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英語の苦手意識が消えないのは勉強不足ではない|20年独学を続けてきた人が2ヶ月で変わった理由

スピーキング

「英語は苦手」と口にしてから、何年たったでしょうか。学生時代のテストで、社会人になってからの会議で、そのたびに「やっぱり自分は英語がダメだ」という感覚が上書きされてきた。勉強しようと参考書を買ったことも、アプリを入れたこともある。それでも苦手意識だけは、ずっとそこにある。

「英語 苦手意識」と検索すると、「苦手な原因5つ」「克服法7選」というような記事が並びます。ただ、読んでも変わらないのは、あなたの苦手意識が「知識が足りないから」ではなく、もっと具体的な積み重ねでできているからです。

実際に、20年勉強しても苦手意識が消えなかった人がいます。映画制作の仕事で毎日海外クルーと働く佐野さんです。佐野さんは「20年以上、独学で英語学習を継続しています。読み書きは一通り勉強してきました。ただ、話すとなると難しいですね」と話し、さらに「TOEICなどの技能試験でも目標点を取れなくて、特にスピーキングに対する自信がありませんでした」と続けます。20年の努力と、消えない苦手意識が、同じ人の中に同居していました。

佐野さんは、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、その多くが佐野さんと同じように「ずっと苦手だった」という言葉から始まっています。この記事では、苦手意識が消えない構造を分解し、実際に手放した人たちが何をしたのかをお伝えします。

「英語が苦手」は才能の記録ではない——勉強の量と苦手意識は別々に動く

この章では、「英語ができない」という自己認識の正体を明らかにします。勉強時間や学歴では説明がつかない、苦手意識と勉強量の不思議な関係を、実際の記録から見ていきます。

20年の勉強と消えない苦手意識——勉強量だけでは説明できない

冒頭の佐野さんのように、読み書きは一通りできるのに、話す・発音の自信だけが積み上がらない——ここに矛盾があります。

この現象は、「勉強が足りていない」という仮説では説明がつきません。20年という数字は、一般的な受験英語の習得に必要とされる時間をはるかに超えています。もし苦手意識が単純に「勉強の量の不足」で説明できるなら、20年の蓄積は十分すぎるはずです。

しかし現実は、そうではありませんでした。

勉強量だけでは説明できない何かが、英語への苦手意識を支配しているとするなら、その何かは何なのでしょうか。

では、何が変えたのか——苦手意識が消えた人たちの記録

対照的な記録があります。留学した小松さんは、参加前には「英語は嫌いな方で、英語を話すことに対して苦手意識を持っていました」という状態でした。それが、プログラムを終えた後には、周囲から「今では、流暢に英語を話している」と評されるまで変わっています。

変化の中身を見ると興味深い点が浮かんできます。周囲は「流暢に話している」と見ており、客観的には確実に何かが変わっている。ところが本人の口からは「自分の中ではまだまだだなと感じています」という言葉が聞こえます。話す力への評価はまだ謙虚なまま、それでも参加前の「英語に対する苦手意識」とは明らかに異なる状態になっているのです。

広告制作の仕事をされている矯安さんの場合も、同じパターンが見られます。矯安さんは5週間の留学に参加する前、「正直、5週間で劇的に英語が話せるようになるとは思っていませんでした」と振り返っています。佐野さんの20年と比べれば、比べものにならない短さです。しかし5週間の後、本人はこう語っています。

少なくとも英語に対する苦手意識は克服できたと思いますし、スピーキングに比べたらリスニングは違和感がなくなった、先生の話が理解できるようになった、英語に対するアレルギーはなくなったような気がします

ここで起きていることを整理しましょう。

勉強量だけで苦手意識が決まるなら、矯安さんや留学受講者も佐野さんと同じ道を歩むはずでした。同じだけの時間をかけて、同じだけの勉強をして、やがて苦手意識が消えるという流れです。

しかし現実は違いました。消えた人たちは、20年の時間をかけていません。むしろ、5週間という短期間で、苦手意識という課題に向き合うだけで十分だったのです。

苦手意識は「勉強の量」だけでは説明できず、別の変数で動いている——この構図が示すシンプルな事実です。

では、あなたの苦手意識は何でできているのか。記録から見えてきた3つのパターンに分けます。

苦手意識を強める3つのパターン——フィードバック欠落・一撃の記憶・回避の習慣

あなたの苦手意識は、特定の構造の上に成り立っています。同じ「英語が苦手」という言葉でも、その中身は人によって異なります。ここからは、体験談の記録から見えてきた3つのパターンに分けて、あなたの苦手意識がどうやって固定されたのかを分解します。パターンが分かれば、対処の方法も変わります。

パターン1:フィードバックのない学習

1つ目は、学んだはずの知識が、口から出たときに有効かどうか確認する場がなかったことです。

佐野さんは知識では十分に武装していました。映画制作の仕事で毎日英語を使う彼は、こう語っています。「発音記号は知っているし、『Rの発音は舌を丸める』みたいな一般的なノウハウも心得てはいたつもりですが、実際に発声の反復練習を行うと非常に勉強になりました」。

学んだはずの知識が、実際に自分の口から出たときに有効かどうか——それを確認する場がなかったのです。

ニューヨークで看護師として働く吉田さんも同じ構造に直面していました。「以前はアプリを使い、独学で発音の練習をしていました。ただ、自分一人では一体どこまで自分の英語が通じるのか判断することが難しくモヤモヤしていました」。

この「モヤモヤ」が、苦手意識を育てます。独学は「合っているか分からないまま積む」学習になりやすいのです。参考書で学んだ発音は正しいのか、アプリで練習した英語は通じるのか——その判断が自分の耳では決めきれない。合っているか分からないものは、いつまでたっても自信に変わりません。

パターン2:一撃の記憶

2つ目は、強烈な一回が、その後ずっとあなたの中で再生され続けることです。

一方、苦手意識がある日突然固まることもあります。

吉田さんの記録を見ると、苦手意識は小さな積み重ねの後に、一言で決定づけられることがあります。彼はアメリカで働いていますが、「アメリカに来て4年目になるのですが、友人や職場の同僚と話していてもアクセントが1つ違うだけでまったく伝わらないことがあったので」と語っています。毎日のように小さな「伝わらない」を経験しており、その積み重ねの上に、ある一言が落ちてきたのです。

その一言が、苦手意識を決定づけました。

面と向かって言われた「君の発音、伝わらないよ」という言葉です

彼は毎日英語を使って患者さんとコミュニケーションを取っている。実績もある。それなのに、「日々英語を使って患者さんとコミュニケーションをとっているにもかかわらず、英語が通じないと言われたことはかなりショックでした」。

小さな「伝わらない」が積もっていたところに、強烈な指摘が来る。その瞬間、苦手意識が形を変えます。学生時代に受けたテストの成績、誰かに笑われた記憶、一度だけ通じなかった取引先との会話——。苦手意識は「毎日の平均」では固定されません。強烈な一回が、その後ずっとあなたの中で再生され続けるのです。

ただ、ここが重要な点です。同じ吉田さんが、「その追い打ちとなって、今やらないと後悔すると受講を決意しました」と語っているように、一撃の記憶は苦手意識を固定化させもしますが、同時に動く理由にもなります。固定化と動機は、表裏一体なのです。

パターン3:回避の習慣

3つ目は、話さなければ苦手意識を刺激されない——その回避が、習慣になるパターンです。

佐野さんは回避の現実を正直に語っています。「今まで海外クルーに要件を伝える際、発音に自信がなくて通訳の方に頼む場面も多々ありました」。

失敗を避けるのは一見すると合理的で、話さなければ指摘もされませんし、英語を使わなければ苦手意識が刺激されることもありません。でも、その回避の中で何が起きているか。話さなければ「実は通じる」ことも、永遠に確認できないのです。結果として、指摘もされず、成功体験も得られない状態に自分を置き続けることになります。

回避の繰り返しの中で、苦手意識は堅固に固定されていく——指摘もされない、成功体験も得られない状態では、不安が消えることはありません。だから不安が消えず、次の場面でもまた避ける。その繰り返しです。

セルフ診断——あなたのパターンを特定する

次の6つの質問に答えてください。あてはまるほど多いパターンが、あなたの苦手意識の中身です。

No.パターン当てはまる項目
Q1フィードバック欠落参考書やアプリでの学習歴は長いが、自分の英語を人に直してもらった経験はほとんどない
Q2フィードバック欠落自分の発音や英語が「合っているのか間違っているのか」自分では判断できない
Q3一撃の記憶英語で恥をかいた・通じなかった特定の場面を、今でもはっきり思い出せる
Q4一撃の記憶その場面以来、「自分は英語がダメだ」という前提で行動している
Q5回避の習慣英語で話す場面を、事前に避ける工夫をしてしまう(同僚に頼む・翻訳ツールで済ませる等)
Q6回避の習慣「英語は苦手」と自分から先に言ってしまうことがある

判定:Q1-2にあてはまることが多ければ、あなたはフィードバック欠落パターン。学習は続けているけれど、自分の現在地が見えていない状態です。Q3-4なら一撃の記憶パターン。過去の強い体験が、今でも苦手意識を左右しています。Q5-6なら回避の習慣パターン。失敗を避けることで、苦手意識が強化されている状態です。

多くの人は、実は1つのパターンだけではなく、この3つが同居しています。では、20年分の苦手意識を積んだ佐野さんが、2ヶ月でどう変わったのか。記録を追います。

実録——20年独学の佐野さんが、通訳に頼らず自分で説明するまで

佐野さんの記録から、苦手意識が「具体的な課題」に変わる瞬間を追います。

Before——20年の独学と、通訳に頼る現場

佐野さんが英語に向き合って20年。その努力は、映画やドキュメンタリー制作の現場で毎日を積み重ねています。映像制作の仕事では、撮影テーマによっては「専門的な用語や微妙なニュアンスの違いを伝えなければいけない場面も多く、間違った発音がコミュニケーションの行き違いを生んでしまわないようにかなり気を張っています」という環境です。

高い志で20年続けてきた独学には、成果がありました。知識も、語彙も、リスニング力も、ある程度は身につきました。にもかかわらず、その成果を現場で活かすには、通訳の力を借りなければなりませんでした。なぜか。佐野さんの動機の言葉が、その理由を語っています。「せっかく日本まで撮影に来てもらっているのに意思疎通ができず不快な想いをしてほしくない」「自分で細かなニュアンスまで伝えたい!」。

20年の蓄積があっても、責任と信頼がある現場では、通訳に頼る選択がありました。本人はできればそうしたくなかったはずです。しかし、苦手意識というものは、理屈では克服できないものです。それは本人の希望ではなく、現状の限界だったのです。

転機——自分の癖を客観的に指摘される

ここで何が起きたのか。その時点で佐野さん自身が見えていなかった、自分の「癖」があったのです。独学では気づけなかった課題が、レッスンを通じて初めて言葉になります。

他にもカタカナで発音していたり、1単語1単語をぶつ切りで読んでいたりと受講前に気づかなかった自分の発音の癖を客観的に指摘してもらえたので、実際に職場で英語を話す際も指摘してもらった部分を意識して話すようになりました

これは大切な転換点です。20年の独学では「英語が苦手」という漠然とした感覚のままでした。受講者は努力していても、何が原因なのか、どこをどう直すべきなのかが分からない状態です。

それが客観的な指摘によって、はじめて「リンキングが苦手」「カタカナ発音のままだ」という具体的な課題に変わったのです。課題が言葉になると、練習の方向性も決まります。佐野さんは「私は2つの音が繋がって発音される『リンキング』が苦手でした」と自覚したあと、「毎朝1時間を確保して練習しました」と、努力を集中させることができました。

20年間の努力が、初めて正確な方向を持つようになった瞬間です。

After——「今では積極的に自ら海外クルーの方に説明できる」

変化は周囲にも見えるようになります。「友人や仕事場で『発音良くなったね!』と褒められたことですね」という言葉が、その手応えを表しています。

しかし最も大きな変化は、行動そのものが入れ替わったことにあります。

以前は通訳の方に頼っていた部分も、長年コンプレックスだった発音を克服できたおかげで今では積極的に自ら海外クルーの方に説明できるようになりました

冒頭の状況を思い出してください。責任ある現場で、佐野さんは通訳に頼っていました。それが通訳に頼らず「自ら説明する」という行動に変わったのです。

回避から挑戦へ。立場が反転しました。20年間「できていない」と感じていた状況が、実は「やり方が分かっていなかった」だけだった——同じ現場で、同じ相手と、同じ話題を扱いながら、役割が変わったのです。

では、その変化は、何に支えられていたのか。課題が具体化された後の練習を見ると、特別な才能ではなく、地道な工夫の積み重ねだったことが分かります。「復習がやりやすいようにレッスンで使用したスライドをプリントし、苦手部分は反復練習をするように心がけていました」「どうしても発音が難しい場合はカタカナでふりがなを振って発音練習をしていましたね」。自分の課題が明確になったからこそ、その課題に対して工夫できる。20年の独学では見えなかった、課題解決の道筋が見えたのです。毎朝1時間と決めた練習の中身は、すべて「リンキングを克服する」という1つの目標に集約されていました。

なぜ効果が出たのか

では、何が佐野さんの継続を支えたのか。独学との決定的な違いが、このサイクルにあります。

毎週1回、日本人トレーナーの方にTEDトークの音読音声を提出するのですが、レッスンで学んだ発音をしっかりインプットして、その提出課題でアウトプットをするというサイクルがあったのでモチベーションを保ちながら継続できました

独学で欠けていたのは、フィードバックの常設化です。20年の努力も、自分の課題が何かを知ることができなければ、進むべき方向が見えません。インプット(レッスン)→アウトプット(提出)→フィードバック(指摘)が1つのサイクルで回るとき、初めて苦手が課題に変わり、課題が克服へ向かいます。

もう1つ、継続を支えたのは環境の設計です。「まず1つ目はオンラインで全てが完結できる点です。インターネットさえ繋がっていれば、いつでもどこでも受けたいと思った時に受講できました」。20年続かなかった独学との決定的な違いは、ここにもあります。20年間の努力を支えられなかった環境が、レッスンによって変わったのです。通訳に頼ることで、佐野さんは現場では間に合わせることができていました。しかし、その間に合わせ状態では、改善のサイクルが回らない。毎週レッスンに提出する音声、それを聞いてもらう、指摘を受ける、その指摘を活かして職場で実践する——このサイクルの中で、環境が利用者に「継続を要求する」構造になったのです。

「苦手意識がなくなった」の記録——年齢も職種も関係なかった

年代も職業も異なる多くの人たちが、英語への苦手意識を手放しています。スコアが劇的に上がったわけではなく、心理の壁が消えた、あるいは大きく低くなった——その変化の記録です。

仕事をしながら苦手意識を手放した人たち

広告制作の矯安さんは、冒頭でも触れた通り、5週間留学の後に「英語に対するアレルギーはなくなった」と語りました。会社に戻ってからも英語を使う環境にいますが、戻る前の心理的な抵抗が消えたことで、仕事のしやすさは別ものだったはずです。

同じことを言った別の人もいます。ラリードライバーとして世界を舞台に活動する30代の方は、「もともと英語に対して苦手意識を持っていたこともあり、まずは、そのきっかけ作りとして今回、セブ島留学することを決めました」と記録しています。この人は自分の苦手意識を認識していて、それを「きっかけ作り」の理由として行動に移しました。苦手意識は「避けるもの」ではなく、「越えるべき理由」になりました。

建築業界で働く岡野さんは、「今回の留学で、英語に対する苦手意識がなくなったことは、自分にとって大きな変化でした」と述べています。業界の専門性を持ちながらも、英語という別の領域に対しては苦手意識を抱いていました。そのプラスとマイナスの両立が、この変化の実感につながっています。

年齢も経歴も、理由にならなかった

年齢を理由にしなかった人の記録に、60歳を目前に控える一級建築士の60代の方がいます。「もともと英語はとても苦手でした。外国の方が近くに来られると話しかけられないように、避けるくらいでした」——これがセブ島留学の前の状態でした。60年近く積み重ねた回避の習慣が、5週間で動いた記録です。

その変化の詳細は引用に表れています。「私はリスニングに苦手意識がありましたが、2週目から英語の音に慣れてきました」。さらに具体的には、「2週目からは「あぁこういう英単語を言っているんだ」と分かるようになった」と述べています。それまで「全く何を言っているのかわからなかった」音が、2週間で「単語として聞こえ始める」という心理的な転換点を経験した。セブ島留学を通して、その人は「視野が広がった」とも記録しています。

公認会計士とペアで留学に来た遠藤さんは、より直接的に自分の変化を語ります。

実際に英語に対する苦手意識から英語は楽しいものだという意識に変える事ができたので

これは「克服」ではなく「変換」です。苦手意識という感情から、楽しさという感情への切り替わり。その切り替わりが、自分が想定した期間(数週間)という短い時間の中で起こったことの驚きが、言葉に出ています。

成果を「心理の変化」と言った人たち

ワーキングホリデーに挑戦した小林さんの報告はこうです。

英語に対する苦手意識がなくなり、間違いを恐れずに話す姿勢を身につけられたことがMeRISE留学での何よりの成果です。

成果を測る物差しが、スコアではなく、姿勢です。姿勢が変わると、その後の学習の中身が変わります。間違いを恐れずに話すことができれば、フィードバックを受ける回数が増えます。フィードバックが増えれば、修正される機会も増えます。この循環に入ることの価値は、目に見えるスコアでは測られません。

キャリアの長さも理由にならなかった記録があります。はるなさんは、大学を卒業してから15年間、地方公務員として働いていました。その後、民間の研究所で地方財政の研究員として勤務し、7年前に大学教員になりました。大学卒業後の職業人生の中でも公務員として過ごした期間は特に長いです。「これまでリスニングにすごく苦手意識がありました」。その苦手意識は、学生時代から始まっていました。何年も、何度も「リスニングが弱くて困った」という経験の蓄積があったのです。

セブ島留学から帰ったはるなさんは、「この留学で英語を聞けるようになったという実感はあります」と述べています。マンツーマン授業が効いた理由をこう説明しています。「直接先生から質問されます。そうすると返答するために絶対聞き逃しちゃいけないという心理が働くじゃないですか。」——避けられない状況の中で、聞く力が研ぎ澄まされたということです。3週間で2度のプレゼンを実施した経験についても、「MeRISEで行ったプレゼンは自分にとって大きな財産になりました。」と記録しています。

記録に共通する動きを、やることの順番として取り出します。

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苦手意識を手放す3つの転換——測ってもらう・具体化する・試す

ここまで見てきた記録から、苦手意識が薄れるプロセスは3つの転換に共通している——自分の英語を客観的に測り、課題を言葉に変え、避けてきた場面で試す。順を追って、具体的に何をするかを見ていきましょう。

転換1:いまの実力を人に測ってもらう

実録

看護師の吉田さんは、ニューヨークの病院で日々英語を使って働いています。それでも「発音のせいで英語を話すことに対するコンプレックスがあったんです」と語っており、日常的に英語で仕事をしていても、発音への不安だけは消えていませんでした。

診断で指摘されたのは「母音の後のR」でした。吉田さん自身、「『母音の後のR』が正しく発音できていないと言われたんです」と当時を振り返っています。

ハッとした瞬間は、自分では発音しているつもりでも出来ていない部分を的確に指摘してもらった時だったといいます。独学のモヤモヤが、この一言で形を持ちました。

なぜ効くか

独学では「どこまで自分の英語が通じるのか」が判断できません。自分の耳では、思い込みと実際の課題を分けられないからです。その霧を晴らすには、プロの診断が必要です。吉田さんの場合、診断が「母音の後のR」という具体的な課題に絞られたことで、練習すべき内容が一気に明確になりました。自信がない状態から、学習の道筋が見えた瞬間です。

あなたがやるなら

①自分の英語を録音して聞く——スマートフォンのボイスレコーダーで、簡単な英語を20秒ほど話して録音してみてください。自分が「ちゃんと話している」と思っている英語が、実際にどう聞こえるのか、再生して確認することが大切です。

②聞き取りにくい箇所を具体的に探す——録音を聞きながら、発音が曖昧な音、速すぎる部分、単語同士が不自然につながっている箇所などを確認します。ただし、自分の発音の癖は、自分だけでは気づきにくいものです。必要に応じて講師などによる発音診断を受け、どの音や話し方に課題があるのかを客観的に確認してみましょう。

③指摘を「課題の具体名」として受け取る——多くの学習者は指摘されるのを恥ずかしいと感じるものです。しかし、「Rの音が弱い」といった具体的な課題名を得ることが、学習の近道です。そう思い直してみてください。

転換2:「英語が苦手」を課題名に置き換える

実録

映画制作の仕事をする佐野さんは「私は2つの音が繋がって発音される『リンキング』が苦手でした」と語り、看護師の吉田さんは「母音の後のR」や「th」の音が課題でした。同じ「英語が苦手」という悩みでも、こうして分解すると、克服すべき実際の課題は人によって全く異なります。

佐野さんはこの課題名を得たあと、大きな行動変化を起こしました。「毎朝1時間を確保して練習しました」という言葉から、彼がいかに真摯に取り組んだかが伝わります。

なぜ効くか

「英語が苦手」のままでは、何も練習できません。練習の目標がぼんやりしているからです。しかし「リンキングが苦手」と課題名がついた途端、毎日の練習メニューが組めます。佐野さんが「毎朝1時間」と決めて集中できたのは、課題が「リンキング」と具体化されていたからです。苦手意識は、課題名の数だけ小さくなり、漠然とした恐怖心は具体的な練習項目へと変わっていきます。

あなたがやるなら

①「自分は英語の何が苦手か」を3つ具体名で書き出す——診断を受けたあとや、自分で気づいたことをメモに書きます。「発音が苦手」ではなく「Rの音が弱い」「tが聞き取れない」といった具体名です。

②書けなければ「測ってもらう」がまだ足りない証拠——もし課題名が言葉にできなければ、それは診断が先であることを示しています。戻って、発音診断を受けてから課題を引き出します。

③1つずつ1〜2ヶ月単位で集中する——課題が3つ見つかったなら、まず1つに集中します。すべてを同時にやろうとすると注力が散ります。1つの課題に1〜2ヶ月の期間を決めて取り組む方が、確実な改善につながります。

転換3:避けてきた場面で試す

実録

佐野さんの変化を、記録は明確に示しています。「今では積極的に自ら海外クルーの方に説明できるようになりました」。英語が苦手だと思っていた人が、自分から海外とのコミュニケーションを取るようになったのです。

吉田さんもニューヨークの病院で同じ順番をたどっており、「患者さんとの会話を通して『通じてる!』『これで良いんだ!』と自信がついてきました」という言葉には、実際の使用場面での成功体験がいかに大切かが表れています。

苦手意識が本当に手放せるのは、成功体験を通してです。

なぜ効くか

苦手意識の最後の一枚は、成功体験でしか剥がれません。どんなに知識を学んでも、どんなに発音練習をしても、「実際の場面で相手に通じた」という経験なしには、心の底から自信は生まれません。学習者の多くが避けているのは、この「試す」の段階です。間違えたらどうしよう、通じなかったら恥ずかしいと思って、習った英語を実際に使う場面を避けてしまいます。その結果、「自分の英語が実は通じるのか」を確認する機会がゼロのまま、苦手意識だけが残り続けるのです。

あなたがやるなら

①診断Q5で書いた「避けている場面」を1つ選ぶ——記事の冒頭の診断で、あなたが英語を使うのを避けている場面を特定しました。それがプレゼンテーション、会議での発言、顧客対応、日常会話のどれであれ、1つに絞ります。

②その場面の頻出フレーズ3〜5つを先に練習する——実際の場面で何度も出てくる表現を選んで、暗記するまで練習します。「This is because...」「What I mean is...」といった、その場面では欠かせないフレーズです。

③次にその場面が来たら、日本語に頼らず一度自分で言ってみる——いざというとき、つい日本語に戻りたくなるのは自然な反応です。しかし、ここで引き返してしまっては成功体験は手に入りません。先に練習したフレーズを使い、一度は自分の英語で言ってみてください。相手の反応から「あ、通じた」という小さな成功が積み重なります。その積み重ねが、やがて「英語が苦手」という認識そのものを変えていくのです。

最後に、今日からの順番を整理します。

まとめ——「英語が苦手」は、才能の判定ではなく「まだ測っていない」だけ

英語の苦手意識は、勉強の量とは別の変数で動いています。本記事で見てきた佐野さんの記録は、その別の変数の正体を教えてくれます。フィードバック欠落・一撃の記憶・回避の習慣——この3つのパターンが積み重なることで、苦手意識は固定されていました。逆に、それらのパターンから抜け出した人たちに共通していたのは、年齢でも才能でもなく、やった順番でした。

まず自分の現在地を他者に測ってもらう。次に、漠然とした「英語が苦手」を具体的な課題名に置き換える。そして、避けてきた場面で実際に試してみる。この3つの転換を通じて、苦手意識は少しずつ、でも確実に手放されていきました。記録に登場した人たちの年齢は20代から60代、職種は看護師から建築士まで、バラバラです。それでも共通していたのは「苦手意識がなくなった」という心理の変化でした。佐野さんも、課題が具体名になったあと、通訳に頼っていた場面で自ら説明できるようになったと語っています。

今日から、あなたが始める3つのステップです。

  1. セルフ診断6問で自分のパターンを特定する — 「苦手意識を強める3つのパターン」の章に掲載した診断で、自分の苦手意識がどのパターンでできているのか確認してみてください。複数のパターンが重なっていても構いません。
  2. 「英語の何が苦手か」を具体名で3つ書き出してみる — 「発音」「リスニング」「文法」など、課題名が出てくるまで書き続けます。書けなければ、それは次のステップがまだ先である証拠です。
  3. 書けなければ、診断してもらう機会を今週1つ予約する — 自分だけでは分からない現在地を知ることが、すべての始まりです。

なぜ、苦手意識を手放した人の多くが「発音」——リンキングや母音の後のRといった具体的な課題——に行き着くのでしょうか。それは、発音こそが、頭の中にある英語を相手に届く音として外に出すための、いちばん変化が見えやすいステップだからです。発音が変わると、相手に届く。「伝わった」という事実が、何年もしがみついていた苦手意識を、いちばん早く手放すきっかけになる——記録上も、そういう順番が多いのです。

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