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日本人の英語発音|通じない原因は日本語の3つの癖にある

発音

そこそこ話せるようになったはずなのに、会話の途中でたまに聞き返される。相手が聞き返さなかったときも、本当に通じていたのかは分からない。日本人だから仕方ない、で片付けてきた——そんな経験はないでしょうか。

日本人の英語が伝わりにくくなるのは、発音そのものが下手だからではありません。日本語の話し方の癖が、そのまま英語に出ているからです。

①日本語で使わない音を、いちばん近い日本語の音に置き換える。

②日本語のリズムのまま一語ずつ区切る。

③日本語と同じように音の高低で言い分けようとする。

この3つです。

ただ、癖の出方は人によってバラバラではありません。日本語の音の仕組みに無いところに集中します。だから、自分にどれが出ているかは特定できます。

この記事では、3つの癖と、自分にどれが出ているかを見分ける方法をお伝えします。英語コーチングスクール・ミライズの発音プログラム「シャベリッシュ」で、実際に受講者へ教えている内容です。

相手はもう理解している。足りないのは自信ではない

先に、意外な数字から始めます。日本人の英語は、相手にはかなり通じています。

AI英会話アプリ「スピーク」を運営するスピークジャパンが、訪日外国人130人と、英会話に関心のある20〜50代の日本人400人に行った日本人の英会話ポテンシャル実態調査(2025年3月)の結果です。

聞いた相手設問回答
訪日外国人130人来日前、日本人の英語力は低いと思っていた49.2%
訪日外国人130人実際に接して「意外と理解しやすい」70.0%
日本人400人話しかけられて断った経験がある45.8%
日本人400人外国人に伝える自信がある7.7%

外国人側は、来日前の予想を上回っていました。他のアジアの国と比べて日本人の英語が分かりにくいと答えた人も、14.3%にとどまります。一方の日本人側は、断った理由の最多が「英語で伝える自信がなかった」で76.5%でした。

相手の7割は理解できています。話す側の自信は1割に届いていません。 この差は英語力ではありません。自分の英語がどう聞こえているかを、確かめたことがないだけです。

通じにくさを国籍のせいにすると、そこで終わります。全部が下手だという話になり、どこから手をつけるかも決まりません。実際には、日本語話者がつまずく場所は3か所に決まっています。個別の音、音の区切り方、そして強弱の置き方です。

癖の出方は人によってバラバラではなく、日本語の音の仕組みに無いところに集中します。決まっているということは、特定できるということです。

日本人の英語に出る3つの癖

英語には日本語にないルールがあり、そのほとんどが「日本語の側に対応するものが無い」ところで発生します。逆に言えば、日本語にあるものは、そのまま持ち込んでも問題になりません。

私たちのプログラムでも、扱うのはこの「日本語に無い側」です。母音と子音、発声法に加えて、リンキング(音の連音)、リダクション(音の脱落)、フラッピング(音の弾音化)、アクセント、イントネーション、リズム。どれも日本語の側に対応するものがないか、あっても働き方が違うものです。

例えば、object という単語は、OBject と最初の音節を強く読むと「物体」という名詞になり、obJECT と2番目を強く読むと「反対する」という動詞になります。強弱の位置だけで別の語になります。

日本語にはこの区別がありません。だから I OBject to the new policy. と言ってしまうと、相手には「私、物体……」と聞こえます。文脈で察してもらえることもありますが、そのぶん相手の理解力に負荷がかかります。

目指すのは、ネイティブそっくりの発音ではない

先に前提を1つ置きます。英語には、これが正解という発音が1つ定義されているわけではありません。

英語を実用的に使っている人は世界に15億人いるといわれ、そのうち母語話者は約3億8000万人です。母語話者どうしでも、出身国が違えば癖の差で聞き取りづらいことがあります。

仕事の場面では、母語話者より非母語話者と話す機会のほうが多くなります。目指すのは、癖を消し切ることではなく、誰にでも伝わる状態にすることです。

3つの癖を外すのは、そのための作業になります。全部を消す必要はありません。

3つの癖の早見表

日本語の癖英語で何が起きるか深掘り先
① 音の置き換え日本語に無い音を、いちばん近い日本語の音で代用するどちらの音としても受け取られない喉の使い方
② 区切り一語ずつ区切り、語尾の子音に母音を足すつながる音・消える音が出せない音の変化
③ 高低と強弱音の高低で言い分けようとする強弱の位置がずれ、別の語になるアクセント

3つは別々の問題です。 ①を直しても②は残ります。どれが出ているかを先に決めると、練習する範囲が絞れます。

まず①から見ていきます。

癖① 日本語に無い音を、近い日本語の音で置き換えている

日本語に無い音は、いちばん近い日本語の音に自動的に置き換わります。意識してやっているわけではないので、自分では気づけません。

日本語の母音は5つですが、英語では日本語の「ア」ひとつに当たる範囲に4種類の区別があります。子音の数も英語のほうが多く、日本語のカタカナで書き分けられない差が残ります。

カタカナで書ける音は、日本語の側にある音だけです。書けないものは、書ける中でいちばん近いものに寄せられます。 ここで置き換えが起きます。

例えば、日本語の「ラ」は、英語の /r/ とも /l/ とも違う音です。/r/ は舌先がどこにも触れず、/l/ は舌先が上の前歯の裏に触れます。「ラ」はそのどちらでもありません。

だから「ラ」で代用すると、/r/ としても /l/ としても受け取られません。 right と light のどちらを言ったのか、相手には決められない状態になります。

カタカナに直した時点で、音が変わっている

置き換えは、単語をカタカナで覚えた時点から始まっています。

「ボランティア」は英語では /ˌvalənˈtir/、「アルコール」は /ˈalkəˌho:l/ です。カタカナのまま発音すると、音の数も強弱の位置も別物になります。

さらに厄介なのが和製英語です。「ノートパソコン」は laptop、「ペットボトル」は plastic bottle、「ガソリンスタンド」は gas station で、そもそも英語ではありません。略語も同じで、「アポ」も「パソコン」も英語としては通じません。

和製英語は通じなくて当然ですが、カタカナ英語は単語として正しいぶん、かえって混乱を招きます。 相手は知っている単語のはずだと思って聞くので、そこで止まります。

仕事で使う語ほど、カタカナのまま固まっている

置き換えが起きているかどうかは、身近な単語で確かめられます。次はどれも、日本語話者が発音を間違えやすい語です。

カタカナ英語ずれている点
メッセージmessage `/ˈmesidʒ/`「セー」ではなく 「メ」を強く読む
デジタルdegital `/ˈdidʒitəl/`「デ」ではなく「ディ」
キャリアcareer `/kəˈriər/`「キャ」ではなく 「リー」を強く読む
エビデンスevidence `/ˈevid(e)ns/`b ではなく v。強く読むのは「エ」
スタッフstaff `/ˈstæf/`語尾は f。母音がつかない

例えば career は、カタカナのまま「キャ」を強く読むと通じません。強く読むのは「リー」の位置です。evidence も、b で出している限りは別の音になります。

日常語でも同じことが起きます。volume は「ヴァリュム」、oven は「アヴン」、Twitter は「トゥィラー」に近い音です。credit card は、日本語では「カード」を強く読みがちですが、英語では 前の単語を強く読みます

知っている単語ほど、確かめる機会がないまま固定されます。 会議で毎回使う語こそ、一度は記号で確認する価値があります。

似ている2語が、同じ音になっている

置き換えの厄介なところは、別の単語同士が同じ音に潰れることです。

例えば daily と dairy。カタカナで考えるとどちらも「デイリー」ですが、英語では daily が `/ˈdeili/`、dairy が `/ˈdeəri/` で別の音です。カタカナを経由している限り、この2つは言い分けられません。

こうしたズレが重なると、相手は文脈から推測しながら聞くことになります。会議やプレゼンで何度も聞き返されて話が進まないのは、この積み重ねです。

もう1つ、直すコストの問題もあります。カタカナ英語が一度しみつくと、正しい音に直すのに時間がかかります。新しく覚える単語も、あとで直す前提になれば二度手間です。

自分では気づけないので、外から確かめる

口の中は見えません。舌先が触れているかどうかは、鏡でも分かりません。

置き換えが起きているかどうかは、録音して原音と比べるか、人に聞いてもらうまで判定できません。この癖がいちばん自覚しにくいのは、そのためです。

音を1つずつ確かめる手順は、喉の使い方の記事で詳しく扱っています。

癖② 一語ずつ区切り、語尾に母音を足している

日本語は、ひらがな1文字が1つの音として、ほぼ等間隔で並びます。子音だけで音を出すこともありません。

この2つが英語に持ち込まれると、つながるはずの音が切れ、消えるはずの音が残ります。

英語は単語の境目でつながる

例えば、part of a challenge は「パート・オブ・ア・チャレンジ」とは発音されません。part の語尾の t と次の of の o がつながり、さらに of の f と a がつながって「パーロヴァ・チャレンジ」のようになります。

英単語は子音で終わることが多いので、この連結は頻繁に起きます。一語ずつはっきり言うほど、実際の音から遠ざかります。

消える音もある

I don't know は、don't の語尾の t が発音されず「アイ・ロン・ノウ」のようになります。破裂音、つまり /t/ /d/ /p/ /b/ /k/ /g/ は落ちやすい音です。

want to が wanna「ワナ」 になるように、話し言葉で形が固まったものもあります。

会社を経営するH.Tさんは、この種のルールを受講するまで知らなかったと話しています。

ハツオンを受講するまで一度もアメリカンTについて聞いたことがなかったので、レッスンではとても驚きました。

知らないルールは、何度聞いても聞こえません。 聞き取れなかったのではなく、そこで音が変わることを知らなかった、という状態です。

これは話す側にも同じように効きます。t が落ちることを知らなければ、自分が話すときも t を残します。残した分、相手が期待しているリズムとズレます。

聞き取りと発音は、同じルールの表と裏です。 片方だけを練習しても、もう片方は動きません。

語尾に母音を足していないか

日本語は子音単独で音を出さないので、英語の語尾の子音にも母音がつきやすくなります。

good が「グッド」、best が「ベスト」になると、音節が1つ増えます。増えた音節のぶんだけ、相手が聞いているリズムからずれます。

この癖は音の置き換えともつながっています。母音を足すのは、子音だけの音が日本語の側に無いためです。ただし直し方は違います。

  • 音の置き換え … 音そのものを作り直す
  • 区切り … 足している母音を削る

自分の発音を録音して、語尾に「ウ」や「オ」が乗っていないかを聞くと、②は比較的すぐ気づけます。

つながる音と消える音の一覧は、音の変化の記事で扱っています。

癖③ 音の高低で言い分けようとしている

日本語と英語では、語を区別する仕組みそのものが違います。

日本語は音の高低で区別します。標準語の「雨」と「飴」は、高低の並びが違うだけで別の語になります。これをピッチ・アクセントといいます。

英語は強弱で区別します。REcord と reCORD は、強く読む位置が違うだけで名詞と動詞が入れ替わります。これをストレス・アクセントといいます。

高低をいくら丁寧につけても、強弱がなければ区別は伝わりません。 日本語の感覚で話すと、この仕組みの違いがそのまま出ます。

文の中でも、強く読む語が決まっている

単語の中だけでなく、文の中にも強弱があります。意味を決める語を、他より強く長く読みます。

例えば I GOT a new JOB. では、got と job が強く読まれます。ただし、失業中だと思われていて「(違う、)新しい仕事だよ」と言いたいときは、I got a NEW job. のように new を強くします。

同じ文でも、強く読む位置で伝わる内容が変わります。

抑揚が意図を変えることもある

日本語は平板に話す言語ですが、英語では抑揚が意図を運びます。

You LIKE fish? と言えば「魚が好きだったの(嫌いだと思っていた)?」、You like FISH? と言えば「魚なんか好きなの?」に近くなります。日本語にはこの区別がありません。

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自分にどの癖が出ているかを見分ける

3つのうち、自分にどれが出ているかは、次の5つの質問で見当がつきます。

  • Q1 right と light を、意識して言い分けている自覚があるか
  • Q2 th の音を、サ行やザ行で代用していないか
  • Q3 単語を一語ずつ区切って発音していないか
  • Q4 語尾の子音に母音をつけて(「トゥ」のように)読んでいないか
  • Q5 単語のどの音節を強く言うかを、意識したことがあるか

判定

当てはまった質問出ている癖最初にやること
Q1・Q2① 音の置き換え置き換えている音を1つずつ見つける
Q3・Q4② 区切りつながる箇所と消える音を確認する
Q5③ 高低と強弱強く読む位置を単語ごとに確認する

複数当てはまることもあります。その場合は①から先に手をつけてください。 個別の音が出せない状態でつなげても、つながった結果が別の音になるためです。

3つが同時に出ていると、相手には「全体として聞き取りにくい」としか感じられません。どこが原因かを相手が指摘してくれることは、ほとんどありません。だから、自分で切り分ける必要があります。

目で分かること、分からないこと

自分で確かめられる確かめられない
一語ずつ区切っていないか舌先が触れているかどうか
語尾に母音を足していないか出ている音が /r/ か /l/ か
強く読む位置を決めているか高低ではなく強弱で言えているか

右の列は、口の中で起きていることです。鏡にも映らず、自分の耳では判定できません。

左の列は、自分の録音を聞き返せば分かります。一語ずつ切れているか、語尾に母音が乗っているか、強く読む位置を決めて話しているか。この3つは、聞けば判断がつきます。

先に左の列を片付けてから、右の列を人に見てもらうと、確認してもらう範囲が少なくなります。

録音して原音と比べる方法はあります。ただし、違和感があっても、どこがどう違うのかまでは自分では分かりません。ここだけは、発音を専門に見ている人に聞いてもらうのが望ましいです。

直すときに使う道具は2つ

置き換えを直すときに使える方法は、大きく2つあります。

1つはフォニックスです。つづりと音の関係を学ぶ方法で、アルファベットの読み方を先に押さえることで、初めて見た単語でも読めるようになります。

もう1つが発音記号です。英語はつづりと発音が一致しないことが多いため、つづりから推測できない箇所は記号で確認するしかありません。

順番としては、まず自分がよく使う語を記号で確認するところからで足ります。全部を覚える必要はありません。

まとめ|日本語の癖を1つずつ外していく

通じにくさの原因は、発音の巧拙ではありません。日本語の話し方がそのまま英語に持ち込まれているだけで、持ち込まれる場所は3か所に限られます。

  • 音の置き換え — 日本語に無い音を、近い日本語の音で代用している
  • 区切り — 一語ずつ区切り、語尾に母音を足している
  • 高低と強弱 — 高低で言い分けようとしている

5つの質問で自分がどのパターンかを特定して、①から順に外していきます。3つを同時に直そうとすると、どれも中途半端になります。

そして、①だけは自分では判定できません。外から見てもらう手段を1つ持っておくことが、最初の一歩になります。

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