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ビジネス英語は全部いらない|使う場面を1つ選ぶところから

ビジネス英語

仕事で英語が要ることになった。教材を買って開いてはみたものの、載っている例文は自分の仕事では使わないものばかり。何ができれば「ビジネス英語ができる」ことになるのかも分からないまま、ページだけが進んでいく——そんな経験はないでしょうか。

「ビジネス英語」と検索すると、フレーズ集と勉強法の総論が並びます。ただ、本当に知りたいのは、英語一般をどう伸ばすかではなく、自分の仕事のどの場面が要るのか、ではないでしょうか。

14カ国に支社を持つ企業に勤める小田さんが挙げたのは、社内で予算を取りにいく場面でした。一方、製造業の経理として働く市川さんは、こう話しています。

その為、子会社の経理の方とコミュニケーションをとる為に主にメールでのやり取りですが英語を使うことがあります。

同じ「ビジネス英語」でも、要るものが違います。

いずれも英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトでは200件以上の体験談を本人の言葉のまま公開しています。この記事では英語を使う場面を5つに分け、それぞれ何が起きているかと、どこから手をつけるかをお伝えします。

使う場面は、人によって違う

まず、ビジネス英語が実際に何に使われているかを見ます。イングリッシュベル英会話(アイキューブ)の「仕事の実務に活きる英語学習方法に関する調査」(n=330、2025年11月)によると、英語を使う業務歴3年以上のビジネスパーソンが仕事で英語を使う頻度がいちばん高い場面は、次の順でした。

順位場面割合
1位メールやチャットでの連携21.5%
2位英語資料の作成・読解20.3%
3位対面やWebでの会議17.3%

注目したいのは順位ではなく、1位でも21.5%しかないという点です。突出して多い場面がありません。「ビジネス英語」と呼ばれているものの中身は、人によってばらばらです。

同じ「仕事の実務に活きる英語学習方法に関する調査」では、3年前と比べて英語の重要度が「上がった」と答えた方が55.1%。使う頻度が増えた場面の1位は「英語資料の作成・読解」で34.6%でした。要る量は増えているということです。

その一方で、同調査で最大の課題に挙がったのは「学習時間の確保」で28.5%でした。時間は足りないのに、使う場面はばらばらで、要る量は増えている。 この3つが同時に起きているので、全部を均等にやると届きません。

同調査で重要なスキルとして挙がった上位2つも、「ビジネスレポート・資料の理解」26.7%、「相手の意図・ニュアンスの把握」26.4%と分かれています。片方は読む力、もう片方はその場で汲み取る力で、練習の仕方が違うものです。ここでも1つに絞られていません。

なお、スキルアップ研究所(学研グループ)の「【2025年版】ビジネス英語に関する実態調査」(n=500、2025年5月)によると、ビジネス英語を学んだ経験がない方が90.4%でした。ほとんどの人が、手をつけないままここにいます。

つまり、最初にやることは勉強ではありません。自分がどの場面で使っているかを決めることです。場面が決まれば、覚える言葉も練習の形も決まります。逆に場面が決まらないうちは、何を覚えても本番で出てくるかどうかが分かりません。

ビジネス英語と日常英語は、3つの点で違う

ビジネス英語というと、難しい単語や決まった言い回しを覚えることだと思われがちです。実際に違うのは、単語の難しさではありません。

① 相手を選べません。 日常会話なら、話しやすい相手とだけ話すこともできます。仕事では、相手も話す速さも決まっていません。

メーカーからインド駐在を経験したは、帰国後にこう感じたと話しています。

その後日本に戻ってイギリスやスウェーデンの会社と電話会議をした際、ネイティブの方が言っている事が全然理解出来ず、ネイティブの方を相手にすると引け目を感じていました。

インドでは英語で仕事ができていました。相手が変わっただけで、同じ英語力が通用しなくなっています。

② 間違いのコストが違います。 例えば、数字や納期を聞き間違えれば、そのまま作業が動きます。日常会話なら聞き返せば済むところが、仕事では相手の時間を取るぶん、聞き返すこと自体に気をつかう場面もあります。

厄介なのは、伝わらなかったことにその場で気づけない点です。相手が「分かりました」と言って会議が終わり、あとで認識が違っていたと分かるため、間違いが表に出るまでに時間差があります。

③ その場で反応が要ります。 用意した答えを言うだけでは終わりません。質問が返ってきて、そこから話が続きます。

例えば、プレゼンなら原稿を用意できます。ところが質疑応答は、何を聞かれるかが分かりません。準備できる部分と、できない部分が同じ場面の中に混ざっています。 この違いは、あとで場面を分けるときの基準になります。

この3つは、単語を増やしても埋まりません。「全部できるようになる」を目標にすると、終わりが来ません。

範囲を決めないまま続けると、伸びている実感も出にくくなります。この方は、その時期の感じ方をこう振り返っています。

最初はどうしても結び付けられる英語の知識が少なく、なかなか伸びている実感がわかないですが、それを乗りこえると結び付けられる知識も増えてどんどん加速していきました。

では、自分に要るのはどこか。ここから分けていきます。

使う場面は5つに分かれる

さきほどの調査は3つの場面で聞いていましたが、実際の仕事はもう少し細かく分かれます。ここでは5つに整理します。まず自分がどれかを決めて、そこから始めます。

場面起きていること最初にやること
① 会議聞き取れない・入れない・通じないどれで詰まるかを分ける
② 商談・交渉言えるが、言い方の幅がない同じ内容を3つの強さで言う
③ プレゼン・発表準備はできるが、質疑で崩れる想定質問を3つに絞る
④ メール・文書時間はかけられる。型がないよく出す文面の型を作る
⑤ 雑談・関係づくり用件は済むが、その前後が続かない話題を2つ用意する

IT業界でデジタルマーケティングを担当していたの職場は、会議そのものが英語でした。

全社会議では、英語しか喋れないメンバーが海外のオフィスにいたのと、日本人の社員も大抵英語を喋れたので英語が使われていました。

一方、旅行会社で海外企業の会議やイベントの手配を担当するは、やりとりの中心がメールです。

日本、海外の企業の会議やイベントに際して発生する旅行の手配など、諸々のお手伝いをしています。

同じ会社員でも、要る場面はここまで違います。 全部を均等に準備すると、どれも中途半端になります。

もうひとつ、場面は固定ではありません。小田さんは働き方が変わったときに、使う場面ごと入れ替わったと話しています。

以前は通学がほとんどだったのですが、今年の2月から完全リモートワークになったので自宅で受講したかったのと、仕事のコミュニケーションも全てオンラインに変わったこともあり、オンラインレッスンに切り替えました。

対面の会議がオンラインに変われば、要る力も変わります。 小林さんの場合は、異動がきっかけでした。

20年位前に1年間アメリカに仕事で住んでいたことがあったので、日常英会話はなんとなく出来るようになった気がしましたけど、数年前に今の部署に異動になって。

日常会話は困っていませんでした。それでも部署が変われば、要る英語が変わります。半年前の自分ではなく、いまの1ヶ月で判断します。いちばん多いのは会議なので、まずここから見ます。

その場で反応する場面|会議・商談・雑談

先に、その場で反応が要る場面から見ます。準備した答えをそのまま出せないぶん、詰まる場所がはっきり出ます。

会議で詰まる場所は3つある

会議が苦手、とひとことで言っても、詰まっている場所は分かれます。聞き取れないのか、聞き取れているが入れないのか、話しても通じないのか。 この3つは対処が違います。

例えば、聞き取れないなら音の側の問題です。入れないなら、割り込む言い方を持っていないだけのことがあります。通じないなら、発音か、話す順番の問題です。

海外拠点をサポートする部署で働くは、画面越しの会議を苦手にしていました。授業でTV会議のロールプレイを繰り返した結果、こう話しています。

苦手だった画面越しのTV会議も、今は仕事に戻ってからも何とかなるかなと思っています。

練習したのは英語一般ではなく、TV会議という場面そのものです。

小田さんの場合、会議は情報共有の場ではありませんでした。

現在の職場では14カ国の場所に支社があり、オンラインミーティングとかをするのですが、基本的に皆自国に投資して欲しいというアピールをして、リソースとかバジェットを引っ張ってこないといけないので、そういった場での交渉力やアピール力を身に付けたいです。

14カ国が同じ予算を取り合う場です。 聞き取れるだけでは足りず、自分の主張を通す言い方が要ります。会議に出るのが目的ではなく、その場で決まる配分を動かすことが目的だからです。同じ「会議」でも、必要なものはここまで変わります。

商談・交渉は、言えるだけでは足りない

商談や交渉になると、言いたいことが言えるだけでは足りなくなります。同じ内容を、強さを変えて言える必要があります。

海外プロジェクトで現地に毎月通う小林さんは、リスニングと短い返答はできるようになったうえで、次の課題をこう挙げています。

現地でそれなりの役職の方と話すことや、交渉の場面で意見を言うとなると表現に気をつけなきゃいけないので、婉曲表現とかニュアンスみたいなものを今後は身に付けたいと思っています。

例えば「それはできません」しか持っていないと、条件を詰める場面で選択肢がありません。断る・保留する・条件をつける。この3つを別々の言い方で持っておくと、その場で選べます。

海外戦略チームで働くYさんのように、日常的に英語を使う立場でも同じです。

現在、海外戦略チームに入っているので、英語を使う機会はたくさんあります。

使う量が多いことと、言い方の幅があることは別です。 量が増えても、同じ言い方を繰り返していれば幅は増えません。

幅があると、自分が言うためだけでなく、相手から引き出すこともできます。製造業の経理として働く市川さんは、レッスンで学んだ表現の効果をこう話しています。

レッスン内で学ぶビジネス英語のおかげで、仕事で英語を使う際も丁寧な英語表現を使うことができたり、相手の意図がわからなかった時に相手の言いたいポイントを引き出せるような英語フレーズを使うことができているので、かなり助かっています。

自分が言うためだけでなく、相手に言わせるための言い方です。交渉では、相手の条件を先に出させたい場面があります。

準備できる場面|プレゼンとメール

会議や商談と違って、プレゼンとメールは事前に用意できます。その場の反応力ではなく、型を持っているかで決まります。

会計・人事給与のソフトウェア会社でプロダクト責任者を務める山田さんは、テーマを問わず英語で発表してきたと話しています。

内容は様々で、例えば、自社製品のプレゼンテーション・日本と中国のITの違い・会社決算や予算、組織の説明・日本の食べ物/お酒のお勧め・新型iPhoneについて・ポケモンGOが何故話題か?等色々なテーマでプレゼンをしてきました。

製品説明から食べ物の話まで並んでいます。テーマが変わっても、構成の型は共通です。 型を1つ持っていれば、中身を差し替えて使えます。

山田さんが挙げているのは、テーマの幅ではなく、練習の仕方そのものです。

当然、単語・文法など数えきれないダメ出しを頂きましたが(笑)ただ、とにかく最後まで自分で作った資料を、自分の意思と言葉で伝えることは非常に良いレッスンになります。

教材ではなく、自分が本番で使う資料で練習しています。 テーマが自分の仕事なら、覚える言葉も本番で使うものになります。

型がある前提で、小田さんはその先の課題を挙げています。

よく海外の方が使っている様なビックワードといいますか、大きなビジョンを語る様な表現を上手くプレゼンで伝えられたりとかできたらいいですね。

メールも、時間をかけられる点は同じです。市川さんの職場では、海外子会社の経理とのやりとりが日常です。例えば、依頼・確認・催促の3つは繰り返し出てきます。毎回ゼロから書かず、自分の文面を3つ用意しておくと、書く時間が短くなります。

旅行会社の方は、メールの書き方そのものが変わったと話しています。

主に仕事では英語のEmailを使うことが多いのですが、Emailも昔は意味もなく長い文章を書いていたのですが、今は「この文いらないな」とシンプルにできるようになりました。

増えたのではなく、削れるようになっています。 書く量が増えると読み手の負担も増えるので、メールでは短く書けることがそのまま成果になります。

雑談は、用件の前後にある

用件だけなら済むのに、その前後が続かない。この場面は見落とされがちです。

山田さんは、仕事の外での機会を意識して取りにいっています。

ビジネス以外にも夜の会食や、休日にお客様のホームパーティーにご招待頂くなど、英語でのコミュニケーションの機会は積極的に取り入るように心がけています。

例えば、自分の仕事を1分で説明する言い方と、相手に聞く質問を2つ用意しておくだけでも、沈黙の時間は変わります。話題を増やすより、決まった2つを繰り返し使えるほうが先です。

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場面が複数あるとき、どれから手をつけるか

ここまで5つを見てきましたが、複数に当てはまる方も多いはずです。その場合は、頻度ではなく「困った回数」で選びます。

頻度が高くても回っている場面は、後回しで構いません。逆に月1回でも毎回つらい場面があるなら、そこが先です。

外資系でビジネスコンサルティングに携わっていたは、自分の場面を絞ってから学び方を決めています。

私の場合は、グローバルチームとの会議運営やビジネス状況のレポーティングや最新事例共有が主なシーンなのでそれに特化した会議やメール報告のレッスンを多く取り入れました。

英語一般ではなく、自分の業務にある場面を名指ししています。 会議運営、レポーティング、事例共有。ここまで具体化すると、練習する内容が決まります。

決め方は3つの手順です。

  1. 直近1ヶ月で英語を使った場面を書き出す。 カレンダーとメールの送信箱を見れば10分で出ます。思い出せない場面は、優先度が低い場面です
  2. そのうち「困った」と感じた場面に印をつける。 回数ではなく、困った度合いで見ます。終わったあとに「言えなかった」と思い返した場面が該当します
  3. 印がいちばん多い場面を1つだけ選ぶ。 2つ以上選ばないことが条件です。2つ選ぶと、どちらも中途半端に終わります

書き出してみると、思っていたより場面が少ないことがほとんどです。「英語を使う仕事」と感じていても、実際に困っているのは月に数回の特定の場面だけということがあります。その数回のために、英語全体をやり直す必要はありません。

Yさんは、目標そのものを場面の形で持っていました。

なので、そのあたりをもう少し向上させて、後々英語を使った商談も1人でできるようになりたいなと思います。

「英語ができるようになりたい」ではなく「商談を1人でできるようになりたい」です。 目標を場面で書くと、できたかどうかも判定できます。

場面を1つ選べたら、そこから練習を始めます。

まとめ|ビジネス英語は、場面を1つ選ぶところから

ビジネス英語が終わらないのは、範囲を決めていないからです。会議・商談・プレゼン・メール・雑談のどれもが「ビジネス英語」に入りますが、自分が実際に困っている場面は、たいてい1つか2つです。

10人の受講者の話を見ても、要るものはそれぞれ違いました。14カ国の会議で予算を取りにいく方と、子会社の経理とメールでやりとりする方が、同じ準備をする必要はありません。

直近1ヶ月で困った場面を1つ選ぶ。まずそこだけを練習の対象にする。 全部を同時に進めるより、そのほうが早く変わります。

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