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経営者の英語|「時間がない」のに変わった7人が捨てたのは完璧主義だった

ビジネス英語

経営者として、英語が必要な場面が増えていないでしょうか。海外出張先での商談、外資系パートナーとの会議、海外展開の検討。必要なのは分かっています。ただ、学ぶ時間がありません。決算、採用、資金繰り。英語より先に片付けるべきことが、毎日積み上がっていきます。

「忙しい人向けの英語学習法」は、検索すればいくらでも出てきます。「1日15分でOK」「すきま時間を活用」。ただ、正直なところ、1日15分で商談の英語が身につくとは思えないはずです。その直感は間違っていません。ただ、「だから無理だ」で止まるのは早い、というのがこの記事の話です。

ベンチャーキャピタル代表の林さんは、海外出張のたびに悔しい思いをしていました。

「現地のベンチャーキャピタリストと会話する機会も多くあるので人脈を広げていきたいのですが、毎回雰囲気とジェスチャーでなんとか切り抜けることで精一杯。実際のところは相手の話している内容の半分くらいしか理解できず、中々ビジネスへと繋げることができなかった」

人脈を広げるために出張しているのに、英語の壁が原因で商談にならない。 経営者にとって、これは学習機会の損失ではなく、事業機会の損失です。

デジタルマーケティング会社を経営する寺倉さんも、15年のブランクを抱えたまま「どこかのタイミングで学習しないと」と思い続けていました。

公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、その中には忙しさを抱えたまま変わった経営者の声も残っています。この記事では、同じ場所で止まっていた7人が、どう時間を作り、何を練習し、いつ変化を実感したかを、すべて本人の言葉でお伝えします。

7人のうち5人は経営者で、残る2人は化学メーカーで経営管理を担う方と、フルタイムで働く自営業の方です。立場は違っても、時間の作り方は同じ形に収まりました。読み終えたとき、「忙しい自分でも、ここからなら始められる」という起点が1つ見つかるはずです。

経営者の英語——敵は「時間がない」ではなく「中途半端」です

経営者に「英語を学びたいですか」と聞けば、ほとんどの方が「はい」と答えます。問題は、そこから先です。なぜ英語学習は続かないのか。まず数字から見てください。

ビズメイツ株式会社が2025年6月に実施した『第28回ビズメイツ調査【英語学習の挫折実態2025】』(n=109・社会人になってから英語を学習した経験のある会社員)では、84.4%が挫折を経験していました。挫折の理由でもっとも多いのは「継続するための自己管理ができなかった」で56.5%。一方で「学習時間の捻出」を壁に挙げた人は27.5%にとどまり、2021年の同じ調査から17.5ポイント減っています

時間がないから挫折するのではありません。続ける仕組みがないから挫折します。 数字は、そう読めます。

さらに株式会社レアジョブが2025年9月に実施した英語学習者634名への調査では、過去に挫折して学習を再開した人の8割が、いまも同じ悩みを抱えていることが分かりました。やめる。再開する。また同じところでつまずく。この記事では、これを「中途半端のループ」と呼びます。

そして、このループを一番よく知っているのが経営者です。冒頭の林さんは、学習を始める前の状態をこう振り返っています。

「もともと学生時代は英語が得意科目だったんです。ただ社会人になってからは忙しさもあって勉強時間が確保できずに、ずっと中途半端な状況が続いていました」

得意科目だった英語が、社会人になった瞬間に止まる。 そして「中途半端な状況」が何年も続きます。これは林さんだけの話ではありません。寺倉さんは、こう語っています。

「TOEIC400点が大学卒業ラインだったため、そのラインまでは一応頑張ったくらいで、それから15年ほど全く英語に触れる機会はありませんでした」

15年のブランクがありながら、それでも「特にマーケティングは海外からの情報輸入が多い市場でもあると思うので、どこかのタイミングで学習しないとなとは思っていました」と続けています。必要性は、ずっと頭の中にありました。

化学メーカーで経営管理を担当し、イギリスに赴任中のTさんの場合は、もっと切実でした。経営者ではありませんが、経営の数字と現場の両方を英語で扱う立場です。

「毎日の英語でのメールのやり取り、英語でのミーティング、その中でも月に1度司会を務めなければならない会議があります」

英語環境の中にいるのに、英語で苦しんでいます。 環境が解決してくれるわけではありません。

3人に共通しているのは、英語を学ぶ意志はあったということです。足りなかったのは意志ではなく、忙しさに耐える仕組みでした。統計が示した「自己管理の壁」と、経営者たちの「中途半端な状況」は、同じものを指しています。

あなたのループがどこで起きているか、6つの質問で確かめてください。2つ以上Yesがついた列が、あなたのボトルネックです。

質問
時間学習開始の予定が「落ち着いたら」になっている
時間直近1カ月、30分連続の学習時間を取れた日が3日もない
完璧「どうせやるなら毎日1時間」と計画して、3日で崩れたことがある
完璧教材選びに1週間以上かけて、結局始めていないことがある
可視化過去の学習で、成長を実感した瞬間を1つも思い出せない
可視化何をどれだけやったか、記録がどこにも残っていない

「時間」の方は次の章を、「完璧」「可視化」の方はその次の章を、自分の処方箋として読んでください。7人が、この3つのボトルネックをそれぞれ実際に越えています。

7人はどうやって時間を作ったか——3つのパターン

忙しい7人が学習時間を確保した方法は、並べると3つに分かれました。共通しているのは、「新しく時間を作った」人がほとんどいないことです。

パターン1. 外部環境の変化をつかんだ

林さんの場合、時間は意外な形で生まれました。

「コロナになってしまい海外への出張も無くなり、会社への出勤や夜の会食も無くなったことで時間ができたんです」

出張と会食が消えた期間を逃さず学習に充てたことが、変化の起点になっています。自分の意志で時間を「作った」のではなく、環境の変化で「できた」時間を使いました。

きっかけは自分の内側から来なくてもかまいません。大事なのは、時間ができた「今このタイミング」に気づいて動けるかです。経営者なら、事業の意思決定で同じことをしているはずです。

パターン2. 生活の隙間を「英語の時間」に変えた

ドバイでオンライン教育事業を、大阪で飲食店を経営するH.Tさんは、二国を行き来する生活の中で、新しい時間をひねり出すことを最初から諦めていました。 代わりにやったのは、既にある時間の中身を変えることです。

「すきま時間に学習することです。例えば顔を洗っている時に課題として出されたTEDトークを流してリスニングしたり、家事の合間にシャドーイングをしたり」

顔を洗いながらリスニング。家事をしながらシャドーイング。「生活の中で勉強時間をルーティン化してしまえばとても楽になります」と語っています。

Web制作会社社長の井上さんも同じ発想で、「仕事の合間の運転中に英語の音声を聞いたりするんですけど」と、移動時間を学習に変えていました。

パターン3. 完璧を捨てて「最低限」に絞った

経営者・役員の北島さんが語る、忙しい週の乗り越え方は具体的です。

「思ったように自己学習の時間が取れずにいると、週に1回あるトレーナー面談で事情を汲み取ってくれ、『最低限ここの発音だけ意識してやってみましょう!』とピックアップしてくれました」

全部やろうとしません。忙しい週は「ここだけ」に絞ります。 北島さんは「部分的に意識して発音をするだけでもかなりネイティブの発音に近づけることに感動しました」と続けています。完璧を目指さず、それでも止めません。 このバランスが、不規則なスケジュールと学習を両立させた鍵でした。

3つのパターンの共通点は明快です。時間を捻出するのではなく、既にある生活に英語を埋め込むか、やる範囲を絞る。 新しい時間を作る計画は、忙しい日に崩れます。生活の隙間に入れ込んだ学習は、忙しい日でも残ります。

時間の作り方は分かりました。では、その時間で何をしたのでしょうか。

7人が実際にやった学習——3つの型

7人の学習を整理すると、3つの型が見えてきます。どれも、限られた時間から逆算した方法です。

型1. 教材の英語ではなく、自分の仕事の英語を練習する

北島さんは、市販教材の例文ではなく、自分の事業の説明を練習していました。

「私の場合は海外の方とコミュニケーションを取る際、経営者ということもあり仕事について説明することが多いです。そんな場面で上手く伝えられるように、自分で作成した英文のスクリプトをトレーナーや講師に添削してもらい、レッスンの中に発音練習も組み込んでもらいました」

自分の会社の説明をスクリプトに書き起こし、添削を受け、正しい発音で言えるようにする。教材の例文を100個覚えるより、自分の仕事のスクリプト1本を仕上げるほうが、実務では使えます。

「準備された教材だけではなく、生徒にとって必要なレッスンを提供してくれたおかげで飽きずに続けられましたね」と本人が語るとおり、練習と実務が直結していたことが継続の理由でした。結果は「仕事に関する独自の英語スクリプトのおかげで、いつでもどこでも誰とでも自信をもって話せます!」という一文に表れています。

型2. 点数ではなく、変化を見る

経営者は、成果の見えない投資を続けられません。寺倉さんが見つけたのは、成長を「点数」ではなく「変化」で確認する方法でした。

「自分の英語でのトークを逐一録音して2週間前とかごとで比べると想像以上に全然違うことが体験できて。これがとても面白かって、点数じゃなくて、変化を知るってことがこれほど楽しいことなんだって改めて気づかされました」

2週間前の自分の録音と、今日の自分を聞き比べる。TOEICの点数では見えない変化が、耳で確認できます。この体験が、15年のブランクにスイッチを入れました。

林さんにも同じ瞬間があります。TEDトークのシャドーイングを音声自動入力にかけたところ、正確に文字起こしされました。「『俺の英語通じる!』と自信が持てた瞬間でしたね」。機械は忖度をしません。 だからこそ、機械が認識したという事実が、そのまま客観的な進捗報告になります。

先ほどの挫折調査には、もう1つの数字があります。挫折理由のうち「英語の上達を感じられなかった」が47.8%でした。経営者は日々、数字で意思決定をしています。「このまま続けて意味があるのか」という問いに、データで答えが返ってくる仕組み。録音比較と音声自動入力は、まさにそれにあたります。

型3. 意志力ではなく、仕組みで回す

H.Tさんは、学習者が必ずぶつかる不安をこう言葉にしています。

「毎日勉強していても、成果が分かりづらいことがあるのでどうしても『この勉強法は本当に効果があるのだろうか?』と不安になりがちです」

解決策は、迷う余地そのものをなくすことでした。前の章の「顔を洗いながらTED」は、意志力を使わずに学習が回る仕組みの実例です。

フルタイムで働きながら独学でTOEIC845点と英検準一級を取得した自営業の古庄さんは、記録の仕組みを使っていました。

「毎日、スプレッドシートにて勉強時間を記入していくので視覚的にモチベーションにもなるし、もし勉強していなかったらコーチからしっかり連絡が来ます」

やったことが積み上がり、やらなければ連絡が来る。 1日90分の自己学習を2カ月間、この仕組みで完走しています。

どう学ぶかは出揃いました。次は「何のために」です。経営者が英語を使う実際の場面を見ます。

経営者の英語で本当に必要なこと——商談・司会・組織

経営や事業の意思決定に関わる立場で英語を使う場面は、一般のビジネスパーソンとは質が違います。7人の話から、3つの場面が浮かび上がります。

場面1. 海外商談で「半分しか分からない」代償

林さんの壁は、日常会話の壁ではなく商談の壁でした。相手の話の半分しか理解できないまま、雰囲気とジェスチャーで切り抜ける。商談で求められるのは、流暢に話す力である前に、相手の話を正確に聞き取る力です。

学習後の変化も、まさにそこに現れました。「元々リスニングに課題があったので、そこが大幅に改善したのが1番嬉しい」「先日スティーブジョブスの没後10周年のムービーを見たのですが、その英語をほとんどを聞き取れたことに感動」。聞き取れる量が変わると、商談の質そのものが変わります。

場面2. 月1回の司会で、台本のない場に立つ

Tさんが毎月直面していたのは、英語会議の司会です。メールには考える時間がありますが、司会は即時対応が求められ、参加者全員が自分の言葉を聞いています。 しかも当時、こんなことが起きていました。

「発音のせいでボイスレコーダーのアプリでは意図した単語に文字起こしされないこともありました」

自分の発音が、機械にすら正確に認識されない。 この状態で司会を務める負荷は、想像に難くありません。

Tさんは「当時はとにかく英語で話すことに自信がなかったので」と当時を振り返り、2カ月間で150時間以上の自己学習を積みました。結果は「オンライン英会話の先生に『発音綺麗になったね!』と言ってもらえたこと」を起点に、「英会話をしている際に英語が口から出やすくなりました」「英文を帰り読みせず、文頭から理解できるようになりました」と連鎖しています。

場面3. 海外での日常経営と、組織の英語力

H.Tさんのケースは、経営者の英語のもう1つの顔を見せてくれます。

「ドバイは人口の80%が外国人なので、公用語のアラビア語よりも英語が広く使われています。カフェに行ったり買い物に行ったり、生活するにも英語を使う機会がとても多い」

さらに大阪の店では、「毎日外国のお客さんがいらっしゃる中で私も飲食店のスタッフに英語を教えたいという想いもありました」と語っています。自分が学ぶだけでなく、スタッフに教える側に回っています。 経営者の英語力は、個人のスキルを超えて組織の力に直結します。

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変化までの実際の期間——7人が実感するまで

最後に、「実際のところ、どのくらいかかるのか」という一番現実的な疑問に、7人の実績で答えます。誇張はありません。

期間誰(役職)やったこと変化(本人の言葉)
2カ月古庄さん(自営業・フルタイム勤務)1日90分×毎日+週2〜3レッスン「ずっと憧れていたスターバックスで働けるまでになりました」
2カ月Tさん(化学メーカー 経営管理・イギリス駐在)150時間以上の自己学習+週2〜3レッスン「英語が口から出やすくなりました」「帰り読みせず、文頭から理解できるように」
2カ月H.Tさん(ドバイと大阪で経営)すきま時間ルーティン+週3レッスン「友人に発音を褒められるように」「しっかり英語が聞こえてくるように」
2カ月林さん(ベンチャーキャピタル代表)シャドーイング+TEDトーク「ジョブズのムービーをほとんど聞き取れた」「『俺の英語通じる!』」
受講期間中井上さん(Web制作会社社長)音声録音600本以上+運転中リスニング「わかる単語やフレーズはクリアに聞こえてくるように」
継続中北島さん(経営者・役員)自前スクリプト+最低限に絞り込み「いつでもどこでも誰とでも自信をもって話せます!」
継続中寺倉さん(マーケティング会社経営)録音比較+継続学習「15年のブランクに対してスイッチが入った」

この表から読み取れることは2つあります。

1つ目は、最初の変化は2カ月で来るということです。7人のうち4人が、2カ月で本人の言葉として残る変化を実感しています。ただしその中身は「ペラペラになった」ではありません。発音が変わり、聞こえるようになり、自信がついたという順序の、最初の1段目です。

2つ目は、変化の連鎖には順序があるということです。7人に共通するのは「発音が変わる→リスニングが変わる→自信が変わる→行動が変わる」という流れでした。北島さんは「道端で会った知らない外国人の方にも自ら話しかけにいっちゃいます」と行動まで変わり、井上さんは自習で「気づいたら600本以上の音声を録音していました」と語るほど練習が習慣になっています。

なお、Tさんの150時間は、2カ月で割ると1日約2.5時間です。かなりの量ですが、逆に言えば、毎日英語環境にいる方でさえ、意識的な練習をこれだけ積んで初めて変化が起きたということでもあります。環境は変化を保証しません。練習の設計が変化を作ります。

期間の実像が見えたところで、最初の一歩に戻ります。

まとめ|完璧を目指さず、止めない仕組みを持つ

経営者が英語で直面する壁は3つあります。時間がないこと、中途半端になること、完璧を求めすぎることです。2025年の調査が示した「最大の壁は自己管理」という数字と、7人の実感は一致していました。そして7人が見つけた共通の答えは、「完璧を目指さず、止めない仕組みを持つ」ことでした。

時間は、作るものではありませんでした。環境の変化をつかむ(林さん)、生活の隙間の中身を変える(H.Tさん・井上さん)、忙しい週は最低限に絞る(北島さん)。学習の型も3つあり、自分の仕事のスクリプトから始める、変化を録音で可視化する、記録の仕組みで回す。どれも、事業でやっている「仕組み化」の発想そのものです。

最初の一歩は、この記事のセルフ診断に戻ります。

  1. 「時間」がボトルネックなら。 新しい時間を作る計画はやめて、洗顔・家事・運転など、既にある時間の中身を英語に変えるところから始めます
  2. 「完璧」がボトルネックなら。 北島さんの方法です。自分の仕事の英語スクリプトを1本だけ書きます。教材選びに迷う時間ごと消えます
  3. 「可視化」がボトルネックなら。 今日の自分の英語を録音しておきます。2週間後にもう一度録音して聞き比べます。寺倉さんのスイッチが入った方法です

林さんの変化が、この記事の結論です。「雰囲気とジェスチャーでなんとか切り抜ける」から、「『俺の英語通じる!』」へ。 その間にあったのは、才能でも根性でもなく、忙しさに耐える仕組みでした。

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