英語スピーキングテスト|7項目のうち全問で見られるのは音だけ
会社からスピーキングの点数を出すように言われた。あるいは、自分の話す力がいまどのくらいなのかを一度確かめておきたい。ただ、何をどう測られるのかが分からない——そんな状態ではないでしょうか。
「英語 スピーキング テスト」と検索すると、対策法とおすすめの練習メニューが並びます。対策の前に知りたいのは、そのテストが自分の何を見ているのかではないでしょうか。
IIBCが公開するTOEIC Speaking Test の形式と構成によると、テストは計11問・約20分です。そして設問ごとに採点ポイントが決まっていて、「発音」と「イントネーション、アクセント」は、最初の音読問題から最後の意見を述べる問題まで、すべての設問で採点対象になっています。では、受ける側はどうか。製造業の経理として働く市川さんは次のように話しています。
TOEIC830点あるのですが、スピーキングとなると言いたいことが出てこないことが多いです。
いずれも、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには、スピーキングに困っていた社会人を含む200件以上の体験談が、本人の言葉のまま公開されています。この記事では、公式の採点項目を音・言葉・中身の3つに分けて、自分がどこで落としているかを確かめられるようにします。
スピーキングテストは11問・約20分。設問ごとに採点項目が違う
スピーキングテストは、話せるかどうかをひとまとめに見る試験ではありません。設問ごとに、見られる項目が決まっています。
5種類の設問と、それぞれの時間
IIBCが公開している形式は次のとおりです。
| 設問 | 問題数 | 準備時間 | 解答時間 |
|---|---|---|---|
| Read a text aloud(音読) | 2 | 各45秒 | 各45秒 |
| Describe a picture(写真描写) | 2 | 各45秒 | 各30秒 |
| Respond to questions(応答) | 3 | 0秒 | 15秒または30秒 |
| Respond to questions using information provided(情報に基づく応答) | 3 | 45秒 | 15秒または30秒 |
| Express an opinion(意見を述べる) | 1 | 45秒 | 60秒 |
応答問題には準備時間が0秒のものがあります。考えてから話す時間は、そもそも用意されていません。
IIBCによると、このテストは日常生活やグローバルビジネスで活きる「英語で話す・書く能力」を測定するものとされています。スピーキングだけを単独で受ける形式と、ライティング(8問・約60分)とあわせて受ける形式があり、いずれも試験会場でパソコンを使って受験します。
面接官と向かい合って話すのではなく、画面の指示に従ってマイクに向かって話します。相手の表情や相づちに助けてもらえないぶん、設問ごとの準備時間をどう使うかが結果に出ます。
設問が進むと、採点項目が増えていく
公式の採点ポイントは、設問によって数が違います。
例えば、音読問題で採点されるのは「発音」「イントネーション、アクセント」の2項目だけです。写真描写になると、ここに「文法」「語彙」「一貫性」が加わります。応答問題では、さらに「内容の妥当性」「内容の完成度」まで見られます。
採点スケールは0〜3。意見を述べる問題だけが0〜5で、他より刻みが細かくなっています。
設問ごとに増えていく採点項目は、整理すると3つに分かれます。
採点項目は音・言葉・中身の3つに分かれる
公式に挙げられている採点項目は全部で7つです。性質の近いものをまとめると、次の3つになります。
| 群 | 採点項目 | 落ちているときの自覚 |
|---|---|---|
| 音 | 発音/イントネーション、アクセント | 音読で詰まる。聞き返されることがある |
| 言葉 | 文法/語彙/一貫性 | 言いたいことが英語にならない |
| 中身 | 内容の妥当性/内容の完成度 | 話し終わっても内容が薄いと言われる |
この3つは、受験する人が自分で感じている課題ともほぼ重なります。
調査結果を1つ見てみます。株式会社アイキューブが、社会人になってから英語学習の経験がある20代〜50代の男女に行った社会人の英語学習に関する実態調査(n=332、2025年8月)によると、最も苦手な英語スキルはスピーキングで、54.5%と最多でした。そして自身の英語力の課題として挙がったのは、「瞬時に言葉が出てこない」60.2%、「知っている語彙やフレーズが少ない」44.3%、「発音や文法に自信がない」44.3%です。
同じ調査で、リスニングを挙げた人は25.3%、ライティングは10.3%でした。4技能のなかでスピーキングだけが突出しています。
自分が感じている困りごとと、採点されている項目は対応しています。 自分がどれに当てはまるかを選んで、その章から読んでください。
まず、全11問すべてで採点される音から見ていきます。
音で落ちている人|発音とイントネーション・アクセント
音の採点は、上手いかどうかを見ているのではありません。
3段階で見られているのは「わかりやすさ」
IIBCのスコアレンジ別評価一覧表では、Pronunciation(発音)が3段階で示されています。
| 段階 | 発音(Pronunciation)の評価 |
|---|---|
| [3] HIGH | 英文を音読する際、発音はとてもわかりやすい |
| [2] MEDIUM | 英文を音読する際、発音は全体的にわかりやすいが、些細なミスがある |
| [1] LOW | 英文を音読する際、発音は全体的にわかりにくい |
Intonation and Stress(イントネーションとアクセント)も同じ3段階です。上から順に、とても効果的である/ほとんどの場合効果的である/ほとんどの場合効果的ではない、と示されています。
評価に使われている言葉は「上手い」「下手」ではありません。「わかりやすい」「効果的」です。 相手に届いたかどうかが基準になっています。
自分の音は、自分では聞こえない
音の項目がやっかいなのは、自分で気づけないことです。市川さんは、レッスンで受けた指摘についてこう話しています。
私は英語を話す際に、時折強い日本語のアクセントが出てしまうのですが、その点をしっかり指摘され直してもらっています。
アクセントがどこで出ているかは、話している本人には分かりません。指摘されて初めて気づけるものです。
それでも、自分の音読を録音して聞き返すと、話している最中には気づけなかった箇所が見つかることがあります。母音が余分に入っている、強く読むべき語が平坦になっている、といった箇所です。
テストの本番で初めて気づくより、先に自分で確かめておくほうが早く直せます。
音が変わると、聞こえ方のほうも変わります。獣医師の中村さんは、発音を学んだあとの変化をこう話しています。
会話でわからない単語が出てきても、「この人なんとなくここで重要なことを言っていて、こんなことを言っているのかな」と、予測がつくようになりました。
音が届いていても、言葉が組み立てられなければ次の項目で落ちます。
言葉で落ちている人|文法・語彙・一貫性
写真描写問題から、「文法」「語彙」「一貫性」が採点に加わります。
採点されているのは、単語の数ではない
3項目のうち、見落とされやすいのが一貫性です。単語を並べるだけでは点になりません。
例えば、写真を見て名詞を10個言えたとしても、それが1つの説明としてつながっていなければ、一貫性の評価は上がりません。逆に、使った単語が5個でも、状況を順に説明できていれば評価されます。
先ほどの調査でも、「知っている語彙やフレーズが少ない」を挙げた人は44.3%でした。一方で「瞬時に言葉が出てこない」は60.2%です。知っている語彙が少ないことより、その場で取り出せないことのほうが多く挙がっています。
インプットだけで来た人に起きること
英語を読む・聞くはやってきたが、話す練習だけしてこなかった。この状態で受けると、言葉の項目で点を落とします。
冒頭で紹介したエンジニアの大平さんも、技術情報を英語のまま読むために学習を続けてきた一人です。レッスンで話す練習を始めたあと、こう振り返っています。
読めれば話せるかなって思っていたんですけど、発音や言い回しは、リーディングだけではやはり身につかないと強く感じました。
これから航空管制官として働く近藤さんは、それまでの学習をこう話しています。
大学に入ってからは需要があったので自分で英語学習はしていましたがスピーキングは全くやってこなかったです。
外資系企業でコンサルタントとして働くY.Nさんも、6年間のブランクを経て学習を再開した方です。
体験談ページには、再開後に受けた英検でリスニングとスピーキングのスコアが低く、そこから発音の学習に進んだ経緯が記されています。テストの点数が、自分のどこが弱いかを知る入口になった例です。
市川さんは、必要なことをこう言い切っています。
インプットだけでなく英語の会話の中でアウトプットしていかないと、英語を話せるようにはならないと思うので、会話をすることが大切ですね!
言葉が組み立てられても、応答問題では中身まで見られます。
中身で落ちている人|内容の妥当性・完成度
応答問題3問、情報に基づく応答3問、意見を述べる問題1問の計7問で、「内容の妥当性」と「内容の完成度」が加わります。
60秒で言い切るには、組み立て方を先に決めておく
意見を述べる問題は、準備45秒・解答60秒と決まっています。採点スケールも、この問題だけ0〜5です。
例えば、60秒のなかで意見・理由・具体例まで話そうとすると、日本語でも組み立てが要ります。英語が出てこないのではなく、日本語でも60秒の組み立て方を決めていないという場合があります。
応答問題のほうは解答時間が15秒または30秒です。こちらは1つの質問に対して短く返す形なので、盛り込める情報の量が違います。同じ「中身」の採点でも、60秒の問題と15秒の問題では準備の仕方が変わります。
情報に基づく応答問題では、渡された予定表や案内を読んだうえで答えます。内容の妥当性は、自分の意見が立派かどうかではなく、聞かれたことに対して過不足なく答えられているかで見られます。
意見を出す機会を、先に作っておく
イギリスに駐在するTさんは、経営管理の仕事で英語を使う方です。目標をこう話しています。
しっかり聞き取れるようになることと自分の意見をスムーズに言えるようになることが目標です!
意見をスムーズに出せるようになるには、ふだんから練習の場を持っておく必要があります。
外資系IT企業で働く中津さんのように、レッスンでフリートークの時間を持つなど、話す機会を定期的に確保しておくと、本番でゼロから考えることが減ります。
3つのうちどれから手をつけるか。その答えは、公式の採点表にあります。
音は全11問で採点される。だから最初に手をつける
この3つは、採点される回数が同じではありません。
項目ごとに、登場する設問数が違う
公式の採点ポイントを設問ごとに数えると、次のようになります。
| 群 | 採点対象になる設問 |
|---|---|
| 音(発音/イントネーション、アクセント) | 5種類すべて |
| 言葉(文法/語彙/一貫性) | 音読を除く4種類 |
| 中身(内容の妥当性/完成度) | 応答系の3種類 |
音は、全11問で採点対象になっています。 音読問題では音だけで採点され、それ以降の設問でも採点項目として残り続けます。言葉と中身は、途中の設問から加わります。
全問に効くものから手をつける
例えば、テストまでに1つしか手をつけられないとします。そのとき、採点対象になる回数が最も多い項目から始めるほうが、取りこぼしが少なくなります。
音を直すことには、もう1つ利点があります。先ほどの中村さんのように、自分が出せる音が増えると、相手の音も拾えるようになります。聞き取りが変われば、応答問題で相手の質問を取り違えることも減ります。
順番を逆にした場合を考えると分かりやすくなります。例えば、意見の組み立てだけを鍛えて本番に臨むと、音読問題の2問は採点項目が音しかないため、そこで落とした点は取り返せません。一方で音を先に直しておくと、音読問題で点を取りながら、後半の設問でも同じ項目で評価され続けます。
ただし、テストが返してくれないものがあります。
テストが返してくれないもの
スピーキングテストは0〜200点で結果が出ます。ただ、その点数が示しているのは、いまの実力がどのあたりか、までです。
点数の差が、そのまま能力の差の説明にはなっていない
IIBCの評価一覧表では、190〜200のレンジも160〜180のレンジも、いずれも「一般の職場にふさわしい継続的な会話ができる」と説明されています。レンジが違っても、書かれている説明文は同じです。
つまり点数は、いまの位置を示す目盛りではありますが、どの音がどう崩れているかまでは返してくれません。
20年以上独学で英語を続けてきた映画制作の仕事をする佐野さんは、テストで目標点を取れなかった経験を、こう振り返っています。
そもそも留学に行ったこともないですし、TOEICなどの技能試験でも目標点を取れなくて、特にスピーキングに対する自信がありませんでした。
点が取れないことが自信のなさにつながり、そのまま何年も過ぎる。この状態から抜けるには、点数ではなく、どこを直せばいいかという情報が要ります。
どこを直すかを知るための、別の測り方
シャベリッシュの発音診断テストでは、発音に関する70以上の項目をチェックします。返ってくるのは点ではなく、どの音がどう崩れているかという内訳です。
例えば、同じ「音が弱い」でも、特定の子音が出ていないのか、語と語のつながりが切れているのか、強弱が平坦なのかで、練習する中身が変わります。
テストでいまの位置を確かめたあと、どこを直すかを調べる段階が別に要ります。
ここまでの内容を自分に当てはめて、どこで落としているかを1つだけ決めます。
「知っている英語」を、話せる英語に。シャベリッシュの無料カウンセリングでは、スピーキングの現在地診断と、期日から逆算した学習プランをお持ち帰りいただけます。無料カウンセリングを予約する明日やること。3つのうち自分に当てはまる1つだけ
3つ全部をやる必要はありません。自分が落としているものを1つ選んでください。
音で落ちている人。英文を1つ選んで音読し、録音して聞き返してください。母音が余分に入っている箇所、平坦になっている箇所を1つ見つけるところまでで十分です。
言葉で落ちている人。手元の写真を1枚選び、30秒で説明しきる練習を1回やってください。単語を並べるのではなく、1つの説明としてつなげます。
中身で落ちている人。身近な問いを1つ決めて、日本語で意見・理由・具体例を60秒に収めてください。日本語で収まらなければ、英語でも収まりません。
外国人対応のために英語を学ぶ看護師の方は、試験が4日後に迫った時点で、模擬テストを受けています。期日が近い人ほど、手をつける対象は1つに絞ったほうが動けます。
まとめ|点が伸びないのは、話す力が足りないからとは限らない
スピーキングテストで採点されるのは7項目で、音・言葉・中身の3つに分かれます。点が伸びないとき、足りないのは話す力そのものではなく、そのうちのどれか1つであることがあります。
採点対象になる回数がいちばん多いのは音です。音読問題では音だけで採点され、それ以降の設問でも項目として残り続けます。限られた期間で1つ選ぶなら、全問に効くものから手をつけるほうが取りこぼしが少なくなります。
ただし、テストが返すのは位置までです。どの音がどう崩れているかまでは返ってきません。対策に入る前に、自分がどこで落としているかを決めるところから始めてください。
