英語の発音練習は知るだけでは変わらない|録音して比べて直す3つの型
YouTubeで口の形を確認した。アプリで発音判定もさせてみた。それでも、自分の音が本当に良くなっているのかが分からない。正しいのか間違っているのか、その判定すら自分ではできない——そんな経験はないでしょうか。
「英語 発音 練習」と検索すると、シャドーイング、ミニマルペア、リンキング、舌の位置と、方法はいくらでも出てきます。どれも間違いではありません。ただ、その方法をどう続けるか、自分の音が合っているかをどう確かめるかは、ほとんど書かれていません。
Web制作会社を経営する井上さんは、自分の声を録り続けた方です。
「自分の音声を聞くのは抵抗ありましたけど、何回も練習していくうちに改善されていって。気づいたら600本以上の音声を録音していました」
ベンチャーキャピタル代表の林さんは、海外出張で相手の話が半分ほどしか分からない状態から練習を始めた方です。
「『俺の英語通じる!』と自信が持てた瞬間でしたね」
2人とも、ミライズの発音プログラムの受講者です。公式サイトでは200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されていて、発音が変わった方の記述も残っています。この記事では、発音練習の基本ルール5つと、実際に発音が変わった方たちの練習を3つの型に整理します。続け方の工夫、変化までの期間、そして独学でできることとできないことの境界まで扱います。
発音練習は「正しい音を知る」から始まる|5つの基本ルール
発音練習の第一歩は、日本語にはない英語の音のルールを知ることです。英語には、日本語を話す私たちがほとんど意識しない5つのルールがあります。
1つ目はストレス。単語のどの音節を強く発音するかで意味が変わります。2つ目はリンキング。単語と単語をつなげて発音する現象で、「want to」が「ワントゥー」ではなく「ワナ」に聞こえる原因です。3つ目はリダクションで、もともとある音を発音しない現象を指します。4つ目はフォーカスワード。文の中で重要な単語だけを強く長く発音するルールです。そして5つ目が特殊な音声変化で、アメリカ英語で /t/ の音が変わる現象などが含まれます。
この5つ目を体験した経営者がいます。経営者の北島さんは、レッスンでの驚きをこう語っています。
「PrettyのTがDの音になる『Flap T』やMountainのTがなくなる『Silent T』のレッスンは私にとってまさに目からうろこでした。知らないと上手く発音できないけれど、このルールを一度学ぶと一気にネイティブっぽく発音できたこともおどろきましたね」
ルールを知った瞬間に音が変わることがあります。デジタルマーケティング会社を経営する寺倉さんも、ストレスの重要性に気づいた1人です。
「簡単な例を出すと『banana』の発音って、日本だと『バナナ』、なんとなく英語だと『バナーナ』、でもネイティブだと2つ目のaは『æ』になるな、みたいなことが音を聞けばわかるようになるんですね」
同じ「バナナ」でも、日本語のリズムで読むか、2つ目の a を /æ/ で置くかで、相手に届く音が変わります。耳が変わると、口も変わります。
北島さんにはもう1つ、印象的なやり取りがあります。日本人が苦手とする「L」と「R」についてです。
「苦手意識のあった『L』と『R』の発音が思った以上に簡単だったことです!特に日本人の方ってどうしても『R』の発音に苦労しがちじゃないですか。でもレッスンを通して舌やあごの使い方を学ぶうちに、『L』と『R』の発音ってこんなに簡単だったんだ!とびっくりしました」
苦手だと思い込んでいたものが、舌とあごの使い方を知った瞬間に「簡単だった」に変わっています。発音ルールの学習には、こうした発見がいくつもあります。
ただし、ここで立ち止まる必要があります。ルールを「知っている」ことと「できる」ことは別です。Flap T の存在を知っても、自分の口から Flap T が出せるかは別の問題です。「L」と「R」の舌の位置を理屈として分かっていても、会話の中で瞬時に使い分けられるかは練習量にかかっています。次の章では、この「知っている」を「できる」に変えた方たちが、実際に何をしていたのかを見ていきます。
実際に変わった人がやっていた練習|3つの型
ここからは方法論ではなく、実際にあった話です。発音が変わった方たちの練習を整理すると、大きく3つの型に分かれることが見えてきました。
型1. 自分の声を録音して、聞いて、直す
最もシンプルで、最も強い型です。
Web制作会社を経営する井上さんは、英語初心者から発音練習を始めました。やったことは「レッスンで正しい発音を吸収して、自習でたくさん音声を録音する」こと。自分の声を録音して聞く。聞いて直す。また録る。冒頭でご紹介した600本の録音は、この繰り返しが積もった結果です。
600本。これは特別な才能の話ではありません。1日3本録ったとして、200日分です。井上さんは英語初心者からのスタートで、最初はつまずいてもいます。
「英語オンリーの授業スタイルに関しては最初は少し戸惑いましたね。特に自分が言いたいことが出てこなかった時は汗かきました」
そんな状態から600本です。始めたときのレベルではなく、続けた量が結果を分けています。
寺倉さんも録音を使っていました。ただし、録音を2週間ごとの比較に使っていたのが特徴です。
「自分の英語でのトークを逐一録音して2週間前とかごとで比べると想像以上に全然違うことが体験できて。これがとても面白かって、点数じゃなくて、変化を知るってことがこれほど楽しいことなんだって改めて気づかされました」
点数で測るのではなく、変化を「聞く」。2週間という間隔があるから、自分でも差が分かります。毎日聞き比べても違いは出にくいのですが、2週間分の練習が積もると、同じ文章の読み方が変わっています。この発想が、練習を続ける支えになっていました。
型2. 数字で進捗を見える化する
自営業の古庄さんはカナダ留学に向けて発音練習を始めました。この方の練習を支えていたのは、スプレッドシートです。
「毎日、スプレッドシートにて勉強時間を記入していくので視覚的にモチベーションにもなるし」
「スプレッドシートには毎週やることが記載されており、迷わず学習できましたし、1日にやる課題が数字として見える化されていたのでゴールがはっきりしていて挫けずに続けられました」
古庄さんの練習量は1日90分でした。ただし、これを朝と夜に分けています。
「1日90分の自己学習が必要だったのですが、思っていたほど大変ではありませんでした。私は集中力が切れてしまって身につかないタイプなので、学習時間を朝と夜、1回30〜45分に分けて練習していました」
90分と聞くと尻込みしますが、30分を2〜3回と考えると、通勤前と就寝前で収まる量です。
レッスンのペースも無理のない範囲でした。「講師と週に2~3回の発音レッスン、日本人コーチと週に1回のフォローアップ面談というスケジュールで受講していました」。週3〜4回のサポートと、毎日の自習の組み合わせです。この頻度を2ヶ月続けた結果が、カナダのスターバックスでの就職につながっています。
古庄さんの練習にはもう1つ特徴があります。音読課題への向き合い方です。「自己学習の際に気をつけていたことはありますか?」と聞かれて、こう答えています。
「自分をネイティブだと思って、なりきりながら練習していました。また自分の口や舌の使い方を確認するために、できるだけ大きな声で大げさに話すようにしていましたね」
スプレッドシートで量を管理しながら、1回1回の練習ではなりきりで質を上げる。定量と定性の両方を回していたことが分かります。
この型の強みは迷わないことです。今日何をやるかがスプレッドシートに書いてあり、やったら記入し、終わったことが目に見えます。型1が「耳で変化を確かめる」なら、型2は目で進捗を確かめる方法です。
型3. 声を重ねて、発音を口に定着させる
「シンクロリーディング→シャドーイングという学習の流れが新鮮で、例えるなら歌を歌うような感覚で練習できたのでとても楽しめました。その成果としても絶大で、練習に使ったTEDのシャドーイングを音声自動入力に入れたところ、なんと100%きちんと入力されていたのに驚きました」
ベンチャーキャピタル代表の林さんの言葉です。テキストを見ながら音声と同時に読む「シンクロリーディング」から始めて、テキストなしで音声を追いかける「シャドーイング」へ。この段階を踏んだ練習で、TEDのスピーチを音声自動入力に読み上げたところ、100%正確に文字起こしされました。機械が「この英語は正確だ」と判定したということです。
林さんの背景を加えると、この変化の大きさが分かります。海外出張でベンチャーキャピタリストと会う機会が多かったにもかかわらず、出発点はこの状態でした。
「毎回雰囲気とジェスチャーでなんとか切り抜けることで精一杯。実際のところは相手の話している内容の半分くらいしか理解できず」
そこから何が変わったのか。本人はリズムとトーンを挙げています。
「特にこれまで英語を話す上で『リズム』や『トーン』は全く意識をしてこなかったので自分一人では気づけない伸び代を発見できて」
単語や文法ではなく、音の高さと長さの置き方でした。シャドーイングでリズムとトーンを身につけたことが、聞き取りの改善にもつながっています。
3つの型に共通すること
3つの型は、やり方がそれぞれ違います。録音する。スプレッドシートに書く。シャドーイングする。それでも共通していることが1つあります。全員が、自分の音を外に出して確かめる仕組みを持っていたことです。
井上さんは録音で聞きました。寺倉さんは2週間ごとの比較で変化を知りました。古庄さんはスプレッドシートで進捗を見える化しました。林さんは音声自動入力に機械の判定をさせました。「正しい発音を覚えて、口に出す」だけで終わっていません。出した音を確認して、直す。この繰り返しが、全員に共通しています。
練習を「続けられた理由」|挫折を防いだ3つの仕組み
発音練習の方法は前の章で見えました。では、なぜ続けられたのか。根性があったからではありません。続いた方には、続くための仕組みがありました。
仕組み1. 忙しいときの「最低限ライン」を決めてもらえた
経営者の北島さんは、仕事が忙しく自己学習の時間を確保できない時期がありました。そのとき支えになったのが、日本人トレーナーの存在です。
「思ったように自己学習の時間が取れずにいると、週に1回あるトレーナー面談で事情を汲み取ってくれ、『最低限ここの発音だけ意識してやってみましょう!』とピックアップしてくれました」
「全部やらなくていい。ここだけ」。この一言が、忙しい週の練習を止めずに済んだ理由です。北島さんはこうも語っています。
「全てパーフェクトに発音することも大切かもしれませんが、部分的に意識して発音をするだけでもかなりネイティブの発音に近づけることに感動しました」
完璧を目指さない。ただし止めない。このバランスを仕組みとして持てるかどうかが分かれ目です。
寺倉さんも同じ経験をしています。
「日本人トレーナーの方が想像以上に小まめにフォローを入れてくれたことですね。正直時間的余裕があまり取れない時でも、自分に合わせてカリキュラムを組んだり、コミュニケーションをとってくれて。例えば全然学習時間がとれなかったタイミングがあったんですが、そのリカバリー案をしっかりと出してくれたり」
学習時間が取れなかった事実を責めるのではなく、リカバリー案を出す。この対応が、学習者をサボった罪悪感から解放しています。
仕組み2. 期間が決まっていると、恥ずかしさより先に進む
観光業の林さんには、発音練習の前に越えなければならない壁がありました。恥ずかしさです。
「最初は英語を家族の前で話すのが恥ずかしくて家に誰もない時を見計らってオンラインレッスンを受けていたんですが、途中から『空いてる時間を無駄にしたくない』という思いからそういったことを気にせずに」
恥ずかしさが消えたのではありません。「時間がもったいない」という別の気持ちが、恥ずかしさを上回りました。受講期間が決まっていたことが、この逆転を後押ししています。
古庄さんは、恥ずかしさに別のやり方で対処していました。ネイティブになりきり、口や舌の使い方を確かめるためにわざと大きな声で大げさに話す。前の章で見た音読課題への向き合い方が、そのまま恥ずかしさへの対処にもなっていました。
仕組み3. 変化の実感がモチベーションになった
井上さんの言葉が端的です。
「仕事の合間の運転中に英語の音声を聞いたりするんですけど、母音と子音を知ったので自分がわかる単語やフレーズはクリアに聞こえてくるようになりました」
発音を学んだ結果、聞こえ方が変わっています。この実感が、次の練習を始めるきっかけになっています。
観光業の林さんにも同じ変化が起きています。
「今までは『文法や単語を知らないからリスニングで聞き取れない』と思い込んでいて、必死で文法を理解しようとしたり単語帳を使って単語を覚えようとしていました。でも今回のレッスンを受けて自分もネイティブに近い発音ができるようになったことで、TOEICのリスニングがとても伸びたんです」
聞き取れない原因は文法でも単語でもなく、発音のほうにありました。この発見そのものが、練習を続ける理由になっています。
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ここまで読んで、「録音なら自分でもできるのでは」と思った方もいるはずです。そのとおりです。録音はスマートフォンがあれば今日から始められますし、シャドーイングもTEDやYouTubeの素材があれば無料で練習できます。5つの発音ルールも、この記事で概要は掴めたはずです。
では、独学では何が難しいのか。井上さんの言葉がそれを表しています。
「実際のレッスンではセブの先生が発音の構造部分を教えてくれて、面談の時間には日本人トレーナーが何がダメだったかを的確に指摘してくれるので、『自分はrの音が下手なんだな』とか、自分の苦手なところが明確にどこかがわかるんですね」
自分の音を録って聞くことはできます。ただ、その音のどこが違うのかを特定するのは、自分では難しいことがあります。
「音の出し方を本で学んだことはあっても、自分の発する音が本当にあっているか分かっていませんでした。実際にうまく発音できていない音を指摘してもらったり、今までとは違うアプローチで矯正してくださったりしたので、自分でもびっくりするくらい2か月で発音改善ができました」
古庄さんのこの言葉が、独学の限界線を引いています。本で学んだ。でも合っているか分からなかった。指摘されて初めて分かった。知識は独学で入りますし、練習も独学でできます。ただ「自分の音の何が違うか」というフィードバックだけは、外からしか来ません。古庄さんは2ヶ月の受講後に「自分の英語に自信を持つことができた」と語り、カナダでスターバックスの英語面接に合格しています。
井上さんの言葉をもう少し続けます。
「この日本人トレーナーの存在が非常に大きかったです。セブの先生とのレッスンのみだとどうしても聞き取れない部分があって、そこに対する対策に全神経を使ってしまうので」
「そういったレッスンで聞き取れなかった・理解仕切れなかった部分を日本人トレーナーに気軽に聞ける環境があることで、より授業の理解が深まりました」
外国人講師から正しい音を学び、日本人トレーナーから自分のどこが違うかを母語で教わる。この2つの役割分担は、独学では作りにくいものです。
録音とシャドーイングは今日から始められますし、5つのルールも意識できます。ただ、一定期間やってみて「自分の弱点が見えない」と感じたら、それは独学の限界線に立っているサインかもしれません。
発音が変わるまでの実際の期間
「で、どれくらいで変わるのか」。一番気になるところだと思います。答えを先に言うと、2ヶ月で変化を実感した方が大勢います。ただし「2ヶ月で誰でも変わる」と書くつもりはありません。練習の量と質、フィードバックの有無で個人差があります。実際の期間と変化を、そのまま並べます。
| 期間 | 誰 | やったこと | 変化 |
|---|---|---|---|
| 2ヶ月 | 自営業の古庄さん | 朝夜30〜45分×毎日+週2〜3回レッスン | 「自分でもびっくりするくらい発音改善」→カナダのスターバックスで就職 |
| 2ヶ月 | 観光業の林さん | 50分レッスン+自習 | 「TOEICのリスニングがとても伸びた」+子供が英語で質問してくるように |
| 受講期間中 | Web制作会社を経営する井上さん | 600本音声録音+運転中リスニング | 「わかる単語やフレーズはクリアに聞こえてくるようになりました」 |
| 継続中 | 経営者の北島さん | 独自スクリプト作成+レッスン | 「いつでもどこでも誰とでも自信をもって話せます」+道端の外国人にも声かけ |
この表を見て気づくことがあります。期間が明確な古庄さんと観光業の林さんは、どちらも2ヶ月です。毎日の練習とレッスンを組み合わせた結果でした。井上さんと北島さんは期間ではなく、練習の密度と継続で変化を得ています。
もう1つ、4人が語っている変化の順序があります。発音が変わった→聞こえ方が変わった→自信が変わった。この順番は4人に共通しています。
古庄さんはカナダのスターバックスで英語面接に受かりました。観光業の林さんは、家で英語を話す姿を見て子供が英語で質問してくるようになりました。北島さんは道端で見知らぬ外国人に自分から声をかけるようになっています。
発音の変化は、発音だけに留まっていません。聞こえる音が増え、自信が生まれ、行動が変わっています。この連鎖が、4人に共通して見えます。
観光業の林さんの変化には、もう1つの側面があります。
「すると英語を話しまくる私に影響を受けたのか子供たちも私に向かって英語で簡単な質問をしてくるようになったんです。びっくりしましたが、とても嬉しかったですね」
発音が変わり、自信がつき、家でも英語を話すようになった結果、子供にまで影響が及んでいます。
ただし補足を1つ。ここに挙げた方は全員、独学だけで変わったわけではありません。レッスンとトレーナーのフィードバックがあった上での期間です。「2ヶ月で変わる」という数字だけを切り取らず、その裏にある練習量とフィードバック環境も含めて読んでいただければと思います。
まとめ|発音は「知る」だけでは変わらない。録って、比べて、直す
発音練習の基本は5つのルール、ストレス・リンキング・リダクション・フォーカスワード・特殊変化です。ただし、ルールを知っただけでは発音は変わりません。「知っている」と「できる」の間には、録音・比較・フィードバックの繰り返しがあります。
実際に変わった方たちの練習は、録音・可視化・シャドーイングの3つの型に分かれました。やり方はそれぞれですが、共通していたのは、自分の音を外に出して確かめる仕組みを持っていたことです。
まずは3つのことから始められます。
- 自分の英語を30秒、録音して聞いてみる
- 2週間後にもう一度録って、比べてみる
- 自分の弱点がどこか分からなければ、発音診断で客観的に確認する
観光業の林さんの言葉が印象に残ります。聞き取れない原因を「文法や単語を知らないから」だと思い込み、必死に文法書と単語帳に向かっていた。その思い込みが、発音の練習で覆りました。聞き取れない原因は、語彙でも文法でもなく発音にあるかもしれません。その可能性を、まず確かめてみてください。
