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英語の日常会話はフレーズ集では話せない|旅先か職場を1つ選んで練習する

スピーキング

旅先のレストランで、注文の一言が出てこない。街で道を聞かれて、笑ってごまかす。フレーズ集のアプリは入れてある。それでも、いざその場に立つと覚えたはずの英語が出てこない——日常会話の悩みは、この形をしていないでしょうか。

「英語 日常会話」で検索すると、50選・100選・222選のフレーズ集が並びます。網羅はされています。ただ、他人が使う英語をいくら眺めても、自分の口は動きません。知りたいのは、同じことで困っていた人がどう変わったのかではないでしょうか。

美容クリニックの看護師として働く小野寺さんは、始めた理由をこう語っています。

「海外旅行に行く時に英語が話せた方がいいなと思ったからです。あと、日本にいても外国の方と話す機会も増えたので英語でコミュニケーションが取れたらいいなと思って始めました」

メーカー営業事務の前田さんは、学び始めて半年ほどで、次の旅行のスパの予約を英語のページでもできそうだと感じています。

2人はいずれも、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されていて、旅先・街・職場・友人との会話で英語を使った方の記述も残っています。この記事では、その記述から「日常会話は何から準備すれば話せるようになるのか」を導き出します。

日常会話は、使う相手と場所を1つ決めた人から話せるようになる

ここで言う「場面」とは、旅先・職場・友人との会話・海外出張のように、あなたの生活の中で英語が実際に必要になるところです。抽象的な「日常会話」ではなく、この4つのどれかに絞る、という話です。

表現が自然に口から出てくるのは、そこで使う英語を、自分事として何度も練習したときです。言い換えれば、自分に実際に起きるところを1つに決めて、そこ専用に表現を準備した方から、フレーズは使えるようになります。以下、実際に変わった方の記述を、時間順ではなく旅先・職場・友人・出張の順に並べます。

旅先での予約が英語でできるようになった. メーカー営業事務・前田さん

メーカー営業事務の前田さんは、海外旅行への願いから英語の学習を始めました。出発点は、旅行に行くときに「英語が話せたらいいな」という漠然とした必要性です。

学び始めて半年ほど経ったとき、具体的な変化が現れています。

「英語のサイトとかを見ると辞書を片手になんとなく意味はわかるようになってきたように感じます。今度バリへ旅行で行くんですけれども、例えばスパの予約も、いつもなら甘えてついつい日本語のページを見てしまいますが、英語のウェブページでもできそうでした」

スパの予約という1つの用事で、英語を試すほうを選べるようになりました。完璧に読めるようになったのではありません。予約のページを開くとき、日本語に切り替えずに済んだ、という変化です。

旅先での交流が増えた. 美容クリニック看護師・小野寺さん

美容クリニックの看護師として働く小野寺さんが英語を始めたのは、冒頭でご紹介したとおり、海外旅行と、日本国内で外国の方と話す機会が増えたことがきっかけでした。

旅先で使う英語に絞って学習を続けるうちに、変化は道案内や注文にとどまりませんでした。旅先で交わす会話が、人とのつながりに変わっています。

職場のミーティングで発言できるようになった. 外資系IT営業の方

外資系IT営業の竹田さんは、職場での英語の必要性を感じていました。

「時々イングリッシュミーティングもあるので、十分に発言ができなかったり、聞き取れなかったりすると支障があるなって感じました」

職場で使う英語を軸に学習を続けたところ、本人が挙げた変化は語彙ではありませんでした。

「知っている単語や文法をいかに使ってアウトプットしていくかという精神的な部分が鍛えられたのかなと感じました」

新しい表現を覚えるより、すでに知っている英語を出すほうが変わっています。

友人との会話が深まった. 元アパレル勤務の方

元アパレル勤務の方は、海外の友人との会話への渇望から英語を始めました。

「海外の友人が多いので、その友人達ともっと会話がしたいのに思ったように会話が出来ないもどかしさがあったからです」

学習を進める中で、工夫が現れました。

「YouTubeで好きなアーティストやファッションデザイナーのインタビューをよく観ていました」

好きなテーマの英語に触れ続けることで、友人との会話で話したいことが生まれるようになりました。話せる話題が増えると、会話は続きます。

海外出張で伝えたいことが伝わるようになった. IT系・田中さん

IT系で働く田中さんは、会社の海外出張に備えて英語の学習を始めました。「会社の出張で海外に行って帰って来れるようにするため」という実務的な目標です。

出張で使う英語を軸に練習を続けたところ、具体的な変化が現れています。

「以前よりは、自分が伝えたいことを英語でしっかり伝えられるようになったと感じます」

発音が完璧になったわけではありません。会議で言いたいことが相手に届き、そのまま話が進むようになったという変化です。

使う相手も場所も違うのに、共通していること

前田さんと小野寺さんは旅先、外資系IT営業の竹田さんは職場、元アパレル勤務の方は友人との会話、田中さんは海外出張。使う相手も場所も、学習の組み方も違います。それでも、はっきりした共通点が1つあります。

全員、自分に実際に起きることを1つ選んで、そこに集中していました。

フレーズ集は、どんな言い方があるかの一覧としては役に立ちます。ただ、一覧に載っている表現をいくら覚えても、本番で口は動きません。その一言を自分で口に出した回数が、まだ足りていないからです。

覚えたフレーズが使えるようになるのは、「職場で実際に言う」「友人に実際に返す」「出張で実際に通す」を重ねたときです。覚えているかどうかではなく、使った回数で決まります。

日常会話は、あなたの毎日の中で実際に起きるところから始まります。では、あなたに必要なのはどれか。次の章で確かめます。

英語が必要になるのはどこか——日常会話のセルフ診断

「日常会話ができるようになりたい」という願いは、範囲が広すぎて練習が散ります。全部に対応しようとすると、どれも浅くなります。

変わった受講者に共通していたのは、まず1つに絞ったことでした。そこでの会話が1つ2つうまくいくと、次に同じことが起きたときの見え方が変わります。「前回はこう返した。今回も言える」という小さな積み重ねが、自信になっていきます。

あなたの毎日で、実際に英語が必要になるのはどれでしょうか。以下の診断で確認してみてください。

Q1. 半年以内に海外旅行・海外出張の予定がある

旅行や出張は日時が決まっているぶん、準備が立てやすいところです。スパの予約、ホテルのチェックイン、店員への質問、トラブル対応と、起きることがあらかじめ想像できます。最初の準備は、旅先でよくある3〜4つのやり取りを、短い会話のまま声に出して練習しておくことです。暗記ではなく、口に出す練習です。

実際にこの道を選んだ前田さんは、いつもなら日本語のページで済ませていたスパの予約を、英語のページでもできそうだと感じています(詳しくは次の章で見ます)。準備が、その場の選択を変えています。

Q2. 職場や取引先に外国人がいて、会話の機会が現にある

職場での英語は、旅行より込み入っています。毎日のように同じ人と会うので、表面的なやり取りだけでは足りなくなるからです。最初の準備は、職場でよく出てくる話題3つについて、自分の意見を短く言う練習です。新しい専門用語を覚えるより、すでに知っている英語を出すほうが効きます。

会議で発言するのか、ランチの雑談なのか。英語が出てくるところを先に1つ決めて準備します。

Q3. 外国人の友人・知人がいて、もっと話したいのに深まらない

友人との会話は、何が来るか読めません。だから「フレーズを準備する」という発想が通じにくいところです。最初の準備は、自分の「ふつうの1日」を英語で説明する練習になります。会うたびに「今日は何があった?」が来るので、自分のことを話せるかどうかが軸になります。

元アパレル勤務の方はYouTubeで好きなアーティストのインタビューを観ることを学習に取り入れていました。友人と話したいテーマを自分の好みから見つけて、そのテーマだけ英語で追う。それだけで、その話題での会話は一歩深まります。

Q4. 街や店で外国人に話しかけられることがある

これも何が来るか読めません。最初の準備は、とっさの質問に短く答える反応です。フレーズを正確に覚えることより、何か返すことが先になります。

例えば、駅で「トイレはどこか」と聞かれたら、完璧な英文でなくても「First floor, left side」で通じます。その一言が返れば、相手は「ありがとう」と言って去ります。ここで問われているのは正しさではなく、返ってくるかどうかです。

Q5. 特に予定はないが「いつか話せるように」と思っている

この場合は、上の4つのうち一番心が動くものを1つ選んでください。当たっている必要はありません。「もし出張があるなら」「もし友人ができたら」という仮の想定で構いません。

練習は、決めたところの中でしか起きないからです。最初の1つが決まれば、そこでの小さな成功が、次の練習を始める理由になります。

4つ全部に対応したい気持ちは分かります。「いろんなところで話せるようになりたい」という思いは前向きです。ただ、全部を狙うと、どれも浅い準備になります

一方、「旅先だけは絶対」「職場の会議だけは通したい」と1つに決めた方は、準備が具体的になります。誰と、どこで、どんな話題が出て、どう返すのか。その流れが見えるので、1つうまくいくと、次に同じことが起きたときの心持ちが変わります。まずは1つだけ決めて、そこに集中してください。診断で最初に思い浮かんだものが、あなたに一番近いはずです。迷ったら、直近1ヶ月で実際に英語が必要になったこと、あるいは次に予定が入っていることを選んでください。1つ決まれば、準備する表現の範囲も、練習にかける時間の目安も、おのずと決まります。

では、実際に何が起きるのか。旅先を選んだ前田さんが、学習を始めた後の旅行でどう変わったのかを見ていきます。

実録——旅行を選んだ前田さんが、英語のウェブページを開くまで

ここでは、メーカー営業事務の前田さんが、旅行を軸に学習を組んでから半年で何が変わったのかを、時系列で追います。

きっかけ. 海外旅行と、増えた外国人との機会

学習を始めるきっかけは、「なんとなく必要だから」ではなく、身の回りの変化であることが多いものです。前田さんの場合、2つの動機が同時に働いていました。

1つは職場の変化でした。

「現地法人の社長がマレーシアの現地工事の社長になったのをきっかけに、会社でも英語を推奨されるようになりました。周りもだんだん勉強し始めたのを見て、自分もやらなければと思って始めました」

周りが動き始めると、自分も動きやすくなります。この職場での「英語が要る」という実感が、前田さんが学習を続ける力になっていました。

もう1つは、もっと個人的な動機です。海外旅行への願いと、日本国内でも外国の方と話す機会が増えていたこと。これらが、漠然とした「いつか話せるようになりたい」を「次の旅行で使いたい」に変えています。

理由が複数あると、学習は続きやすくなります。仕事の必要と旅行の楽しみが両方あれば、「今日はサボろうか」に負けにくくなるからです。

学習. 何に使うかを決めてから練習する

前田さんは、スクールを選ぶ段階ですでに「何に使うか」から逆算していました。決め手を聞かれて、「全てのレッスンが完全にマンツーマンレッスンであることと、先生の質が良いと感じた」ことだと答えています。

マンツーマンなら、自分の旅行や職場のやり取りをそのままレッスンに持ち込めます。グループレッスンでは他の受講生の必要にも時間が割かれますが、1対1なら自分に起きることだけを練習できます。

先生の選び方も同じでした。

「Enya先生は以前ナースをしていたとのことなので、同じ医療業界で働いている先生に教えてもらった方がわかりやすいと思ったので、現在はEnya先生をメインでレッスンを進めています」

医療系メーカーで働く自分に近い経歴の先生を選ぶ。ここにも同じ考え方が表れています。

学習の中身も同じ方向でした。

「日常で実践的に使える言葉やフレーズを学んだり、自分で思い込んでいた言葉や、文法的に正しくなかった所をしっかり教えていただいてすごく助かっています」

テスト対策ではなく、生活や仕事でそのまま使う表現に絞っています。

習慣づくりは地道でした。「私としてはベストの状態でレッスンに取り掛かりたいので、宿題の復習に加えて、予習もできるだけするようにしています」と語り、さらに「簡単な中学生用の英語のテキストや簡単な参考書を3冊ほど買ってきて、勉強しています。簡単なものから初めて、予習復習をした方が自分のためになるかなと思いました」と、基礎から積み上げています。趣味のジムでも「立地的に英語ができる人が多いので、英語学習に関するアドバイスを頂いたり情報を得たりしています」と、生活の中に英語のある場所を探していました。

一つひとつの選択が、旅行という軸からぶれていません。

変化. 日本語ページに逃げなくなった

約半年後、前田さんに具体的な変化が表れます。その時点での語学状況を聞かれて、こう答えています。

「はい、英語のサイトとかを見ると辞書を片手になんとなく意味はわかるようになってきたように感じます。今度バリへ旅行で行くんですけれども、例えばスパの予約も、いつもなら甘えてついつい日本語のページを見てしまいますが、英語のウェブページでもできそうでした」

前田さんは「ペラペラになった」とも「完璧に理解できるようになった」とも言っていません。あるのは、予約くらいなら英語のページでもいけそうだ、という控えめな手応えです。

スパの予約は、旅行の中でも典型的な「日本語ページがあれば済んでしまう」ところです。英語の説明は長く、知らない単語も出てくるので、多くの人は日本語のページを探します。自然な行動です。

それでも前田さんがそう思えるようになったのは、何か大きなできごとがあったからではありません。地道な予習復習と、旅行という具体的な目標が、小さな自信を積み上げた結果です。「辞書を片手に」という言葉から、完璧を目指すのではなく、分からなければ調べながら進める姿勢が見えます。それでも、そこから逃げずに踏みとどまる選択ができるようになっています。

日常会話の上達は「逃げない1歩」で現れる

日常会話の上達は、「話せる範囲が急に広がる」という形では現れないことが多いものです。逃げていたところに踏みとどまれたという、小さな選択の変化として出てきます。

旅行で困らない英語は、完璧に会話できることではありません。予約ページを読む、チェックインで名前を言う、レストランで料理の説明を聞く。ほとんどが一言、二言で終わります。何に使うかを決めて学んだ方は、その一言を出す前の選択が変わります。英語ページを開くか、日本語に切り替えるか。その分かれ道で「英語でやってみる」を選べるようになります。

この1歩が入口です。完璧さを求めるのではなく、まず英語を試す。その経験が、次に同じことが起きたときのハードルを下げます。

あなたがやるなら. 「日本語に逃げない1歩」を目標に

では、同じように旅行を選んだあなたなら、どう準備するか。前田さんの記述から、手順は3つに整理できます。

まず、旅行中に実際にありそうなやり取りを3つだけ書き出してください。「ホテルのチェックイン」「カフェでの注文」「トラブルの説明」といった具合です。この3つは旅の間に何度も繰り返されるので、準備した分がそのまま効きます。

次に、その3つで自分が言いそうなことを、英語で1文だけ用意します。`My name is 〜` でも `Could you 〜?` でも構いません。完璧である必要はありません。声に出して練習すると、口と耳を使うぶん、その一言は体に残りやすくなります。前田さんが中学生用のテキストから始めたのも、同じ理由です。

そして本番が来たとき、日本語のページに切り替える前に、その1文だけ試してください。返事を全部聞き取れなくても構いません。1つ言えた、という経験が次につながります。

完璧な会話は目標ではありません。目標は「ここでは英語から逃げない」という1つの選択です。それが日常会話の実態で、変化の入口にもなります。

では、職場・友人・出張ならどう準備するのか。順に見ていきます。

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旅先・職場・友人・出張、それぞれの準備

1つ決まったら、次は何から準備するかです。よく出てくるやり取りは相手と場所ごとに決まっているので、最初に潰すべき3点も変わります。旅先・職場・友人・出張の順に、実際の準備を見ていきます。

旅先. 予約・注文・トラブルの3点から

海外旅行を選んだ方の中には、積極的に交流の場へ足を運ぶ人がいます。22カ国を旅した銀行職員のM.Oさんは学習を進める中で、現地で英語を使う場を自分で作りました。「『Café English』やミライズ留学のスタッフさん主催の『cafe de 朝活』とか、フィリピン人との交流イベントへ積極的に参加しました。そこで出会ったフィリピン人と仲良くなって友達が増えたり、ご飯に行ったりしていた」

では、なぜこの準備の仕方が効くのか。旅の会話のほとんどは、実は限られたやり取りの繰り返しです。ホテルのチェックイン、レストランの注文、移動時の質問、トラブルが起きた時の対応。旅で使う英語は、だいたいこの4つに収まります。完璧な会話はいりません。4つだけ先に声に出して練習しておくと、実際にその場が来たときに「これはあのパターンだ」とすぐ分かり、心細さがぐんと下がります。

あなたが旅行を選んだなら、今夜から始められる準備は3ステップです。①次の旅程から英語が要るところを3つ書き出す(飛行機のチェックイン、ホテルの予約変更、レストランの予約 など)。②それぞれの実際のやり取りを想像して、最初の一言を声に出して練習する。③現地でそのやり取りが来たら、1つだけ英語で通してみる。完璧さを目指すのではなく「日本語に逃げない1歩」を決めることです。

職場. 会議と休憩時間で準備が違う

職場で外国人とのやり取りがある場合、準備の仕方は旅行と大きく異なります。なぜなら、職場での英語は「新しい表現を覚える」より先に、「自分が持っている英語を使う度胸と型」が問われるからです。

外資系IT営業の方が語っていたのは、知っている単語や文法をどう使って口に出すか、という気持ちの部分が鍛えられたという変化でした。

会議では、自分の担当議題に関して「これだけは絶対に言いたい」という3文を事前に用意する。単語の完璧さより、担当分野の中身が伝わることを優先します。一方、休憩時間やランチでの雑談では、完成度を求めるのではなく「感想の一言+質問を1往復」の型を繰り返すだけで十分です。相手の話を聞いて『That sounds interesting(面白そうですね)』と返し、『Tell me more(詳しく聞かせてください)』と質問を返す——この型を会議中の数分間、何度も繰り返すだけで、職場での存在感は大きく変わります。

あなたが職場を選んだなら、準備は2つに分ける。①会議がある場合は、自分の担当議題の「言いたいこと」を3文だけ作って、声で言える状態にしておく。②雑談・ランチ・廊下での会話のために、「感想の一言+質問返し」を1往復できる準備をしておく。これだけです。

友人. 好きなテーマを英語で

外国人の友人がいるが、会話がもどかしくて深まらないという人は、その理由の多くが「何を話してよいか分からない」にあります。フレーズ集を眺めるだけでは、友人の生活や興味には出会えません。友人との会話は、自分の好きな話題と相手の好きな話題の交差点で成り立つからです。

元アパレル勤務の方は、そこに気づいて学習の工夫を変えました。好きなアーティストやファッションデザイナーのインタビュー動画を、英語のまま観る習慣です。

友人との会話が深まるのは新しい話題を仕入れた瞬間ではなく、自分の好きな分野に友人へ話したいことが実は山ほどある、と気づく瞬間です。自分の好きなテーマの英語に触れ続けることで、「この話、友人に伝えたいな」と思う瞬間が必ず来ます。

あなたが友人との会話を選んだなら、準備は2つ。①好きな分野(ファッション、映画、音楽、料理、ビジネス など)の英語動画を週に1本、意識的に見て、その分野の単語や表現を少しずつ増やしていく。②友人に話しかける前に、その日話したいことを3文だけ日本語から英語に変えてみる。最初は不完全でいい。この繰り返しの中で「友人と話す」が現実の予定になっていきます。

出張. 最初の24時間が決める

出張を選んだ方の多くは「海外での仕事をきちんとやるため」と述べています。田中さんも、会社の出張を目標に学習を続けました。では、出張で最初に立ち向かう英語は何か。それは移動時のやり取り、ホテルのチェックイン、初日の挨拶です。

出張での英語が心理的に重い理由は、旅行と違い「仕事の成果も英語力も同時に問われている感覚」にあります。その負荷をぐんと下げるのが「最初の24時間をきちんと潰す」という準備です。到着した日のやり取り——空港から移動、ホテルのチェックイン、オフィスでの初日の挨拶。この流れを時系列で想定し、各段階での自分の言葉を決めておくだけで、残りの出張期間の心理的な余裕が大きく変わります。

ここで大切なのは「自分の言葉」を作ることです。自分の名前、会社での役職、出張の目的。これらを「丸暗記」ではなく「自分が実際に説明するなら」という観点から、自分の言葉で作ります。その方が、本番で口から出やすく、相手の反応も柔らかくなります。

あなたが出張を選んだなら、準備は2ステップ。①出張初日のやり取りを時系列で書き出す(空港到着→移動→ホテルチェックイン→オフィス到着→初日の挨拶)。②その流れの中で「自己紹介」と「出張の目的」だけは、丸暗記ではなく「自分の言葉」で作ります。最初の24時間の英語を決めることで、残りの出張は思うほど怖くなくなります。

1つに絞って準備した方たちの、その後を最後に見ます。

1つに絞った方たちの、その後——「伝えられる」までの距離

ここまで見てきた旅先・職場・友人・出張。1つに絞って準備した方たちは、その後どう変わったのでしょうか。

この章で紹介するのは、1か月後、3か月後、1年後の姿です。誰も「英語がペラペラになった」とは言っていません。いずれも「自分の場面ではこう変わった」という書き方をしています。

出張の3か月後. 「伝えたいことが伝えられる」に変わる

出張をきっかけに学習を始めた田中さんの変化は、第1章で見たとおりです。伝えたいことが伝わり、相手が理解してくれるようになりました。

完璧な発音でもなく、すべてのフレーズが自然な英語でもない。ただ、会議で「伝えたいこと」が伝わり、相手が理解してくれるようになった。それが、田中さんの出張で起きた変化です。

旅先の半年後. 会話が「人間関係」に変わる

M.Oさんは、旅先に絞って学習を始めました。学習から半年が経つと「交流イベントへ積極的に参加しました。そこで出会ったフィリピン人と仲良くなって友達が増えたり、ご飯に行ったりしていた」。

旅先での会話が、単なる情報取得に終わるのではなく、関係へと発展していった。伝える→相手が応じる→友人が増える。その段階を見ると、英語はツールではなく、日常の行動を広げる道具になっていました。

職場と生活. 度胸と選択が変わる

外資系IT営業の方は、職場を選びました。会議での発言や休憩時間の同僚との会話。最初は「何を言ったらいいか分からない」という恐怖心がありましたが、学習を進める中で、前章で見たとおりアウトプットしていく精神面が鍛えられたと語っています。

新しい英語を覚えたのではなく、持っている英語を口に出す度胸がつきました。同じ会議で繰り返し一言を返すうちに、こわさが小さくなっていったからです。その結果、自分の意見が相手に届くようになりました。

前田さんは、スパの予約ページを開く時に、今でも「英語と日本語、どちらのサイトを見るか」という瞬間があります。学習前なら「日本語のページを探そう」と決めていました。今は「英語のページでいける」と思う。

日常会話の上達は、こういう小さな選択の積み重ねです。予約ができた・できなかった、ではなく「英語を試す選択肢が増えた」こと自体が、すでに変化なのです。

看護師のS.Aさんは、外国人患者さんへの対応を目標に学習を続けています。患者さんの話を理解し、症状や治療について説明する。その必要が毎日あるので、学習も続きます。困ったときに使う言葉、患者さんが安心する言葉を、自分の仕事の言葉として身につけています。

ここに登場した方たちに、共通していることがあります。誰も「日常会話を完璧にした」とは言っていません。田中さんは伝えたいことが伝わるようになり、M.Oさんは友人が増え、外資系IT営業の方は口に出す度胸がつき、前田さんは英語を試す選択肢が増え、S.Aさんは患者さんへの対応が変わりました。

変わった中身はばらばらです。ペラペラでもなければ、「これで十分」という終わりもありません。それでも全員、自分の毎日の中で英語から逃げない回数が増えています。その積み重ねが、日常会話と呼べるものに変わっていきます。

日常会話は、フレーズ集の中ではなく、あなたの毎日の中でしか完成しません。

まとめ|今夜、英語を使うところを1つ決めるところから

英語の日常会話は、フレーズを100個覚えるより、自分に実際に起きることを1つ決めるところから始まります。

まず、この記事のセルフ診断で1つ決めてください。旅先か、街か、職場か、友人との会話か、出張か。全部話せるようになりたい気持ちは自然ですが、最初は1つに絞ることが効きます。そこでよく出てくるやり取りを3つだけ書き出し、声に出して練習する。次に同じことが起きたら、1つだけ英語で通す。この「日本語に逃げない1歩」が始まりです。

前田さんは、旅行先のスパの予約を英語のページでもできそうだ、と言えるところまで来ました。田中さんは海外出張で「伝えたいことを英語でしっかり伝えられるようになった」と言います。2人とも、言えることが1つずつ増えている途中です。フレーズ集をもう1ページ眺める前に、今夜、英語を使うところを1つ決めてみてください。

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