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社会人の英語やり直し|「時間ができたら」を待たずに仕事と両立させた方の話

英語学習

英語をやり直したいという気持ちは、もう何年も前からある。平日は朝から晩まで仕事、帰ったら疲れ切っている。休日は家のことと自分の休息で消える。「時間ができたら始めよう」と思ったまま、その「時間」は一度も来ていない。心当たりはないでしょうか。

「英語 やり直し 社会人」と検索すると、「おすすめ教材」「アプリ10選」が並ぶ。ただ、あなたが本当に知りたいのは教材の名前ではなく、『仕事を持ったまま、どうやって学ぶ時間を作った人がいるのか』のはずです。

では、やり直せていない社会人はどれくらいいるのでしょうか。AI英会話アプリを運営する株式会社ベンドが、英語を学んだ経験がない英語初心者の社会人を対象に実施した「社会人の英語未学習に対する後悔に関する実態調査」(n=200、2026年1月22日〜1月29日)によると、76.5%が英語を勉強してこなかったことを後悔していると答えました。同じ調査で、英語を学習してこなかった状況を聞いた設問では、51.5%が「始めようとは思ったが、具体的な行動に移せなかった」と回答しています。英語初心者に限った調査ですが、多くの方が止まっているのは学習の中身ではなく、始める前の段階です。

実際に、仕事を止めずにやり直した人がいます。福岡で不動産仲介業を営む井上さんは、10週間の学習期間中も毎日ランチタイムに日本の同僚と1時間のテレビ電話ミーティングを続けていました。転職の合間を使った外資系不動産へ転職したNさんは、有給で2週間と決めて投入しています。パーソナルトレーナーの三井さんは、まとまった時間を作らず、毎日の細切れ時間だけで続けました。3人とも、新しく時間を作ったのではなく、いまある時間の使い方を先に決めています。

井上さんとNさんはミライズ留学、三井さんはシャベリッシュの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されています。この記事では、その中から仕事を持ったまま学び直した方の話をたどり、時間の使い方が3つに分かれること、そして自分がどれを選べるのかをお伝えします。

「時間がない」は本当か——記録に残る社会人は、仕事を止めずに学び直していた

ここからは、記録に残る社会人の実例から、3つの時間の使い方を学びます。まず、仕事と学習の両立は本当に大変なのか、その声から始めましょう。実在する人たちが、どんな前提で、どう両立させてきたのか。その現実から、読者が自分に合った型を選べるようにしていきます。

「仕事をしながらの勉強は大変」. 正直な声から始める

まず、正直な声を聞きましょう。弁護士として働きながらアメリカの大学進学を目指す受講者は、こう書いています。

アメリカの大学へ入るためにこれからも英語の勉強を続けなければいけないですが、仕事が忙しく、仕事をしながらの勉強は大変です

仕事と学習の両立は、本当に大変なのです。疲れ切った体で、英語の教材に向かう。平日の30分を作ることさえ、社会人には非常な決断が必要です。

経理職の生出さんも、その苦労を言い換えています。

これまで仕事をしながら英語の勉強を続けてきましたが、日本の中だけでは英語を話せるようになるまでにすごく時間がかかってしまうなと

この方が挙げているのは、時間の総量ではなく、日本国内で続けた場合にかかる年数のほうです。どれくらいの密度でやるかによって、同じ月数でも中身が変わります。どちらが正しいという話ではなく、自分がどちらの条件で進めているのかを把握しておく、という話です。

それでも、仕事を止めた人はほとんどいない

一方で、仕事を止めずに学び直した記録も複数あります。以下は、そのうち時間の使い方がはっきり書かれている人たちです。

コワーキングスペースの運営に携わるの体験談のタイトルは「午前はレッスン!午後は仕事!」です。朝は英語学習に浸り、昼食後すぐに仕事に戻る。その時間割そのものを、自分のスケジュール管理に組み込んでしまった形です。

この実現方法が重要です。コワーキングスペースという自分の職場を持つ立場だからこそ、午前を「レッスン時間」として確保し、その時間は会員対応や運営業務を入れない。朝のミーティング、営業電話、事務作業——すべてを午後に集約する。そうした時間割を、事業開始時から組み込んでおくのです。

この方は、働く側も学ぶ側も、どちらも妥協していません。むしろ、両立を理由に、より高い集中力を引き出しています。午前は「英語のためだけに使う」と決めることで、その時間の集中度が高まり、午後の仕事もまた「別の集中」として機能する。

この実例が伝えているのは、「時間を無理やり作る」のではなく、「この時間は英語」と先に決めておくという発想の転換です。生活の予定そのものに英語学習を組み込む。その順番を最初に決めることで、仕事と学習の両立が習慣になります。

この方から読み取れるのは、いつ何をするかを先に決めていた、という点です。ただし、これは1人の例です。同じ時間割が誰にでも組めるわけではありません。自分の職場で動かせる部分がどこにあるかは、人によって違います。

3回の学び直しを重ねた教育業界の三鍋さんは、働きながらの学習について、こう前置きしています。

社会人として仕事をしながら英語を伸ばしたい人や、落ち着いた環境で学びたい人にとって、フィリピン留学やセブ島留学の選択肢として魅力的だと思います

ここに大事な視点があります。この発言は、過去の成功談を振り返っているのではなく、「社会人として働きながら英語を伸ばしたい人」という読者に向けて、現在進行形で語られているのです。そして、「働きながら」という条件を「前提」として扱っています。つまり、働きながら伸ばすことは、できないのではなく、その人の現実であり、その条件を受け入れた上で、最適な学習方法を選ぶという思考になっているのです。

3回の学び直しという数字も重要です。1度や2度の挑戦は成功のタイミングに左右されるものです。しかし、3度も4度も繰り返す人が実在するということは、社会人の学び直しが、決して「一度きりの挑戦」ではなく「人生の中で何度も訪れる営み」だということを示しています。人生のステージが変わるたびに、英語との関係を問い直し、新しい形で向き合い直す。その営みに対して、仕事をしながら対応できる形がある、ということなのです。

では、彼らは具体的にどう時間を使ったのか。記録を並べると、使い方は3つに分かれます。

時間の使い方は3つに分かれる——仕事と並行・まとまった時間に集中・毎日の同じ時刻

3つの型があります。あなたの生活条件に合わせて、どの形が現実的かが決まります。

型1. 仕事を続けたまま学ぶ

仕事も学習も、両方が回り続ける形です。不動産仲介業を営む井上さんは、毎日ランチタイムに日本にいる同僚と1時間テレビ電話でミーティングを続けながら、並行して英語学習を進めました。仕事の時間を確保すること、学習の時間を確保すること、どちらも譲らない。「仕事をしながら英語学習ができる環境」を意識的に作り上げたのです。期間が長くなるぶん、続けられる分量で時間を決めることになります。井上さんの場合、最初は睡眠が4時間になるほどの負荷がかかり、そのあと同じ宿題が半分以下の時間で終わるようになった、と書いています。

型2. 転職・有給・休暇に投入する

社会人の人生には、転職・異動・配置転換・子どもの進学といった「区切り」が必ず来ます。1年に1度の纏まった有給休暇。そうした区切りを、あらかじめ学習投入のタイミングとして決めておく型です。

妻子2人を支える中で、冒頭でご紹介したNさんは、信託銀行から空港会社を経て外資系不動産へ転職しています。この転職という区切りを、学習を投入するタイミングとして先に決めていました。転職で発生する有給を使い、2週間の留学に充てる——そう決めたうえで転職の時期を迎えています。詳しい経緯はこのあとの実録で見ます。

重要なのは、転職という区切りが「来る」のを待ったのではなく、来ることをあらかじめ予測して、その時に何をするかを前もって決めていたことです。

1週間の有給を使ったSEの方も、同じ心構えを述べています。

1週間という時間があって何ができるのか、何をしようかと考えたときに、単純に旅行に行ってもきっと遊んで終わってしまうだろうと思ったんです

1週間を何に使うかを、休みが来る前に決めていたことになります。

転職のタイミングを学習に充てたコンサルティングファームで働いていたもいます。

転職のタイミングでセブ島留学することに決めました

次のキャリアへ向かう準備として、集中的な学習期間を設定したのです。

型3. 細切れの時間を毎日同じ形で使う

通勤時間、昼休み、朝の準備時間。社会人には細切れの時間が毎日ある。その細切れを、余ったときに使うのではなく、毎日同じ時刻に同じ内容で使う型です。毎日決まった時刻に、決まった形式で続けます。

まとまった時間を作ってから始める、という順序が一般的です。ここで紹介する人たちは、逆の順序を取っていました。先に小さな時間を固定し、その中でやることを決めています。

細切れの時間を、働き方のほうに組み込んでしまう例もあります。時間割の中に学習の時間が入っていれば、勉強時間を作ろうと決める手間そのものがなくなります。

あなたはどの型? セルフ診断6問

3つの型の中から、あなたの人生条件に合う形を選ぶ。その判断を助けるために、6つの問いを用意しました。以下で、Yesが多い項目が、あなたに合った形ですが、複数が当てはまる方も多くいます。その場合は、いくつかの型を組み合わせる形になります。

診断Q1: 平日に30分なら、探せば確保できる → 型1(並行)の素質診断Q2: 仕事を長期間離れることは現実的に難しい → 型1(並行)の素質診断Q3: 転職・異動・長期休暇など、生活の区切りが1年以内に来る予定がある → 型2(区切り集中)の素質診断Q4: 短期集中で一気に進めるほうが性に合っている → 型2(区切り集中)の素質診断Q5: 通勤・昼休みなど、毎日決まった細切れ時間がある → 型3(毎日の同じ時刻)の素質診断Q6: これまで「まとまった時間ができたら」と先送りしたことが2回以上ある → 型3(毎日の同じ時刻)の素質

診断の結果から見えるのは、あなたのいまの生活条件です。その条件の下で、どの形が現実的か分かります。

重要なのは、ここでの選択が「永遠の選択」ではないということです。今年は並行型で始めても、来年に転職という区切りが来れば、その区切りに集中投入する形に切り替えることができます。または、複数の型を組み合わせることもできます。

例えば:並行型で週3回1時間の学習を半年続けて基礎を作る。その後、転職の機会が来たら、有給を使ってセブ島留学に1ヶ月投入する。その間に短期集中で次のレベルに上がる。帰国後は再び並行型に戻す。

このように、人生のステージに応じて型を切り替えていく。自分の人生の流れの中で、最適な形を選ぶ。その柔軟性が、社会人の学び直しを続ける鍵になるのです。

では、型が見えたら、次は実例です。仕事を1日も止めずに10週間を走り切った井上さんを追います。

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実録——不動産仲介の井上さんが、仕事を止めずに10週間で変わるまで

井上さんは福岡で不動産の仲介業務を行い、土地を開発して分譲宅地を作ることもあります。仕事の中心は国内のお客様で、英語が必要な場面は長くありませんでした。

ところが、状況が仕事の側から変わります。井上さんは、そのきっかけをこう書いています。

実は昨年くらいから、外国人のクライアントから、日本の中古の戸建てを買いたいというオファーがあり、物件を動かして購入していただいたケースがあって

日本人からすると古くなって買い手がつかない家に見えるが、それが外国の方には魅力的な物件に見えるようです

国内では動かなかった物件が、海外のお客様には価値を持つ。この経験から、海外のお客さまへ自分から接点を作りたいと考えるようになりました。

日本国内だけではなく、海外のお客さまへコンタクトしたいと考えるようになりました

そのときの英語の状態も、本人は率直に語っています。

簡単な英単語を使っての英会話はできますが、もっと英語でコミュニケーションをとるにはスキルが必要だと思ったからです

バックパッカーとして海外を巡った経験もあり、単語での会話はできる。ただ、目指すのはその先でした。

海外のお客さまとお会いした時に、最初はスモールトークから始めたり、会話を弾ませたり。スムーズなコミュニケーションができるようになればいいなと思ったのが今回のセブ島留学のきっかけのひとつです

学び直しの動機が、事業の具体的な場面と直結していたのです。

転機. 毎日1時間の仕事ミーティングと学習の並行

10週間の学習期間を決めて、並行学習に踏み出しました。10週間の学習期間中も、仕事は続きました。

英語の勉強だけではなくて、毎日仕事もしていました。毎日ランチタイムに日本にいる同僚と1時間テレビ電話でミーティングです

学習と仕事の両方が回る形を、最初から作っていたのです。時間割を決め、環境を整える。そうして、仕事を止めずに学び直しの道を歩み始めました。

最初の数日の負荷については、井上さんも率直に書いています。

最初の1週間は大変でした。毎日の睡眠時間は4時間。英語の予習と宿題でいっぱいいっぱいで。たまに英語の予習まで手が回らない時もありましたが、いつの間にかそれにも慣れて、英語の宿題も以前の半分以下の時間で終わらせることができるようになりました。その変化にも驚いています。

本人が書いているのは、最初の1週間は睡眠4時間だったこと、そのあと宿題が以前の半分以下の時間で終わるようになったこと、この2点です。なぜ短くなったのかまでは書かれていません。並行型を選ぶなら、最初の数日がいちばん重い、という前提で予定を組んでおくことになります。

After. 「外国人への壁がなくなった」

10週間の変化は、井上さん自身が鮮烈に感じています。

昔から、どこかで外国人に抵抗を持っている自分がいましたが、毎日外国人と接していると、壁がなくなりました

本人が挙げているのは、毎日接していたら壁がなくなった、という順序です。英語力そのものではなく、接する回数のほうを理由にしています。

仕事の幅も同時に広がりました。

ビジネスに関しても、広がりを感じています

国内では買い手がつかなかった物件に、海外のお客様から引き合いが来ていた、というのが留学前の状況でした。対応できる相手が増えれば、動かせる物件も増えます。

なぜ、井上さんの並行が続き、ここまで成果に繋がったのか。本人の言葉に答えがあります。

仕事をしながら英語学習ができる環境もあります

ここで「環境」という言葉が出てくることが重要です。並行を可能にしたのは、根性でも忍耐力でもなく、先に環境を作っておいたことでした。

具体的には:ネット環境があり(セブ島での学習中も、福岡の仕事のビデオ会議に参加できるインターネット接続)、ランチタイムに固定された1時間が確保でき(フィリピン時間の午前が、日本の仕事のランチタイムと合致する時差の活用)、同僚とのテレビ電話ミーティングという仕事の時間が学習の時間と重なる(仕事の一部として毎日1時間のコミュニケーションがあり、それが習慣になることで、学習も習慣に組み込まれる)。

この3つがそろっていたのが、井上さんの10週間でした。

仕事と並行で学習するときに確認できるのは、この3点です。仕事側の通信環境があるか、毎日同じ時刻に固定できる仕事の時間があるか、その時間が学習の時間割とぶつからないか。

井上さんは並行型でした。次は、まとまった時間が数週間しか取れない方——区切りの集中投入です。

区切りの集中投入——転職・有給・休暇を「準備して」使った記録

次の型を見てみましょう。妻子2人を支える中での、ある決断です。

Nさんは、信託銀行での7年間、その後、空港会社での3年間を過ごし、外資系不動産への転職を決めました。キャリアの転換点が訪れたのです。「仕事と家庭と、子供も2人いますしね」という責任の大きい生活の中での決断でした。

その転職という人生の区切りに、何を投入するか。Nさんはあらかじめ決めていました。

転職での有給を利用して再度2週間程度の留学をしようとは決めていました

「再度」とあるとおり、Nさんは過去にも同じ形式で学習しています。一度やって内容が分かっている形式を、次の区切りでもう一度使った、という選び方です。

家庭と転職が同時に動いている時期に、2週間を先に確保しています。決めた順序は、投入先を決めてから区切りを迎える、という形でした。

その決定の背景にあるのは、社会人の現実に対する強い意識です。

社会人にとって、まとまった休みをとるのは本当に貴重な時間なので、どこが良いか考えました

子ども2人を抱えながら、何週間も休む。その時間を、ただ休息に充てるのではなく、何かに投入する。その投資をするということです。区切りは来ることをあらかじめ知っていて、その時に何をするかを前もって決めておく。そこが並行型との大きな違いです。

2週間の集中学習がもたらした変化は、実例でも明白です。特にリスニング力の伸びが顕著でした。

やはり1日中英語を聞き続けていると耳が慣れて来て、1週間程経つと先生達が何を話しているかは理解出来るようになりましたね

これはNさん1人の例なので、1週間で誰でも同じところに届く、という話ではありません。ただし、1日中英語を聞く環境と、週に数回1時間ずつの環境では、同じ1週間でも聞いている総時間がまったく違います。

負担についても、Nさんは率直に書いています。

2日目あたりは耳が筋肉痛になったような感覚で本当にきつかったですけど(笑)

最初の数日にこの状態が来ることは、投入期間を決めるときに見込んでおいたほうがよい情報です。

Nさんの本音も、その限界を語っています。

本当はもう少し長く1ヶ月位セブ島留学したいところなのですが、仕事と家庭があるため難しいですね

社会人の人生は、自分の意思だけでは動きません。仕事の都合、子どもの学校、配偶者との予定。その中で、2週間という区切りが、現実的に確保できる最大の投入期間だったのです。だからこそ、来る区切りを最大限に活用し、その2週間を完全に学習に充てるという決め方が、体験談に残る方たちに共通しているのです。

短い集中の密度は、事前準備で決まる

短期集中の密度を左右するものとして、Nさんが挙げたのは事前準備でした。

1週間や2週間の留学期間であれば特になのですが、事前にテーマを決めるなど準備をしてきた方が良いと思います。

短い期間ほど、初日から内容に入れるかどうかで使える時間が変わります。テーマ・教材・目標を出発前に決めておく。それがNさんの結論でした。

あなたがやるなら

区切りの集中投入で結果を出している人たちに共通する3つのステップがあります。

ステップ1: 次の区切りを書き出す — 転職、異動、子どもの進学、1年に1度の有給休暇。あなたの人生で1年以内に来る「区切り」を全部書き出す。曖昧ではなく、日付を見つける。

ステップ2: その区切りに何を投入するか決める — 2週間の休みが来たら何をするか、転職の合間に何をするか。来てからではなく、来る前に決める。Nさんはセブ島留学と決めていたから、転職の決断の瞬間から準備が始まった。

ステップ3: 事前準備を済ませておく — テーマを決める、教材を揃える、目標を書く。短い集中の密度は、始まる前の準備で決まる。

Nさんはこの教訓を身をもって学びました。セブ島留学中に「プレゼンテーション」というテーマに決めて、その実践的なスキル習得に時間を費やすという計画を立てていました。ところが、事前に十分な準備をしておかないと、セブ島到着後、講師とテーマ設定の相談、教材の選択、実際のプレゼンシナリオの構築に時間が消費されてしまうのです。結果として「時間の余裕がない状況」に陥り、本来やりたかった集中学習に支障が出る。その失敗経験から、Nさんは「準備してきた方が良い」とあえて強調しているのです。

並行も区切りも使えない週があるのが社会人です。最後は、細切れの時間を「続ける装置」に変えた記録を見ます。

細切れの時間を、毎日同じ時刻・同じ内容で使う

最後の型は、毎日の細切れ時間を、毎日同じ時刻・同じ内容で使う方法です。

多くの方は、スキマ時間を「余りの活用」として考えます。「今日は何か時間が余ったから」という雰囲気で使い、気が向かない日は何もせず、その時々の気分で決めます。ただし、そのやり方では続きません。習慣にはならず、いつの間にか学習は消えてしまいます。

一方、冒頭でご紹介した三井さんは、その逆を書いています。

そうしたスキマ時間に受講できるからこそ、学習を続けることができたと思います

ここで逆転しているのは、「小さな時間だから続いた」という点です。大きな時間を作ってから学習を始めるのではなく、毎日の小さな時間を、同じ時刻に固定する。それが習慣を生みます。

実例を見ると、仕事と学習が完全に同居している人たちが存在します。コワーキングスペースの運営に携わる受講者は、午前にレッスン、昼食をはさんで午後に仕事というシンプルな時間割を自分の働き方に組み込んでしまいました。「午前はレッスン!午後は仕事!」というタイトル自体が、その方の時間の決め方を表しています。午前と午後で役割を分けるという単純な時間割が毎日繰り返されることで、習慣が支えられていきます。特別な意志の強さではなく、迷う余地のない時間割そのものが継続を運んでいきます。

陶芸体験教室で講師兼技術職として働いていた嵩下さんは、さらに複雑な同居を実現しています。

働きながら自分の作品も作り、販売もしていました

仕事と、自分の作品づくりと、学習を同時に進めていました。朝は英語レッスン、昼は仕事、夜は自分の制作活動、というように、3つの活動が毎日のスケジュール内で共存しています。これは、スキマ時間を「余り」として扱うのではなく、各活動にそれぞれの時間があり、それが毎日同じだからこそ成り立つ形です。何時から何時まで何をするか、あらかじめ決まっていると、その時間内で最大限の集中が生まれるのです。

ただし、正直さも必要です。冒頭で紹介した「仕事をしながらの勉強は大変」という声は消えません。社会人の人生には、本当に時間がない日があります。得意先からの急な仕事、子どもの病気、予想外のトラブル。そうした日には、予定していた学習の時間が消えます。

時間を固定しても、忙しさそのものは減りません。減るのは、今日やるかどうかを毎回決める手間です。「今日の30分をどう使おうか」「疲れているから別の日に回そうか」を毎日考えなくてよくなります。時間が決まっていれば、考えるのはその時間で何をするかだけです。

毎日の時間を固定する(3ステップ)

細切れの時間を毎日同じ形で使うには、決めることが3つあります。どれも、始める前に1回決めれば済むものです。

ステップ1: 時間を固定する — 通勤の40分、昼休みの30分、朝の準備時間の20分。毎日、同じ時刻に同じ長さで来る時間を1つ選ぶ。その時間は絶対に動かさない。月曜日から金曜日、毎日同じ時刻に始まり、同じ時刻に終わる。その繰り返しが、脳に学習の時間だと認識させます。

ステップ2: 形式を固定する — その時間では「これだけをやる」と1つに絞る。朝の30分は英語音声アプリだけ、昼休みは動画レッスンだけ、というように。迷う余地をなくします。毎回「今日は何をやろう」と考える必要がなくなるため、心理的な負荷が消えます。迷いが消えると、その時間で最大限の集中が生まれます。

ステップ3: 例外ルールを先に決める — できなかった日はどうするか。「明日に持ち越す」という選択肢があると、習慣は途切れやすくなります。最初から「できなかった日は捨てる。継続の数を数えない」と決めておく。ゼロか継続かの二択にすることで、習慣を保ちます。その日に実行できなかった場合、翌日は新しい日として数え直します。この潔さが、続けるための鍵になります。

最後に、今日から決めることを整理します。

まとめ|やり直しに必要なのは「時間」ではなく「時間の決め方」

「時間ができたら始めよう」という待ちは、社会人の人生では機能しません。 その「時間」は一度も来ないからです。ただし、記録に残る社会人は、仕事を止めていません。仕事を持ったまま、英語のやり直しに踏み出した方たちがいます。

使い方は3つに分かれます。平日30分を確保して仕事と並行させる形、転職や休暇という区切りに集中投入する形、毎日の通勤時間や昼休みを同じ時刻に固定する形。自分の生活条件から見て、どの形が現実的かを診断で選びます。

短い集中の結果は、事前準備で決まります。Nさんは転職の合間に2週間を投入してリスニング力を伸ばしましたが、それは準備があったからです。スキマ時間を同じ時刻に固定することで、毎回の意思決定の負荷が消えて、習慣が生まれます。

冒頭の井上さんの10週間では、毎日仕事と学習を両立させ、最初の1週間は睡眠4時間という状態でした。ですが、脳と体が慣れると、同じ宿題が半分以下の時間で終わるようになりました。10週間を超えると、外国人クライアントへの対応が、不安な課題から、事業拡大の可能性へと変わっていたのです。井上さんは、ただスキルを身につけたのではなく、仕事の選択肢そのものを広げています

今日から、3つのステップで決めてください。

  1. セルフ診断6問で、あなたに合った形(仕事と並行・まとまった時間に集中・毎日の同じ時刻)を選ぶ
  2. 仕事と並行する形か毎日同じ時刻に使う形なら、今週の時間を1つ決める。時刻と内容を書く
  3. まとまった時間に集中する形なら、1年以内に来る転職・休暇・異動の日付と、その日に投入する内容を書き出す

決めたその時間から、始めてください。

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