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駐在員の英語|赴任前研修がある会社は3割未満。赴任日から逆算して何をするか

ビジネス英語

赴任の内示が出た。日付も決まっている。会社からは「英語は現地でなんとかなる」と言われたけれど、TOEICのスコアは何年も前のままで、最後に英語で話したのがいつか思い出せない——そんな状態ではないでしょうか。

「駐在員 英語」と検索すると、必要な英語レベルの目安と勉強法が並びます。けれど、会社が実際に研修をしてくれるのかと、英語ができないと何が起きるのかまでは書かれていません。

1年後のイギリス駐在を控えていた公務員のN.Fさんは「今度こそ自信をもって英語を話したい」という思いで学び始めました。化学業界の会社で経営管理を担当し、イギリスへ赴任したTさんは「赴任が決まった際にリスニング力とスピーキング力の向上は不可欠だと考えました」と振り返ります。出張が多い部署で働く方は「今の部署の仕事次第では海外駐在になる可能性もあります」と話しています。3人が立っている位置は、それぞれ違います。

いずれも、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が、本人の言葉のまま公開されています。この記事では、2つの調査と体験談から、赴任日までに何をしておくかをお伝えします。

赴任前研修を必須にしている企業は、3割に満たない

赴任が決まったあと、多くの人が「会社が研修を用意してくれるだろう」と考えます。その前提は、数字と合っていません。

赴任者は出しているが、研修は用意されていない

海外赴任前の研修が実際どうなっているかを、企業側に聞いた調査があります。ビズメイツ株式会社が、海外赴任者を輩出している日本企業(従業員数500人以上)の人材育成・研修担当者400名に行った第29回「日本企業における『海外赴任前研修』の実態調査」(2025年9月9日〜10日・インターネット調査)です。

年間で「101名以上」の海外赴任者を出している企業は44.3%と、4割を超えています。それだけの人数を送り出しながら、研修を必須化している企業は3割未満にとどまり、個人任せや未実施も3割を超えていました。

つまり、赴任が決まっても、英語の準備は自分の手元に残ります。

途中で帰ってくる理由は、語学力そのものではない

同じ調査で、もう1つ重い数字が出ています。9割以上の企業で途中帰任が発生していました。

そして、その主因は「語学力不足」ではなく、「文化適応の失敗」や「現地コミュニケーション不全」でした。

例えば、TOEICの社内基準は満たしているのに、現地の会議で一度も発言しないまま半年が過ぎる。これは「語学力不足」ではなく、後者に入ります。点数と、現地で通じることは別に数えられているということです。

それでも、英語力は成果に効いている

一方で、英語力が仕事の結果に効いていることも数字に出ています。

駐在している本人と、その上司や同僚の両方に聞いた調査もあります。株式会社WizWeが、英語圏あるいは英語を使ってビジネスを行う国に駐在する日本人赴任者124名と、その上司または同僚124名に行った「日本人海外派遣者の英語活用能力とパフォーマンスに関する調査」(2021年1月〜12月)では、CASEC(リスニング・リーディング)とVERSANT®(スピーキング)で測った英語力が高いほど、ミッション達成度が高く、上司からの評価も高いという結果でした。特にスピーキング力で、その傾向が顕著だったと報告されています。

同じ調査では、上司側の自由回答も紹介されています。そこでは、同じ語学力でも業務で用いるものと、業務以外まで含めた広いやりとりで用いるものがあり、後者によって異文化適応力が変わってくる、という指摘が挙がっていました。

評価されているのは、業務で使う英語だけではないということです。会議で説明できても、その前後で関係が作れなければ、上司からは別の見え方をします。ビズメイツの調査で帰任の主因が「文化適応の失敗」だったことと、同じところを指しています。

会社が用意してくれないのに、できているかどうかは見られている。ここが赴任前の難しさです。

いまの自分はどれか

「駐在員 英語」で調べている方は、たいてい次の3つのどれかにいます。

いまの自分読む章
「駐在になるかもしれない」と言われている次の章
赴任が決まった。日付も出ているその次の章
もう現地にいるさらにその次の章

自分に当てはまるところから読んでください。まずは、まだ決まっていない場合から見ていきます。

「駐在になるかもしれない」の段階で、増やせるものは1つ

まだ赴任先も時期も決まっていません。この段階で「本気でやれ」と言われても、動く理由が弱いままです。

決まっていないと、現地固有の準備はできない

冒頭で触れた、出張が多い部署で働く方は、自分の状況をこう話しています。

今は1週間くらいの出張が多いのですが、今の部署の仕事次第では海外駐在になる可能性もあります。

赴任先が決まっていなければ、現地の言語も、担当する業務も、相手も分かりません。現地に合わせた準備は、この段階では組めません。

「視野に入れている」だけの段階でも、動いた人がいる

公認会計士として企業の会計監査に携わる川合さんも、内示も日付もまだ無い段階で動いた1人です。

きっかけは海外赴任になる事を視野に入れてセブ島留学を決めました。

「視野に入れている」というのは、決まったわけではなく、可能性として考えている段階です。それでも川合さんは、その時点で留学に踏み切っています。

環境の選び方にも、決まっていないなりの工夫が見えます。

昨年はフィジー留学をしましたが学生が多く遊んでしまった為、今回は社会人に特化した語学学校を選びたいと思いミライズ留学に入学を決めました。

赴任先も時期も決まっていなくても、学ぶ環境は自分で選べます。 前回学生の多い環境で流されてしまった反省から、今回は環境そのものを変えるという判断をしています。

どの赴任先でも共通するのは「自分から話した回数」

決まっていなくても増やせるものがあります。自分から英語で話し始めた回数です。

例えば、出張のたびに現地スタッフと雑談を1回だけ自分から始める、というやり方なら、赴任先が決まっていなくても積めます。相手を選ばず、内容も選ばないので、どこに行くことになっても無駄になりません。

数え方も決めておくと続きます。「英語を勉強した時間」ではなく、自分から話しかけた回数を数えます。時間は机に向かえば増えますが、回数は口を開かないと増えません。赴任してから必要になるのは後者のほうです。

機会は、自分の側では決められない

海外駐在を希望していても、来ないこともあります。ITコンサルティング業界で働く竹内さんも、こう話しています。

僕自身は海外駐在をしてみたいと思っていたのですが、それが叶わなかった経験もあるので、海外で働いている方の話を聞くのもとても面白かったです。

行けるかどうかは自分では決められません。 だから、この段階の準備は「合格するため」ではなく、声がかかったときに受けられる状態にしておくためのものになります。

では、決まったあとは何が変わるのか。

赴任が決まったら、赴任日から逆算する

日付が出た瞬間に、話が変わります。期限が外から決まるからです。

「決まったから」動いた人たち

冒頭で触れたN.Fさんは、それまでもずっと発音を直したいと考えていました。ただ、動いたのは決まってからです。

それからずっと発音を矯正したいと考えていたのですが、本気でやらないといけないと思ったきっかけは、仕事の関係で

そのきっかけが、これでした。

来年からイギリスに数年間の駐在が決まったから

化学業界の会社で経営管理を担当するTさんも、同じ順番です。

赴任が決まった際にリスニング力とスピーキング力の向上は不可欠だと考えました。

「いつか」ではなく「いつまでに」に変わったところで、行動が変わっています。

赴任初日に必ず起きることから決める

期限が決まると、逆算できるようになります。そして赴任先が決まった時点で、中身が確定する場面があります。

Tさんは、その1つを挙げています。

イギリスに駐在する際に必ず自己紹介は必要なので、決められた課題のみではなく生徒のリクエストに応じて柔軟に対応してもらえる点がとても良かったです。

例えば、赴任初日に必ず起きるのは自己紹介と、自分の担当業務の説明です。この2つは相手が誰であっても内容が変わらないので、日本にいるうちに声に出して練習できます。逆に、現地の商習慣や社内の力関係は、行ってみないと分かりません。

先にやるのは、行く前に中身が確定するほうです。

点数より先に、伝わるかどうかが問題になる

Tさんは、日本にいたころの会議でこう感じていました。

日本にいるとき、非ネイティブの外国人メンバーとの会議では、母国語のアクセントが強く、英語が聞き取りづらいことがありました。

そこから気づいたことを、こう話しています。

簡単な英語しか話せなくても、発音が綺麗であれば相手に伝わる

そして、自分の側で起きていたことも挙げています。

私がミーティングで発した言葉が、発音のせいでボイスレコーダーのアプリでは意図した単語に文字起こしされないこともありました。

機械が別の単語として文字起こしするなら、人にも同じように届いています。 語彙や文法とは別の問題がここにあります。

N.Fさんも、発音を指摘された経験から入っています。学生時代にイギリスへ2か月留学したときのことです。

大学4年生のときに2か月イギリス留学に行ったのですが、当時は発音も勉強したことがなかったので雰囲気で英語を話していました。

そこで言われたことを、いまでも覚えていると話しています。

イギリス人に面と向かって「L」と「R」の発音がわからないと指摘されたこと

この方は、知識が無いわけではありません。

英単語や文法はそこそこ知っているし、英語も全く話せない訳ではないのですが、

知識はあるのに通じないという状態のまま、駐在の日付が決まったことになります

では、実際に行ってからは何が起きるのか。

行ってから増えるのは、会議の数と、決める場面

赴任後の日常は、赴任前に想像していたものと違うことがあります。

使う場面が、毎日になる

イギリスに赴任したTさんは、赴任後の仕事をこう説明しています。

私は2022年4月からイギリスに赴任し、化学業界の会社で経営管理の仕事をしています。毎日の英語でのメールのやり取り、英語でのミーティング、その中でも月に1度司会を務めなければならない会議があります。

司会を務める側になります。 参加して聞いているだけの立場ではなくなり、進行して、話を振って、まとめる側になります。

英語だけが動くわけではない

赴任先によっては、現地語も同時に動きます。インターネット業界で働き、中国に2年間駐在していた田村さんは、そのときのことをこう振り返っています。

2年間中国に駐在した際に、全くの初心者ながらも中国語が話せるようになってくると、現地の人との英語を使ったコミュニケーションの量も増え、それとともにお互いが分かり合えたり、信頼関係を築くことが出来るのだなと思いました。

現地語が少し話せるようになると、英語を使う量のほうも増えています。 言語が2つに分かれるのではなく、両方が一緒に動いています。

赴任先によって、英語の比重は変わる

「駐在=毎日英語」とも限りません。日本の電線メーカーで購買を担当する廣井さんは、上海での6年間をこう説明しています。

セブ島留学に来るまでは中国の上海で6年間駐在していました。弊社グループでは中国に70の拠点がありまして、その拠点と中国人スタッフのサポートをするという仕事をしていました。

その6年間で英語を使った場面を聞かれ、こう答えています。

香港、台湾のサプライヤーさんとは使う機会が多少ありました。

6年の駐在で、英語は「多少」でした。 赴任先と担当業務によって、英語がどれだけ要るかは大きく変わります。だから「駐在が決まったから英語」と一律に走る前に、自分の赴任先で誰と話すことになるのかを先に確かめる価値があります。

帰任の主因は、会議の外側にある

先ほどのビズメイツの調査で、途中帰任の主因が「文化適応の失敗」「現地コミュニケーション不全」だったのは、この部分を指していると考えられます。

例えば、会議の中では発言できていても、会議の前後の雑談に入れないままだと、決まる前の話がどこで進んでいるか分からなくなります。議事録には残らない部分です。

赴任前に想像するのは会議の中の英語ですが、効いてくるのは会議の外側だったということになります。

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明日やること。3つのうち自分に当てはまる1つだけ

ここまでで、自分がどこにいるかは決まったはずです。会社が研修を用意してくれないなら、赴任日から逆算するのは自分の側の仕事になります。

いまの自分明日やること
「駐在になるかもしれない」と言われている次の出張や来客のときに、自分から話しかける場面を1つ決めておく
赴任が決まった。日付も出ている赴任初日に必要な自己紹介と担当業務の説明を書き出し、声に出して読む
もう現地にいる直近1か月で英語に詰まった場面を3つ書き出し、会議の中だったか外だったかを分ける

3つを同時にやる必要はありません。当てはまるのは1つなので、残りの2つを進めても、赴任日は近づくだけです。

まとめ|会社は用意してくれないので、赴任日から自分で逆算する

海外赴任者を年に101名以上出している企業が4割を超える一方で、赴任前研修を必須にしている企業は3割に満たない。会社が用意してくれる前提で待っていると、準備がないまま赴任日が来ます。

そして9割以上の企業で起きている途中帰任の主因は、語学力そのものではなく、文化適応の失敗と現地コミュニケーション不全でした(ビズメイツの調査)。点数を満たしても、現地で通じなければ同じ場所に立てません。

やるべきことは、まだ決まっていないなら自分から話した回数を増やすこと、日付が出ているなら初日に必ず起きる場面を声に出しておくこと、もう現地にいるなら詰まった場面が会議の中だったか外だったかを分けることです。

赴任先によって英語の比重も変わります。上海に6年いても英語は「多少」だった方がいる一方で、赴任した翌月から毎日メールと会議があり、月に1度は司会を務める方もいます。自分の赴任先で誰と話すことになるのかを先に確かめると、練習する場面が決まります。

どれか1つを、赴任日から逆算して決めてください。

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