商談の英語が出てこない理由|フレーズではなく3つの壁で決まる
TOEICのスコアは悪くない。英語の資料も読める。それなのに、商談で海外の相手と向き合った瞬間、言葉が出てこない。そんな経験はないでしょうか。
「商談 英語」で検索すると、フレーズ集はいくらでも見つかります。「Let me confirm」「Can I get back to you?」。便利なフレーズを覚えること自体は間違っていません。ただ、覚えたはずのフレーズが商談の緊張の中で出てこないのが本当の悩みではないでしょうか。上位に並ぶ記事はどれも「覚えれば使える」という前提で書かれています。本当に知りたいのは「なぜ出てこないか」の方です。
ベンチャーキャピタル代表の林さんは、海外出張のたびにこの状態が続いていました。
現地のベンチャーキャピタリストと会話する機会も多くあるので人脈を広げていきたいのですが、毎回雰囲気とジェスチャーでなんとか切り抜けることで精一杯。実際のところは相手の話している内容の半分くらいしか理解できず、中々ビジネスへと繋げることができなかった
日本の電線メーカーで購買の仕事をしている廣井さんも、中国の上海で6年間駐在したあと帰国し、英語の商談やメール・電話のやり取りを課題として挙げていました。
林さんはシャベリッシュ、廣井さんはミライズ留学の受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されています。この記事では、そこから商談英語のつまずきを3つに分け、それぞれに実際にやられていた訓練と、変化までにかかった期間をお伝えします。
商談英語の失敗はフレーズ不足ではない——つまずきは3つの壁に分かれる
英語で商談する場面は、確実に増えています。では、英語で話す場面はどれくらい増えているのでしょうか。AI英会話アプリを提供する株式会社スピークバディが、英語学習に関心のある人を対象に実施した2025年英語需要の変化と『AI英会話』についての意識調査(n=832、2025年5月)によると、70.1%が「昨年よりも英語を話す機会が増えた」と回答し、その理由の1位は「海外取引先とのやりとりが増えた」55.0%でした。回答者は英語学習に関心のある層で、社会人全体の平均ではありません。それでも、増えている理由の1位が取引先とのやり取りである以上、商談の英語は一部のグローバル企業だけの課題ではなくなっています。
「商談英語がつらい」と一口に言っても、つらさの中身は方によって違います。体験談を分解すると、つまずきの原因は3つの壁に収束します。フレーズを覚えても商談で出てこないのは、この3つのどれか(あるいは複数)が立ちはだかっているからです。次に、ミライズの受講者たちの実例から、3つの壁の中身を見ていきましょう。
壁1: 聞き取れない(音の壁)
化学業界の会社で経営管理を担当し、イギリスに赴任しているTさんは、毎日の英語メール、英語でのミーティング、月に1度の司会まで求められる環境にいます。それでも、自分の発音についてこう振り返っています。
ミーティングで発した言葉が、発音のせいでボイスレコーダーのアプリでは意図した単語に文字起こしされないこともありました
AIの音声認識にすら通じない発音は、商談相手にも通じていません。
冒頭の林さんも、この壁の当事者です。相手の話の半分しか聞こえていなければ、どれだけフレーズを覚えていても返しようがありません。しかも林さんの場合、出張のたびに同じ場所へ戻ってきていました。
毎回出張に行く前は「少しでも英語を勉強しておかないと!」と意気込むんですけど、いつも帰ってくると「仕事も英語もなんとか乗り切ったぞ!」という気持ちになってしまって、その後は続かない。
商談で最も怖いのは、聞き取れなかったことに自分で気づけないことです。聞こえたつもりで的外れな返答をしていても、相手はわざわざ指摘してくれません。音の壁は、本人に見えないまま商談の信頼を削ります。出張の前は意気込むものの、帰国後は達成感で満足してしまい、そのまま次の出張に向かう。このサイクルの繰り返しが、音の壁の実態です。
壁2: 切り返せない(思考の壁)
AIのベンチャー企業でビジネス開発を担当するYさんは、シンガポール2年・タイ4年と海外経験が豊富です。それでも、帰国後にこう気づきます。
あります!4年間タイでタイ語を使っていたので、実はシンガポールで習った英語を忘れてしまったのですが、マンツーマンレッスンで英語を教えてもらえるので、忘れていたところもすぐにカバーできています。
海外経験があっても、使わない言語は消えます。 帰国して英語の商談が増えたとき、かつての英語力は戻ってきませんでした。しかもYさんは、以前のメーカー勤務からIT業界へ異業種転職をしています。自社サービスの説明・プレゼンテーション・新しい製品紹介。これらを英語で組み立てる経験の不足が、実は大きな課題でした。
経営者の北島さんも、同じ壁を言葉にしています。
私の場合は海外の方とコミュニケーションを取る際、経営者ということもあり仕事について説明することが多いです
日本語なら自社のビジョンも、競合との違いも、条件交渉の落としどころも語れます。なのに英語になった瞬間、その思考を言葉に組み立てられなくなります。これが2つ目の壁です。
ミライズCBOの芦名勇舗は、この壁について、自分の考えがないと物事は喋れない、英語に慣れていることと英語を話せることの間には大きなギャップがある、と解説動画で述べています。フレーズは考えの器です。 考えが言語化されていなければ、器だけあっても商談では話せません。
壁3: 堂々と話せない(心理の壁)
WEB制作会社の社長である井上さんも、レッスンの最初の頃は自分の言いたいことが話せないことが多かったと振り返っています。言葉が出てこない場面の心細さに、心当たりがある方は少なくないのではないでしょうか。自分の英語が初心者レベルだと分かっていても、実際の商談では「間違えたら失礼かもしれない」という不安が先行し、沈黙を選んでしまいます。その沈黙そのものが、ビジネスパートナーに「この人は話す気がないのか」というメッセージを送ってしまいます。
心理の壁が厄介なのは、音や思考の壁と掛け算になることです。聞き取れない不安が「聞き返したら失礼かもしれない」という躊躇を生みます。言いたいことが英語にならない焦りが「間違えるくらいなら黙ろう」という判断を生みます。こうして商談の主導権が、自分の手から静かに離れていきます。
壁1・壁2・壁3は独立しています。1つだけの方もいれば、3つすべてが重なっている方もいます。大切なのは、自分がどの壁で止まっているかを知ることです。ここまでの5人に共通するのは、仕事の実力も場数もあるということです。英語だけが、商談の主導権を奪っています。
セルフ診断. 自分はどの壁か
次の6つの項目を読んで、当てはまるものを確かめてみてください。
| 壁 | チェック項目 |
|---|---|
| 音① | ネイティブの英語が商談中に塊に聞こえて、聞き返すことが多い |
| 音② | 自分の英語を聞き返されたり、通じなかったりすることがある |
| 思考① | 日本語なら言えることが英語にならず、沈黙してしまう |
| 思考② | 商談前に言いたいことを英語で準備しても、本番では違う話題が来て対応できない |
| 心理① | 間違った英語を口にするくらいなら黙る方を選ぶ |
| 心理② | 頭の中で文法チェックしてから話すため、テンポが遅れる |
音に当てはまった方は、この記事の後半「聞き取りが変わると商談が変わる」が最も重要な章です。思考や心理に当てはまった方は、次の「商談前にできる準備3つ」から今日始められることがあります。どちらも当てはまるという方は、まず準備から始めて、音の壁は専門的な訓練で壊すという順序が現実的です。
自分の壁が見えたら、次は商談の前にできることから始めます。思考と心理の壁は、準備だけで壊せる部分があります。
商談前にできる準備3つ|思考と心理の壁は自分で壊せる
3つの壁のうち、思考の壁と心理の壁には「商談の前にできること」があります。音の壁だけは別のアプローチが必要ですが、まずは今日から始められる準備を3つご紹介します。
準備1. 次の商談の想定問答を母国語で先に書く
ミライズCBOの芦名勇舗は、スピーキングの解説動画の中で、英語に慣れてきた方ほど英語を話す練習より先に「母国語を喋る練習」をした方がいいと語っています。理由はシンプルで、自分の考えがまだ言葉になっていなければ、どの言語でも話せないからです。
日本語でも言えないことは英語でも言えません。 次の商談で相手に伝えたいことを3つ書き出してみてください。「自社の強み」「この商談で合意したいこと」「相手が気にしそうな懸念」。もしこの3つが日本語で書けないなら、それは英語力の問題ではなく思考の整理が足りていないということです。日本語で考えを組み立ててから英語にする。この順序を逆にすると、前の章で見た思考の壁にぶつかります。
準備2. 自社の説明を英語で書いて音読・録音する
経営者の北島さんは、海外とのコミュニケーションが多い立場から、自分の仕事を英語で正確に説明することの重要性を実感していました。北島さんが取った方法は、次のものです。
そんな場面で上手く伝えられるように、自分で作成した英文のスクリプトをトレーナーや講師に添削してもらい、レッスンの中に発音練習も組み込んでもらいました
ここで注目したいのは「自分で作成した英文のスクリプト」という部分です。教材のフレーズではなく、自分の仕事を説明する英語を自分で書く。この工程は独学でも今日からできます。 自分の事業を説明するための言葉は、あなたが一番知っている素材だからです。
自社の事業を3文で英語にしてみてください。完璧でなくて構いません。自分の言葉を事前に持っているだけで、本番の「何も出てこない」という恐怖が減ります。 これが心理の壁への直接的な対策になります。
準備3. フレーズは「場面とセット」で声に出す
「商談 英語」で検索して出てくるフレーズは数十個から数百個にのぼります。全部覚える必要はありません。商談の場面で本当に使う切り返しは、3つに絞れます。
- Let me check(確認させてください)——即答できないときの間の取り方
- Can I get back to you?(後ほど改めてご連絡してもよろしいでしょうか)——持ち帰りの合意
- Let's make sure we're on the same page(認識を合わせましょう)——誤解を防ぐ確認
この3つには共通点があります。どれも「沈黙を防ぐ道具」です。芦名は動画で、英語は会話の中の沈黙(デッドエア)を強く嫌う言語だと指摘しています。商談で一番こわいのは「答えが分からなくて黙ること」です。この3フレーズは正解を出すためのものではなく、考える時間を作るためのものです。
ただし、覚え方に注意点があります。フレーズ単体を暗記しても本番では出てきません。交渉相手が値引きを要求してきた場面なら Can I get back to you? という形で、場面とセットで声に出して練習してください。Yさんは、プレゼンの前に先生と本番のシミュレーションまで行い、その場でアドバイスをもらっていたと言います。
作り方の目安も添えておきます。まず、次の商談で相手から飛んできそうな質問を10個、日本語で書き出します。価格・納期・実績・競合との違い・導入後のサポート。過去の商談で実際に聞かれたことから拾えば、10個はすぐ埋まります。次に、それぞれへの答えを3文以内で書きます。長い説明は本番で再現できないため、3文で言い切れる形まで削るのがポイントです。ここまでは全て日本語で構いません。答えの内容が固まってから英語に直し、最後に声に出して場面ごと練習する。この順序なら、商談の席で「考えながら訳す」という一番重い作業を減らせます。
正直な限界. 音の壁だけは準備では越えられない
準備1〜3は思考の壁と心理の壁に効きます。言語化と場面準備で壊せる部分です。
ただし音の壁だけは、いま挙げた準備では越えられません。フルタイムで働きながら独学でTOEIC845点と英検準一級を取得し、オンライン英会話を2年間毎日続けた古庄さんでさえ、自分の発音が本当に合っているのかが分からず、独学の限界を感じたと語っています。
自分で検証しようとした記録も残っています。
練習のために自分の声をレコーディングしていましたが、かっこよく発音できた試しがないので聴くのが苦痛でした
自分で工夫し、自分で検証しようとしても、フィードバックの源泉がなければ「本当に合っているのか」が判断できません。なぜ音の壁だけが独学で越えられないのか、次の章で実在の訓練とともに見ていきます。
「知っている英語」を、話せる英語に。シャベリッシュの無料カウンセリングでは、スピーキングの現在地診断と、期日から逆算した学習プランをお持ち帰りいただけます。無料カウンセリングを予約する聞き取りが変わると商談が変わる|実在の受講者がやった訓練
この章では、3つの壁の起点になる「聞き取り」を訓練で変えた受講者の歩みを見ていきます。なぜ話す練習より先に聞き取りなのか、順序の理由から確認します。
なぜ聞き取りからか. 発音できない音は聞こえない
「まず話せるようになりたい」という気持ちは自然ですが、順序としては聞き取りが先です。シャベリッシュのサービスページは、この順序について、発音できない音は聞こえないという脳の特性があるため、発音力が上がるとリスニング力も大幅に向上する、と説明しています。
商談に当てはめると、こうなります。相手の英語が聞き取れないまま、いくら話す練習をしても、会話はかみ合いません。「聞き返す回数が減る」だけで、商談の信頼関係は変わります。
林さんの変化. 「半分しか聞き取れない」から「俺の英語通じる!」へ
冒頭のVC代表の林さんの話に戻ります。海外出張で現地のベンチャーキャピタリストと会話する機会は多いのに、相手の話の半分ほどしか理解できず、雰囲気とジェスチャーでなんとか切り抜けるレベルが続いていました。
転機は、シャベリッシュ卒業生のビフォーアフターを見て「2ケ月でこんなに変われるのか!」という衝撃を受けたことでした。最初のレッスンで指摘を受けた林さんは、自分の発音は「こんなにひどいのか」と驚くことになります。そこで初めて分かったことを、林さんはこう書いています。
特にこれまで英語を話す上で「リズム」や「トーン」は全く意識をしてこなかったので自分一人では気づけない伸びシロを発見できて、ひたすらに練習できる環境があったのはとても助かりました
変化は段階を踏んでいきます。最初はリスニングでした。
先日スティーブジョブスの没後10周年のムービーを見たのですが、その英語をほとんどを聞き取れたことに感動しています
次に発話が変わり、「オンライン英会話の先生に『発音綺麗になったね!』と言ってもらえた」。そして「英語が口から出やすくなりました」。
「俺の英語通じる!」と自信が持てた瞬間でしたね
聞き取れるようになる → 発音が整う → 口から出やすくなる → 自信が持てる。 この順番は、前の章で見た心理の壁を後ろから壊す流れそのものです。
実務に直結した訓練. 商談資料をそのまま教材にする
「英語を勉強する」ではなく「仕事で使う英語を練習する」。受講者たちの訓練は実務に直結していました。
イギリスに赴任しているTさんは、読解速度が変わったと言います。
英文を帰り読みせず、文頭から理解できるようになりました
月に1度、英語での司会を務める環境です。読解速度の向上は「初めてリーディングの時間が余ったんです」とTOEICの成績にも表れました。
Yさんは、仕事で使う資料をそのまま教材にしました。
日本語のパンフレットを英語に翻訳するのをチェックして、添削してもらったり
さらに「プレゼンテーションがある時はそのシミュレーションも先生とできて、アドバイスやフィードバックをしてもらえます」。商談資料から事前演習まで、レッスン内で完結させています。
上海赴任から帰国した廣井さんは、仕入先との商談に絞りました。
英語で海外のサプライヤーさんとのメールや電話でのやり取り、直接商談する際の会話のやり取りのなどを集中して勉強させてもらいました
3人に共通するのは、自分の仕事の場面をそのまま練習の題材にしていることです。訓練の内側は、プロの診断と個別カリキュラムです。発音診断70項目以上から個別カリキュラムが組まれ、週2〜3回のマンツーマンレッスンと週1回の日本人トレーナー面談が2ヶ月間続きます。
独学では越えられない一線. 3人の実例
古庄さんは、フルタイムで働きながら独学でTOEIC845点と英検準一級を取得し、さらにオンライン英会話を2年間毎日続けるなど、地道に学習を続けてきた方です。それでも「自分の発音が本当に合っているのかが分からず、独学の限界を感じた」。スコアだけでは超えられない壁がありました。
イギリスに赴任しているTさんは、より具体的な困難を抱えていました。ボイスレコーダーのアプリに意図した単語として文字起こしされない、という壁です。AIの音声認識にすら正しく認識されない発音は、自分では気づけません。
ドバイでオンライン教育事業を、大阪で飲食店を経営するH.Tさんは、聞こえ方そのものが変わったと語っています。
長い英文だとリスニングが追い付かず、呪文のように聞こえていた
訓練後は「今はしっかり英語が聞こえてくるようになりました」。理由については「発音のルールを体系的に学べたおかげだと思っています」と述べています。
3人が示すのは、同じ構造です。スコアがあっても、時間をかけても、超えられない一線があります。発音できない音は聞こえません。 この循環を断ち切るには、客観的な診断が必要になります。では、これらの訓練はどのくらいの期間で変化を生んだのか。最後に「で、どのくらいかかるのか」という一番現実的な疑問に答えます。
変化までの実際の期間|6人が何ヶ月で何を変えたか
「で、どのくらいかかるのか」。最も現実的な疑問に、実在の受講者6人の実例で答えます。
6人が変わるまでにかかった時間
| 期間 | どんな方か | 変化 |
|---|---|---|
| 1週間 | PRコンサルタントとライターの落合さん | 「外資系企業の英語の資料を読む際、身構えなくて済むように」 |
| 2ヶ月・150時間超 | ベンチャーキャピタル代表の林さん | 「俺の英語通じる!」と自信が持てた |
| 2ヶ月・録音600本超 | WEB制作会社の社長・井上さん | 「わかる単語やフレーズはクリアに聞こえてくるように」 |
| 2ヶ月 | 化学業界で経営管理を担当し、イギリスに赴任しているTさん | 「英文を帰り読みせず、文頭から理解できるように」 |
| 2ヶ月 | 独学でTOEIC845点・英検準一級を取得した古庄さん | 「自分の英語に自信を持つことができた」 |
| 約5ヶ月・週1回 | AIのベンチャー企業でビジネス開発を担当するYさん | 資料添削・プレゼン準備を実務に組み込み「商談も1人でできるようになりたい」段階へ |
この表から見えてくるのは、目標の種類が期間を決めるということです。
英語資料への心理的ハードルを下げることが目標なら、1週間の集中で変化は起きます。落合さんはフィリピン留学で1週間みっちり英語に触れたことで、それまでの「英語=身構える対象」から「読めば理解できる対象」へ、心持ちが変わりました。
聞き取りや発音に関わる変化については、林さん、井上さん、Tさん、古庄さんの4人が、いずれも2ヶ月の時点での変化を書き残しています。ただし、この4人はプログラムの期間が2ヶ月に設定されているため、2ヶ月で変わったというより、2ヶ月時点で記録が取られている、と読むほうが正確です。誰でも2ヶ月で同じところに届く、という話ではありません。
実務で商談を1人でこなす段階については、残っているのは約5ヶ月の継続例です。Yさんは海外戦略チームに属し、資料の翻訳・校正、プレゼン準備を実務に組み込みながら、週1回のマンツーマンレッスンで約5ヶ月。それでも「今は商談も1人でできるようになりたい段階」と述べています。5ヶ月の時点でも、本人はまだ到達していない段階として書いています。
この表には「1週間でペラペラ」にあたるものがありません。書かれているのは、どれも自分の場面で何が変わったか、という範囲の話です。
忙しい経営者はどう時間を作っているか
「2ヶ月で150時間なんて時間が取れない」。経営者の方ほど、そう感じるはずです。
では、実際に忙しい経営者たちがどう時間を作ったのか。3人のやり方を見てください。
完璧ではなく、ポイントを絞って続ける
経営者の北島さんは、多忙の中でも継続できた秘訣をこう語っています。
思ったように自己学習の時間が取れずにいると、週に1回あるトレーナー面談で事情を汲み取ってくれ、「最低限ここの発音だけ意識してやってみましょう!」とピックアップしてくれました
完璧に毎日練習することを目指していません。 その代わり、トレーナーと相談して「この週は、この音だけに絞ろう」と決めます。北島さんは林さんの150時間を目指すのではなく、自分の仕事の波に合わせて、最小限のポイントに集中するやり方を選びました。その結果、続けることができ、実際に発音が改善されています。
生活の隙間に英語を入れる
ドバイと大阪で事業を経営するH.Tさんは、さらに別の方法を取りました。
すきま時間に学習することです。例えば顔を洗っている時に課題として出されたTEDトークを流してリスニングしたり、家事の合間にシャドーイングをしたり
ドバイと大阪を行き来し、オンライン教育事業と飲食店を経営しながらです。まとまった2時間の学習時間を作るのではなく、朝の顔洗い、夜の家事。日々の「既にある時間」の中に英語を混ぜ込むことを選びました。 新しい時間を作ったのではなく、既にある時間の質を変えています。
移動時間をそのまま学習時間に
井上さんも同じ発想で、移動時間を活用しています。
仕事の合間の運転中に英語の音声を聞いたりするんですけど、母音と子音を知ったので自分がわかる単語やフレーズはクリアに聞こえてくるようになりました
会社の経営、営業、打ち合わせ。毎日忙しいWEB制作会社の社長です。その移動時間は、新規に作らなくても既にありました。その時間を「ラジオを聞く時間」から「英語の音声を聞く時間」に切り替えるだけで、月間で考えると数十時間の学習時間が生まれます。
3人とも、新しい時間を作ったわけではありません。すでにある時間の使い方を、意識的に変えただけです。北島さんは完璧をやめ、ドバイと大阪で事業を経営するH.Tさんは隙間を見つけ、井上さんは移動をそのまま活かしました。工夫の種類は異なりますが、根っこにある発想は共通しています。今の生活の枠は変えずに、その枠の中で優先順位を付け替える、ということです。
期間は壁の種類で決まります。自分がぶつかっている壁が「資料への心理的ハードル」なら1週間、「聞き取りの壁」なら2ヶ月、「商談の独立」なら5ヶ月。まとめの章で、自分の壁に合った初手を整理していきます。
まとめ|商談英語はフレーズではなく3つの壁で決まる
この記事で確認できたことを整理します。
商談英語の失敗は、フレーズの不足ではありません。聞き取れない(音の壁)、切り返せない(思考の壁)、堂々と話せない(心理の壁)。 この3つのどれか、あるいは複数が重なっているのが、商談で英語が出てこない根本的な原因です。
自分の壁に合った初手は、次の3つです。
- 思考の壁なら、次の商談の想定問答を日本語で10個書き出す
- 心理の壁なら、自社の説明を英語で3文書いて、声に出して録音する
- 音の壁なら、自分の発音を客観的に診断してもらえる場を持つ
フレーズを覚えることは間違っていません。しかし壁を知らないまま暗記していても、本番では出てきません。商談英語を変えるには、まず自分がどの壁でつまずいているのかを特定するところからです。
