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ビジネス英語の自己紹介|差がつくのは「仕事の1文」と2 往復目の質問

ビジネス英語

来月、外国人メンバーとの顔合わせがある。初めての顔合わせだ。例文を検索して、「My name is...」から始まる文を組み立てた。何度も読んでみた。けれども、読み上げるたびに思う。この紹介で、自分は相手にどう映るのだろう。この後の会話は、続くのだろうか。第一印象を良くしたいのに、自分の言葉に聞こえない。そんな不安はないでしょうか。

「英語 自己紹介 ビジネス」で検索すると、挨拶・名前・所属・締めの言葉、と場面別のフレーズと例文が整理されています。例文は揃っています。けれども、暗記した自己紹介が本番で通用するのか、その後の会話にどうつなげるのかには、答えていません。

本番の前に、自己紹介を完全に仕上げた方がいます。化学業界で経営管理を担当し、2022年4月からイギリスに赴任することが決まっていたTさんです。発音訓練のレッスンの中で、Tさんはカリキュラム外の依頼をしました。

それ以外にも私のレッスンでは自己紹介文を添削してもらいました。イギリスに駐在する際に必ず自己紹介は必要なので、決められた課題のみではなく生徒のリクエストに応じて柔軟に対応してもらえる点がとても良かったです

例文の暗記ではなく、自分の自己紹介文を、直してもらってから持って行ったということです。

Tさんは、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、駐在や転職の本番を控えて自己紹介を準備した方の声も残っています。この記事では、ビジネスの英語自己紹介をどう組み立てるかに答えたうえで、本番を控えた受講者が「どう準備して場に立ったか」をお伝えします。

ビジネス英語の自己紹介——構成は4部品。中身は「仕事の1文」で決まる

この章では、ビジネスシーンで求められる自己紹介の基本構成から説明します。駐在や転職を控えた方が実際に場に立つまでの流れを通じて、「なぜ構成だけでは足りないのか」「差がつくポイントは何か」を見ていきます。

構成の4部品. 挨拶・名前・仕事・締め

ビジネス英語の自己紹介は、次の4つの部品で組み立てます。「英語 自己紹介 ビジネス」で検索すると、この構成と各パートの言い方がセットで出てきます。

①挨拶:Nice to meet you. / Hello, everyone. — 相手へのあいさつで場を開く

②名前:I'm ○○. Please call me ○○. — 名前を伝えて、呼ばれ方を指定する

③仕事:I'm in charge of 〜 / I work in 〜 — 自分の職務を伝える

④締め:I look forward to working with you. — 関係の開始を宣言する

この4つの流れで、自己紹介として成立します。検索で見つかる記事や教材は、この構成と各フレーズを場面別に整理したものが大半です。挨拶の言い方・名前の言い方・所属や職務の表現・締めの言葉。それぞれのバリエーションが揃えば、自己紹介の「骨」は完成します

差がつくのは「仕事の1文」

ですが、実際の場面では、この4部品のうち③「仕事」の内容で、その後の会話が変わることがあります。

検索で見つかる例文では、③は「I'm in sales」「I'm in finance」など、職種を一言で答える形になっています。営業です、経理です。そうした直訳で済ませる方が大半です。ところが、ビジネスの現場で相手がその後につなげやすい自己紹介は、もう一段階踏み込んでいます。何を・誰に対して・どこで。その仕事の背景まで1文で言い切れるかどうかで、相手の次の質問が変わります。

製造業の経理として働く市川さんが、自分の仕事をこう説明しています。

私の働いている会社は親会社であり海外子会社がいくつかあります。その為、子会社の経理の方とコミュニケーションをとるために主にメールでのやり取りですが英語を使うことがあります

市川さんの仕事は「経理」という職種だけでは終わっていません。親会社から海外子会社への経理のやり取りを担当している、という中身が見えます。

この日本語の説明をそのまま英語の1文に変換すると、I handle accounting communications between our parent company and overseas subsidiaries. のような形になります。何を(経理のやり取り)・誰に対して(海外子会社の経理担当)・どこで(親会社と子会社の間で)が含まれている1文です。これを聞いた相手は、子会社はどの国にあるのか、普段どんな経理の内容を扱うのか、といった質問をしやすくなります。

自分の仕事の中身を日本語でこう説明できる方は、英語の1文にも変換できます。その1文の中に、相手が次の質問をしたくなる具体性が入っています。 営業です、とだけ言った場合は短い相槌で終わることが多いのに対して、新興市場向けの営業戦略を担当している、とまで言えば、どの市場を主に見ているのか、と質問が続きやすくなります。自己紹介の後の会話が始まるかどうかは、③のパートの密度で決まります。 挨拶と名前は誰が言ってもほぼ同じ形になりますが、仕事の1文だけは、あなたにしか作れません

準備できる唯一の英語

ここで気づくのは、自己紹介は英語の場面で唯一、全文を事前に「完全に準備できる」場面だということです。

会議では、相手の発言が予測できません。ディスカッションでも、どんな質問が飛んでくるかは分かりません。即興の雑談も同じです。けれども自己紹介だけは違います。自分が何を言うか。それはあなた自身が決めることができます。だからこそ、書いて・確認して・声に出す、という準備が100%効く唯一の場面です。

会議でスラスラ話せるようになるには、何度も経験を重ねる必要があります。ディスカッションで意見を言えるようになるには、英語を話す量を積み重ねなければなりません。しかし自己紹介は違います。準備できる場面なので、準備の質がそのまま本番に出ます。例文を暗記するのではなく、自分の仕事の1文を含む自己紹介を書いて、直してもらい、声に出して仕上げる。その流れが、場に出たときの自信と流暢さに変わります。

では、なぜ例文を暗記しても不安が消えないのか。準備の穴を次章で見ます。

例文を暗記しても不安が消えない理由——「自分の言葉」になっていない

例文を検索して、自己紹介の型通りに組み立てた。丁寧に読み上げて準備も十分のはずなのに、本番への不安は消えない。理由は、暗記した文が「自分の言葉」になっていないことにあります。この章では、準備の穴がどこにあるのかを見ていきます。

暗記した文は、本番の一言目で崩れる

例文は「誰の仕事でもない文」です。自分の会社・自分の職務内容・自分の名前の言いやすさが入っていない文は、緊張した場面の第一声で口から出てこないことがあります。

検索で見つかる例文は、「アメリカで営業をしています」「マーケティング部に所属しています」という一般的な枠組みです。読み上げるのは簡単ですが、本番では「私の会社は何か」「私は何の責任を持っているのか」という具体的な1文が相手の質問を呼び起こします。例文の暗記と「自分の仕事を自分の言葉で言う」は、別の準備です。

書いた自己紹介を声に出してみると、初めはぎこちなく感じられます。その文が「自分が実際に使ったことのない表現」だからです。何度も声に出して初めて、舌や口が覚えます。同僚の発音の仕方・言い方の速さ・イントネーションが違えば、覚えるべき音も変わります。暗記だけでは、その準備が済みません。

本番での崩れ方は、3つの場面に分かれます。初対面の顔合わせでは、例文は簡潔すぎて「仕事の詳しいところは何ですか」と掘り下げられた瞬間、用意した言葉がぶつ切りになります。キックオフ会議での一言紹介では、営業とマーケティングの違いすら言い分けられず、曖昧な返事をしてから焦ります。着任初日のランチで隣同士になった同僚に「何をやってるんですか」と聞かれても、暗記した構成が思い出せず、気まずい沈黙が生まれます。例文は、その場面では通用しない準備になってしまうことがあります。

ためらい・恐怖心は誰にでもある

英語を話すことを避けたい。外国人の前で話すのが怖い。それは能力の問題ではなく、話す経験の少なさからくることがあります。

IT業界出身の松田さんは、留学前の自分をこう振り返っています。

留学前は、なるべく英語を話さずに済む方法を探していたほど、英語を話すことをためらっていました

ためらいの根底にあるのは、英語で話すときの「失敗が怖い」という気持ちです。けれども、実際に話し始めると変わります。松田さんは留学後、「英語で会話をすること自体が楽しい」と感じるまでになりました。英語力が急に上がったのではなく、話す回数が増えたことが、恐怖心を反転させています。いまは同僚との会議でも、外国の取引先とのメールでも、英語でのやり取りを当然のこととして進めています。

製薬会社で研究開発をしている方も、同じ変化を経験しています。

今までは英語が話せなかったので、外国人と話すのに軽い恐怖心みたいなものがありましたが、今回のセブ島留学で海外の人たちとたくさん交流したいとポジティブに考えられるようになりました

この方の場合、頭では「話さないといけない」と分かっていても、心が追いついていませんでした。けれども、海外で毎日異なる人とスモールトークをする中で、その恐怖心は消えていきました。恐怖心は、話す相手・話す時間が増えることで薄れていくものです。 知識ではなく、経験で反転します。

自己紹介を目の前に控えた方が感じる「準備が足りない」という焦りも、同じところから来ています。デジタルマーケティング営業の方は、異動当初をこう振り返っています。

グローバルで活躍できる人材になりたいという目標があり、今の部署に異動しました。しかし、異動時は英語スキルに関して全く自信がありませんでした

この方は、新しい部署での初出社を控えていました。目の前に「初の国際会議」「初の自己紹介」という場面が迫っているのに、準備は後から追いかける状態です。多くの方がこの順番になります。 場面が決まってから、準備が急きょ必要になるからです。

セルフ診断. あなたの準備はどこで止まっているか

例文を暗記したのに不安が消えないとき、以下の5つのうちどれに当てはまるかを確認しながら、自分の準備がどの段階で止まっているのかを見てみましょう。

Q1: 例文を書き写しただけで、自分の仕事の内容に置き換えていない

Q2: 声に出して言う練習を、1回もしていない

Q3: 自分の名前と社名を、英語の音で言う練習をしていない

Q4: 自己紹介の後に来そうな質問を、1つも想定していない

Q5: 書いた文が正しいか、誰にも確認してもらっていない

この5つは、3つのタイプに分かれます。

Q1 と Q3 が当てはまる場合は「自分の言葉化が足りないタイプ」です。検索で見つかった例文から、自分の会社名・職務内容・個人名に置き換えていません。本番では、相手が「具体的には何をしてるんですか」と掘り下げてきたとき、用意した一般的なフレーズ「I work in marketing」だけが出てきて、その先を言い切れなくなります。自分の仕事の実態(誰に対して、何を提供しているのか)が言葉になっていないからです。これは準備の初歩で、今夜から始められます。自分の仕事を日本語で1文にしてから、英語に直す順序が効きます。

Q2 が当てはまる場合は「発話練習が足りないタイプ」です。文字に書いただけで、声に出す練習をしていません。本番では、その文を読み上げるときに、どこで息継ぎをするか、どの単語を強調するか、その判断が足りなくなります。結果、棒読みになるか、読む途中で息が続かなくなります。相手の耳には「覚えた文を読んでいるな」という印象が残ります。これは実は最も効果がある準備で、書いた文を10回読むだけで、口の動きが変わります。自分の名前の発音も含めて、口が覚えるまで繰り返します。その過程で、その文が「自分の文」に変わっていきます。

Q4 と Q5 が当てはまる場合は「確認と次の往復までが抜けているタイプ」です。自己紹介で何を聞かれるかを想定していません。また、書いた文が間違っていないか確認してもらっていません。本番では、自己紹介の後に「何が一番大変ですか」「どんなプロジェクトをやってるんですか」と質問が返ってきたとき、その答え方が定まっていません。文法の間違いに気づかないまま本番を迎えると、聞き手に「?」という顔をされるか、聞き直されることになります。これは独学では埋まらない穴です。 オンライン英会話の講師・英語のできる同僚に見せる必要があります。

この穴を、本番の前に全部埋めた方がいます。駐在を控えたTさんの準備を見ます。

実録——駐在前に自己紹介文を添削してもらったTさん

本番の前に、自己紹介文の穴をどう埋めるのか。イギリス駐在を控えた受講者の歩みを見ます。Tさんが踏んだ3つのステップと、そこから分かる「準備できる唯一の場面」を追います。

駐在が決まって、最初に必要になるもの

2022年4月からイギリスに赴任することが決まったTさんは、化学業界の会社で経営管理を担当していました。毎日が英語のメールと、英語でのミーティングになる生活が決まっていました。

赴任決定の時点で、Tさんは既にミライズの発音訓練レッスンを受けていました。ただレッスンは「決められた課題」を中心に進んでいました。そこでTさんは、レッスンの中で「自己紹介文を添削してもらえないか」とカリキュラム外の依頼をしました。駐在が決まれば、最初の場面は必ず来ます。現地の同僚との初顔合わせ、取引先との最初の打ち合わせ、会議でのイントロダクション。その全ての場面で必要になるのが、自分の自己紹介だからです。

Tさんが求めたのは例文の暗記ではなく、自分の仕事の内容を相手に伝わる形で英語にした文でした。何を・誰に向けて・どの地域で働いているのかの3つが明確に入った自己紹介文です。例文を丸暗記すれば本番は大丈夫だと考える方は多いのですが、Tさんはそう考えていませんでした。イギリスに着いてから毎日会う人たちは、その自己紹介を通じてTさんを判断し、その後の関係が決まっていくからです。

添削を依頼した. 決められた課題の外で

Tさんは、自分の仕事の内容を盛り込んだ自己紹介文を書きました。何を・誰に・どこで。この3つが入った文です。化学業界で経営管理を担当していること、イギリスに赴任することが分かる文に整理し、英語で自分の言葉にしました。そして、その文をレッスンに持ち込み、講師に「この文、間違っていないか見てもらえますか」と依頼しました。

冒頭でご紹介したとおり、Tさんは決められた課題の外で自己紹介文の添削を依頼し、レッスンはそのリクエストに柔軟に応えています。決められたカリキュラムの外で、Tさん固有の必要に応じてレッスンを調整する。 そこまでやってくれるのが本番に向けた準備だと、Tさんは考えていました。講師の添削は、Tさんの自己紹介文に向き合いました。文法の誤り、語彙の選択、イギリス英語とアメリカ英語の表現の違い。Tさんが自分で書いた文は、講師の目を通じて正しい英語に直されました。

けれども、ここで終わりではありません。書いた文が正しく直されたとしても、相手に伝わる形で「言う」ことができなければ、本番でも口から出てきません。そこでTさんが選んだのが、発音訓練でした。

なぜ「添削+発音」で仕上げるのか

前の章で見たように、暗記した例文は、本番の緊張で崩れやすいものです。その文が「自分の言葉」になっていないからです。

けれども自己紹介は、英語の場面で唯一、全文を事前に書き切ることができます。書けるということは、添削を受けられるということです。そして添削を受けた文は、声に出して何度も練習することで「言える文」に変わります。

文法の正しさは添削が担保します。伝わる音は発音練習が担保します。 準備が100%効く唯一の場面だからこそ、準備の質がそのまま本番に出ます。

Tさんが発音訓練に力を入れていた理由は、ここにありました。非ネイティブとの会議で英語が聞き取りづらい経験をしていたTさんは、音の正確さが相手の聞き取りやすさを左右することに気づいていました。正しく発音されない言葉は、相手に何度も聞き直してもらうことになります。駐在先で、その繰り返しは避けたい。だから、添削を受けたあと、その文を「言える形」まで徹底して仕上げることに力を入れました。

レッスンで、Tさんは何度も声に出して自分が書いた自己紹介文を練習しました。講師の発音を聞き、自分の音を直し、また練習する。その過程で、見えてくるものがあります。名前の音、社名の音、仕事の内容を説明する文の抑揚。どの音が相手の耳に届きやすいのか、どこに力を入れれば意味が伝わるのか。そうした細部は、文字だけでは見えてきません。

Tさんは、レッスンを受ける前の自分をこう振り返っています。

実際にどのように発音するかは全く分かっていませんでした

文字で書かれた自分の自己紹介文を見ているだけでは、音は見えてきません。どの音を強く、どの音を弱く、どこで間を取るか。そうした細部は、実際に声に出して、講師から指導を受けることで初めて身につきました。

名前と社名も、特に練習しました。イギリスの同僚や取引先に、最初に聞き返されたくない部分だからです。社名の音をはっきり言えること、自分の名前を正確に発音できること。これを何度も繰り返す中で、文字では見えない音の細部が口と耳に刻み込まれ、そのすべてが本番へ向かうための準備になっていきました。

準備の質が本番に出るというのは、こういうことです。添削をされた文を、音のレベルで完成させる。 その手間をかけた方だけが、本番で「自信を持って言える」状態に到達します。暗記に頼っていた場合とは、本番での表現の質が変わります。

あなたがやるなら

Tさんの準備から分かるのは、3つのステップです。

まず、自分の仕事の1文を含む自己紹介文を書くこと。4部品(挨拶・名前・仕事・締め)で、5〜6文の長さが目安です。「営業です」「経理です」の直訳ではなく、何を・誰に・どこで、が分かる文にします。この第一ステップは、完全に独学でできます。 自分の仕事を整理し、英語で言いやすい形に組み立てるだけだからです。

次に、その文を誰かに見せて、直してもらうこと。オンライン英会話の講師でもいいですし、英語のできる同僚でも構いません。自分が書いた文が正しい英語になっているか、相手が理解しやすい言葉になっているか。客観的な目で確認してもらいます。Tさんはレッスンの講師に依頼しましたが、大事なのは「見せる」という行動です。この第二ステップだけは、直してくれる相手が必要になります。

最後に、直してもらった文を、名前と社名の発音も含めて、何度も声に出すこと。口が覚えるまで。耳が音を記憶するまで。本番で、緊張した中でも自動的に出てくるようになるまで練習します。この第三ステップも、基本的には独学で完結します。

駐在前の準備でTさんが選んだのは、書くこと・見てもらうこと・声に出すことの3つでした。その順番に従って、Tさんは本番を迎えています。

準備した自己紹介は、言い終わって終わりではありません。そこから会話を始めた方たちを次章で見ます。

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自己紹介の後——「2往復目」から関係が始まる

自己紹介を準備しても、本番の場に出た後が不安なのはなぜか。自己紹介の価値は、紹介そのものではなく、そこから始まる会話にあります。 実際に場に出た方たちが、自己紹介から関係をどう作ったのかを見ます。

自己紹介は関係の入口. 澤さんの場合

澤さんは大学を卒業後、理系採用で公務員になりました。生命保険業務や銀行業務を中心に25年近く勤め、市場の激変とICTの進展、そして民営化の中で30を超える業務に携わっています。その経験が、後の場面で役割を果たします。転職というチャンスが得られたのですが、転職先がグローバル企業で、業務上英語を使う機会も増えるため、このタイミングでセブ島留学を決めました。

澤さんはかつてオーストラリアでホームステイを経験し、「英語のみの環境に身を置くことが習得には大切」と気づいていました。そこで選んだのが、会社と宿舎が同じ場所にあり英語学習せざるを得ない環境を作れるミライズ留学でした。このビジネス経験と英語学習への向き合い方が、セブ島での出会いの質を変えています。

セブ島留学の中で最も価値を感じた場面を聞かれた澤さんは、こう答えています。

あとはプレゼンテーションクラスで自己紹介をしたりグループクラスで話すことで、自分を知ってもらえたこともよかったと思います。そこから話がつながり、お互いの環境をよく知り合えました。

自己紹介の直後に何が起きたか。「そこから話がつながり」。 自己紹介そのものではなく、その後の会話の中で関係が始まっています。話し相手は澤さんのビジネス経験の厚さに気づき、澤さんも相手の環境を知る。紹介は単なる情報交換ではなく、会話の入口だったということです。

2往復目の設計. 質問を1つ用意する

では、自己紹介から会話を始めるために、何を準備すればいいのか。それは2往復目、つまり「質問を1つ持つ」ことです。

自己紹介を言い終えたら、相手にも聞く。「What about you?」「What do you work on?」。こうした質問が自然に出てきます。相手が答えたら、あなたがそこに1つ質問を返します。返答が続けばそれはもう会話であり、1文の紹介ではなくやり取りが始まっています。

ここで大事なのは、最初の章で書いた「自分の仕事の1文」を持っていることです。あなたが「何を・誰に・どこで」まで言える自己紹介を持っていれば、相手の仕事にも同じ形で質問できます。相手が「マーケティング関連です」と答えたら、「どの業種のマーケティングですか?」「誰をターゲットにしていますか?」と、自分の質問の型をそのまま相手に返すことができます。

この2往復目が、自己紹介と会話を分ける分岐点になります。 自己紹介だけで終わる場合は、一方的に自分の情報を伝えて終わり、その場でのつながりは情報交換で完結します。けれども質問を1つ返せば、相手の返答から話題を掘り下げることができます。相手の仕事の背景を知り、相手も自分の決断理由を説明することで、「この人は何をしている人か」という情報から、「この人はどう考えて、どう働いている人か」という人となりの理解に進みます。

会話が続くと、その深さは予測を超えることがあります。ITのコンサルティングでプロジェクトマネジメントをしているKさんは、セブ島留学での講師との出会いをこう振り返っています。

またコアティーチャーとは会話する時間が長く取れたことと、自分の意見を聞き入れてくれる人だったため、単なる英語を超えて、人生論の話までしてしまいました。

相手が聞き手になり、あなたの話に真摯に向き合う。その時点で「単なる英語」は背景に退きます。仕事の背景、キャリアの選択、人生の向き方まで話題が移っていきます。自己紹介という入口から始まった会話は、相手を知ること以上に、自分が何を大事にしているかを気づかせてくれることがあります。この深さは、入口の準備だけでは出てきません。2往復目があるからこそ、そこから先の会話が開けます。

独学でできること・できないこと

ここまでを整理すると、会話を始めるために必要な準備は「自己紹介文を書く・質問を1つ用意する・声に出す」の3つです。この3つは、今日から独学で完結します。

自分の仕事を1文で言い切り、相手の答えに返す質問を1つ想定します。そして、その自己紹介と質問を口が覚えるまで声に出します。ここまでであれば、添削者がいなくても、参考書の知識で足ります。「I'm in charge of...」という型を参考にして、自分の仕事の内容を入れ込み、英語の順序で並び替えます。さらに「What about you?」と相手に質問を返す文も、その場で作ることができます。

埋まらないのは、そこからです。 書いた自己紹介文が、本当に相手に伝わる形になっているか。「経理です」と伝えたつもりが「I'm a bookkeeper」となり、相手は「簿記係」と理解していないか。その文を英語の音で言ったときに、自分の発音では正確に聞こえるか。そして最も大きいのは、相手が想定外の返しをしてきたときの対応です。

前職は何をしていたのかと聞き返されたとき、どこまで話すのが良い返しになるのか。仕事で英語をどのくらい使うのかと切り込まれたら、どう応じるか。担当領域をさらに深掘りされたとき、答えを用意していなければ言葉に詰まります。こうした展開のすべてを、自分1人で想定することはできません。

添削を受ける・想定外の返しを何度も経験する・その度に何と答えるかを直してもらう。この部分だけは、独学では埋められません。ビジネスの英語自己紹介は、入口は完全に準備できる一方で、その先は相手がいてはじめて鍛えられます。その特性を知った上で、何を自分でやり、何を講師に任せるかを判断することが、効率よく準備するための分かれ目になります。

準備した自己紹介を持って場に出た方たちは、その先の2往復目、さらには数往復後の会話の中で、英語の場面に慣れていきました。入口の準備は確実にでき、その先は実践の中で鍛えられます。 これが、本番の場に立つ前に準備できることの全体像です。

自己紹介から場に入っていった方たちが、いまどう変わったか。最後に並べます。

最初の場面を越えた人たち——準備は裏切らなかった

この章では、自己紹介から場に入っていった方たちの、いまを並べます。全員に共通するのは、うまく話せるようになってから場に出たのではなく、準備した自己紹介を持って場に出たことです。

場を、練習として自分で選んだ人たち

市場調査会社へ転職した方は、転職初日を控えた1ヶ月の集中準備の中で、こう語っています。

社会人が集まる学校ということもあって、色々なバックグラウンドを持つ人と話をすることを楽しみにしていました

初対面は避けるものではなく、楽しみに変えられます。 この方は、新しい職場に行く前に、異なるバックグラウンドを持つ人との会話を、練習の場として自分で選びました。転職というチャンスを得たからこそ、その時間を有効に使う判断をしています。新しい職場での人間関係の入口が自己紹介だという現実を理解し、事前にその場を作ってから本番に臨もうとしていました。

電機メーカーで開発をしている樋口さんも、同じ視点で環境を選んでいます。

決め手になったのは、社会人に特化した学校ということで、バックグラウンドが異なる人達と出会うことができるんじゃないかと思ったことです

二人は、ただ英語を習いに来たのではなく、自己紹介をきっかけに実際に会話をする場を、自分でつくりに来ていました。単なるレッスン受講ではなく、多様な背景を持つ人たちとの関係を始める前触れとして、学習環境を選んでいます。

精神科医として働いていた髙木さんの準備は、さらに短期でした。

ただ、1週間の超短期のセブ島留学でも積極的にプレゼンテーションを行い、自己紹介をしたことは非常に良い経験になりました

1週間。 その限られた時間の中で、積極的に自己紹介をやった経験は、その後に残りました。短期だからこそ、各機会を逃さない判断が必要でした。髙木さんは産業医として企業数社とも契約し、作家として本を4冊出版している方です。短い時間の中でも、実際に自己紹介をする場に自分を置くことが最大の学習だと理解していました。

完璧ではなく、障壁が下がった

なるべく英語を話さずに済む方法を探していたほど話すことをためらっていた松田さんは、いま「英語で会話をすること自体が楽しい」と感じるところまで来ています。ためらいから楽しさへの転化は、準備と実践の繰り返しの中で起きました。 うまく話せるようになってからではなく、準備した自己紹介を持って場に出た経験が、その転化を生んでいます。自己紹介は、英語を話す場面の中で最もコントロールできる場面です。だからこそ、そこで一度成功する体験が、次の場面への自信につながります。

澤さんは、25年近い公務員の仕事の後、グローバル企業に転職しました。転職先で必要な英語に向き合う中で、セブ島留学を決めています。転職初期という、最も関係を作る必要のあるタイミングで、準備された自己紹介を持ち込み、転職先で使う英語の土台をこの期間に作りました。現在地について、澤さんはこう語っています。

英語で話すときの心理的障壁は下がりました。もちろん『あれ?英語でなんて言うんだっけ?』というのはまだありますけどね

流暢になったという宣言ではなく、障壁が下がったという表現に、この言葉の正直さがあります。完璧になったのではなく障壁が下がった。これは正直な現在地であると同時に、継続の地点でもあります。

転職初日を控えていた方、樋口さん、髙木さん、松田さん、澤さん。それぞれの準備の形は違いました。レッスンで添削してもらう方、自分で練習場所を選ぶ方、限られた時間の中で実践する方。けれども共通しているのは、自分の仕事の1文を、自分の言葉で、声に出して準備したことです。その準備が100%効く場面は、ビジネス英語の中で自己紹介だけです。会議もディスカッションも即興が必要ですが、自己紹介は違います。書いて、直してもらい、声に出す。そのすべてが事前に完結します。

最後に、今日からの準備を整理します。

まとめ|英語の自己紹介は「書いて・直して・声に出す」で仕上がる

ビジネスの英語自己紹介は、挨拶・名前・仕事・締めの4部品で組み立てます。差がつくのは仕事の1文で、何を・誰に・どこで、まで言えるかで相手の次の質問が変わります。例文の暗記で不安が消えないのは、その文が自分の言葉になっていないからです。

準備するなら、次の3つです。

  1. 自分の仕事の1文を含む自己紹介文を書く
  2. 講師や英語のできる同僚に見せて、直してもらう
  3. 名前と社名の発音も含めて、口が覚えるまで声に出す

書くことと声に出すことと質問の用意までは今日から独学でできますが、添削だけは相手が必要です。

自己紹介の価値は言い終わってから始まります。質問を1つ用意しておくことで、2往復目から関係が深くなります。 準備した自己紹介を持って場に出れば、後は実践です。

最初の場面を越えた方に共通するのは、うまく話せるようになってから出たのではなく、準備を整えて場に立ったことでした。準備が100%効く唯一の場面で、準備の質がそのまま本番に出ます。

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