2025年版(2024年1〜12月)で、日本は96位・スコア446でした。
注目したいのは順位ではなく、4技能の内訳です。
| 技能 | 日本のスコア |
|---|---|
| リーディング | 454 |
| リスニング | 437 |
| ライティング | 394 |
| スピーキング | 393 |
読む力と話す力のあいだに、60ポイント以上の開きがあります。スピーキングは4技能のなかで最下位でした。
話す力のなかで、強勢は「意味が変わる」一点
話す力を上げる要素はいくつもあります。語彙、文法、瞬発力。そのなかで強勢が特別なのは、位置を間違えると別の語として聞かれる点です。
日本語は音の高低で語を区別します。英語は強さと長さで区別します。仕組みそのものが違うので、日本語の感覚のまま読むと、区別に使われている情報が出てきません。
しかも強勢は、単語ごとに固定ではありません。品詞が変われば動き、語形が変われば移ります。だからこそ、暗記ではなく判断の手順が必要になります。
単語帳に載っている数だけ位置を覚えるのは現実的ではありません。仕事で出てくる語は毎回違いますし、初めて見る語のほうが多いからです。手順を持っていれば、知らない語でも読み方を決められます。
「アクセント」には2つの意味がある。この記事が扱うのは強勢
日本語で「アクセント」と言うとき、実は別々の2つのことを指しています。1つは強勢です。単語のなかのどの音節を強く読むかという話で、英語では stress と呼ばれます。
もう1つは訛りです。「イギリスアクセント」「ジャパニーズアクセント」のように、どの地域・どの母語話者の発音かを指します。
訛りの意味で使われている例
実際の使われ方を見ると、この2つが混ざっているのが分かります。外国人観光客の多い飲食店で働く下西さんは、電話対応での経験をこう話しています。
お客様の国籍も様々なので、皆さん訛りが異なり、余計聞き取れませんでした
台湾からセブ島に留学した方は、留学先を選んだ理由をこう話しています。
フィリピン人は標準なアメリカのアクセントを話すからです
ニューヨーク留学の前にセブ島で学んだ方も、講師への要望をこう振り返っています。
私がニューヨークに行くという事で、アメリカンアクセントに慣れたいと伝えると、それに対し準備をしてくれ、即座にリクエストに応えてくれたことには本当に感動しました
3つとも訛りの意味です。どこの発音か、という話をしています。単語のどこを強く読むか、という話は一切していません。同じ「アクセント」という語が、まったく別のことを指しています。
訛りは学習の妨げにならないこともある
米国系の医療機器メーカーで営業責任者を務めた北野さんは、留学前に発音を心配していました。
フィリピン・セブ島に来る前に唯一英語の発音を心配していたのですが、レッスンではきちんとアメリカアクセントで指導してもらえたので、今思えば全く心配する必要はありませんでした
どの訛りで学ぶかという問題と、単語のどこを強く読むかという問題は、層が違います。 訛りが気になって学習をためらう必要はありません。
私たちが教えているのは、強勢のほう
シャベリッシュでも、この2つは分けて扱っています。教材は、ミライズが延べ1万人の受講生に提供してきた発音レッスンをもとに開発したものです。
訛りについては、アメリカ英語のアクセントを対象としています。イギリス英語やその他の訛りは対象外です。目標を1つに定めないと、手本が定まらないためです。
一方、強勢は「基礎の音」の1つとして必ず扱います。 母音・子音と並べて、ストレス、リズム、イントネーションを2か月のカリキュラムに組み込んでいます。どの訛りで話すかは選べますが、強勢の位置は選べません。位置を間違えれば、どの訛りで話しても別の語になるからです。
強勢が置かれる音節は、他より強く、そして長く発音されます。 逆に言えば、位置を間違えると、本来は短く弱いはずの音節が伸びて聞こえます。同じ綴りでも、強く読む位置が変われば別の語として聞かれることがあります。
位置を当てることが、通じるための条件になります。そして位置を判断するには、その前に音節を数えられる必要があります。
まず音節を数える
アクセントのルールを覚える前に、やることがあります。音節を数えることです。音節とは、単語を構成する音のかたまりで、発音を分割する単位です。英語の音節には少なくとも1つの母音が含まれます。
強勢は「音節」に置かれます。 つまり音節が数えられなければ、位置を特定することもできません。
日本語は文字数、英語は音のかたまり
ここで日本語話者がつまずきます。日本語はかな1文字がほぼ1音に対応しますが、英語はそうではありません。
例えば、photograph は英語では3音節です。pho・to・graph と割れます。ところがカタカナで「フォトグラフ」と書くと、フォ・ト・グ・ラ・フで5音になります。
apple も同じです。英語では ap・ple の2音節ですが、「アップル」は3音になります。促音の「ッ」が1音として数えられ、語尾にも母音がつくためです。どちらの例も、カタカナのほうが音の数が多くなっています。
増えているのは母音
なぜ音が増えるのか。カタカナに直すとき、英語にはない母音が足されるためです。
graph の gr は子音が連続していますが、日本語には子音だけの音がほとんどありません。そこで「グ」と読むために u の母音が入り、1つだった音が2つに分かれます。
音節が増えると、強く読む位置も一緒にズレます。 カタカナ読みが通じない原因の一つがここにあります。
背景には、日本語と英語の音の数そのものの違いがあります。日本語の母音は5つ、子音は14個です。対して英語は母音が15個ほど、子音が24個あります。日本語のカタカナで表せない音が、それだけ多いということです。
例えば、hat と hut はカタカナではどちらも「ハット」になりますが、英語では /hæt/ と /hʌt/ で別の単語として区別されます。カタカナに直した時点で、区別が消えています。
語尾でも同じことが起きます。staff の語尾はカタカナだと「フ」と母音がついた音になりますが、実際には f の子音だけで、母音はつきません。
数え方は母音の数を見る
音節を数えるときは、母音の音がいくつあるかを見ます。綴りの文字数ではなく、実際に発音される母音の数です。綴りに母音字があっても、発音されなければ数えません。語尾の e が読まれない語は多く、そこを1音節と数えると全体がずれます。
慣れないうちは、手を叩きながら区切ると分かりやすくなります。photograph なら3回、apple なら2回です。カタカナで思い浮かべたときの回数と違っていれば、そのズレが直す対象になります。
数えられるようになると、辞書の発音記号も読み解きやすくなります。発音記号にはどこに強勢があるかの印が付いているので、音節が分かれば読み取れます。
診断:いま思い浮かべた英単語は何音節ですか。同じ単語をカタカナで書くと何音になりますか。 この2つの数が違っていれば、そこが直す場所です。
音節が数えられたら、数ごとの規則に進みます。まず1音節と2音節から。
1音節と2音節の単語
短い単語から見ていきます。1音節は迷う余地がなく、2音節は品詞で決まります。
1音節は迷う余地がない
1音節の単語は、その1つを強く長く読みます。音節が1つしかないので、位置を判断する必要がありません。ここで確認したいのは、日本語の感覚だと1音節に見えない語があることです。カタカナに直すと3音や4音になるため、複数の音節があるように感じてしまいます。
tax、trend、sale、wide、long、grow、save、build。これらはすべて1音節です。カタカナで書くと「タックス」「トレンド」のように音が増えますが、英語では1つのかたまりで読みます。
ここでの注意点は、位置ではなく長さです。1音節の語は強勢を持つので、その1つのかたまりを強く長く読みます。 カタカナのように平坦に読むと、強勢がない語のように聞こえます。
2音節は名詞・形容詞と動詞で位置が変わる
2音節になると、品詞で判断します。2音節の名詞や形容詞は第一音節に、動詞は第二音節に強勢を持つことが多いという規則があります。
例えば、名詞・形容詞なら feedback(feed・back)、invoice(in・voice)、profit(prof・it)、global(glob・al)、stable(sta・ble)。いずれも前を強く読みます。
どれも仕事で使う語です。invoice を「インボイス」と平坦に読むか、in を強く長く読むかで、相手の聞き取りやすさが変わります。
動詞なら invest(in・vest)、promote(pro・mote)、record(re・cord)、expand(ex・pand)、agree(a・gree)。こちらは後ろを強く読みます。
同じ綴りでも品詞が変われば位置が動く
この規則が効いてくるのが、名詞と動詞で同じ綴りを持つ語です。record は名詞なら前、動詞なら後ろに強勢が来ます。綴りは同じでも、文のなかでどちらとして使っているかで読み方が変わります。
この型を知っていると、初めて見る2音節の語でも見当がつきます。会議で出てきた語が動詞として使われているなら後ろ、名詞なら前、と当たりをつけて読めます。逆に、この規則を知らないまま全部を前に置いて読むと、動詞のときだけ通じにくくなります。
日本語では動詞も名詞も同じ調子で読むので、この切り替えは意識しないと出てきません。ただ、切り替える対象は2音節の語だけです。覚える範囲としては限られています。
自分の仕事で頻出する2音節の語を10個ほど書き出して、名詞か動詞かで並べ替えてみると、切り替えの練習になります。書き出す時点で、自分がどちらの品詞をよく使うかも見えてきます。
診断:自分の仕事でよく使う2音節の単語は、名詞ですか、動詞ですか。 品詞を確認してから読むだけで、位置の判断がつきます。
3音節以上になると、品詞ではなく音節数そのもので決まってきます。
3音節と4音節の単語
長い単語ほど、勘で読むと外れます。ただ、音節が増えるほど位置の規則性は強くなります。
3音節は最初の音節
3音節の単語は、最初の音節に強勢があることが多いという規則です。2音節のときのように品詞で分ける必要はありません。名詞でも動詞でも形容詞でも、まず先頭に当たりをつけて構いません。判断が1つ減るぶん、長い語のほうがかえって迷わなくなります。
accident(ac・ci・dent)、exercise(ex・er・cise)、marketing(mar・ket・ing)、indicate(in・di・cate)、flexible(flex・i・ble)。いずれも先頭を強く読みます。
例えば、marketing はカタカナで「マーケティング」と書くと7音になりますが、英語では3音節です。mar を強く読み、残りは弱く短く続けます。
7音を等間隔に読むのと、3音節のうち1つだけを強く長く読むのとでは、リズムがまったく違います。長い語ほど、この差が開きます。
なお、3音節でも decision(de・ci・sion)、promotion(pro・mo・tion)、productive(pro・duc・tive)のように第二音節に来る語もあります。規則は目安で、例外はあります。
4音節は第二音節
4音節になると、第二音節に強勢があることが多くなります。
negotiate(ne・go・ti・ate)、photographer(pho・tog・ra・pher)、environment(en・vi・ron・ment)、communicate(com・mu・ni・cate)、professional(pro・fes・sion・al)。すべて2つ目を強く読みます。
どれも仕事で頻出する語です。communicate を「コミュニケート」と平坦に読んでいるなら、mu を強く読むだけで伝わり方が変わります。
photograph と photographer で位置が動く
先ほど出した photograph は3音節で、pho を強く読みます。ところが photographer は4音節になり、強勢は tog に移ります。
同じ語族でも、音節数が変われば位置が動きます。 だから単語ごとの暗記ではなく、数えてから判断する手順が必要になります。
語尾が変わると音節数が増える語は多くあります。動詞から名詞へ、名詞から形容詞へと形を変えたとき、元の位置のまま読んでいないかを確認する必要があります。
派生語をまとめて覚えるときは、意味と一緒に音節数も見ておくと、あとで読み方に迷いません。手間は変わらないので、同時にやるほうが早く済みます。
診断:仕事で使う長い単語を、音節に割ってから読んだことがありますか。 割らずに読むと、カタカナのリズムのまま出てしまいます。
ここまでは単語1つの話です。文にすると、もう一段の調整が入ります。
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単語のアクセントが固まったら、次は文のリズムです。文になると、強く読む語と弱く読む語が分かれます。
すべての語を同じ強さで読むと、どこが要点なのかが伝わりません。日本語を一本調子で読んだときに聞き取りづらくなるのと同じことが起きます。
文が長くなるほど、この差は開きます。単語を1つずつ正しく読めていても、並べたときに全部が同じ強さだと、相手はどこを拾えばいいか分からなくなります。
ここから先は単語の強勢とは別の技術になりますが、地続きの話なので、何が待っているかだけ押さえておきます。
弱く読む処理がある
英語には、機能語を弱く短く発音する傾向があります。前置詞や冠詞、代名詞などは、単独で発音するときとは違う音になります。この処理はリダクションと呼ばれます。会話のスピードやリズムを整えるために、単語や音節の発音を簡略化する現象です。
例えば、her は単独なら「ハー」ですが、give her the book のように文の中に入ると /ər/ に縮みます。前置詞・代名詞・接続詞・助動詞・冠詞といった機能語が、この対象になります。
強く読まれるのは名詞・動詞・形容詞・副詞などの内容語です。機能語を弱めることで、内容語の強勢が際立ちます。すべての語を丁寧に読もうとすると、かえって要点が埋もれてしまいます。弱めるべきところを弱めるのも技術のうちです。
意味のまとまりで区切る
もう1つは、文をどこで区切るかという話です。意味のまとまりごとに区切り、その間にポーズを入れます。
このまとまりは Thought Group と呼ばれます。1つのまとまりのなかには最も強調される語が1つあり、それをフォーカスワードと呼びます。
まとまりごとに一度に発音し、まとまりとまとまりの間にポーズを入れます。区切り方は話し手や場面によって変わります。カジュアルな場面では長く、フォーマルな場面では短くなることが多いとされています。
単語の強勢・機能語の弱め方・意味のまとまり。この3つが重なって、英語のリズムができています。
順番としては単語が先
文のリズムは単語の強勢の上に乗ります。単語の位置が定まっていないと、文にしたときの強弱も決まりません。
どちらも、どの語を強く読むかが決まって初めて働きます。全部を同じ強さで読んでいるうちは、弱める語も立てる語も選べません。
順番としては、単語の強勢を固めることが先です。 そのうえで機能語を弱め、意味のまとまりで区切る、と積み上げていきます。
逆の順番で進めようとすると、土台が定まらないまま応用に手を出すことになります。まずは自分がよく使う単語の強勢を確実にすることから始めてください。仕事で繰り返し出てくる語から固めていけば、実感も早く得られます。
診断:文を読むとき、すべての単語を同じ強さで読んでいませんか。 まず単語のアクセントを固め、その後で文のリズムに進む順番になります。
まとめ|アクセントは暗記ではなく、音節を数えてから決めるもの
英語のアクセントは、単語ごとに丸暗記するものではありません。
まず音節を数えます。1音節なら迷う余地がなく、2音節なら名詞・形容詞は前、動詞は後ろ。3音節は最初、4音節は第二音節に来ることが多くなります。規則はいずれも目安で、例外はあります。
カタカナ読みで通じないのは、母音が足されて音節が増え、強く読む位置までずれているためです。日本語の母音が5つなのに対し英語は15個あり、カタカナに直した時点で区別が落ちています。
数えることから始めれば、位置は自分で判断できます。初めて見る単語でも、音節に割って品詞を確認すれば、当たりをつけて読めるようになります。覚える対象は単語ではなく、この手順のほうです。
