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英語で緊張するのは当たり前|緊張を消さずに話せるようになった人たちの記録

スピーキング

英語で話す順番が近づくと、心拍が上がる。頭の中で組み立てておいた文が、口を開く直前に消える。なんとか乗り切った後は、どっと疲れている——英語の緊張は気持ちの問題のようでいて、実際には体に出ます。だからこそ、やっかいなのです。

検索すると「リラックスしましょう」「間違いを恐れないで」と出てきます。その通りにできたら、苦労はしていません。緊張は意識で消せないから困っているのです。だから、精神論より一歩踏み込んだ答えが必要です。

この緊張は、英語を使い慣れているはずの人にも起きます。たとえば、メーカー勤務で入社4年目にインドへ異動し、現地では英語で仕事をしていたメーカー勤務の方でも、帰国後にイギリスやスウェーデンの会社と電話会議をしたときは「ネイティブの方が言っている内容が全然理解出来ず、相手にすると引け目を感じていました」と振り返っています。海外で英語を使って働いていた社会人でさえ、相手が変われば緊張は戻ってくるのです。

この記事に登場するのは、いずれも英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、緊張と付き合いながら変わっていった人の記録が残っています。この記事では、緊張の正体を2つに分解し、緊張をなくすのではなく「緊張したままでも話せるようになる」やり方を、実際の記録からお見せします。

英語で緊張するのは、あなただけではない

まず、英語の緊張がどれだけ普通のことなのかを、調査の数字と実際の記録で確かめます。ここが変わると、この後の対策の受け止め方も変わります。

10人中8人が緊張している

どれくらいの人が同じ思いをしているのか、それを示す調査があります。株式会社イーオンが2025年7月に実施した「英会話」に関する意識調査(全国16〜69歳の男女1,000名対象)では、英語で話すとき「緊張や不安を感じる」と答えた人が81.1%にのぼりました。

10人いれば8人が緊張している ——英語で緊張するのは、あなたの欠陥ではなく、ごく普通のことなのです。だとすれば、8割が緊張する中で「緊張しない自分」を目指すのは、現実的な目標ではありません

留学初日の記録にも、同じことが表れています。ある留学生の方は「最初は緊張しました」と振り返っています。先生と2人きりで、先生の英語をすべて自分ひとりで受け止める状況です。初日はとても疲れた、とも語っています。初日は誰でも緊張して、誰でも疲れます。そこは通過点であって、実力を見定める場ではありません。

「程よい緊張」という実在の言葉

もう1つ、「緊張は悪いもの」という思い込みをほどいてくれる言葉があります。冒頭のメーカー勤務の方は、留学中の英語プレゼンテーションについて「程よく緊張もできて」と語っています。緊張を、避けるものではなく集中の材料にできている人がいるのです。

スポーツの世界で適度な緊張がパフォーマンスを上げるのと同じで、緊張は本来、身体が本番に向けて準備している合図です。問題は緊張そのものではなく、緊張が「話せない理由」になってしまっている状態の方です。この記事で変えていくのは、そちらです。目指すゴールを先に言っておきます。緊張しないこと、ではありません。緊張したまま話せること、です。

では、その緊張はどこから来るのか。正体を分解すると、対策が見えてきます。

緊張の正体は2つ——「不透明さ」と「失敗の記憶」

この章では、緊張を「性格」ではなく仕組みとして分解します。正体は2つ——自分の英語が通じるか見えない「不透明さ」と、前に失敗したときの記憶です。

正体1. 不透明さ|自分の英語が通じるか、分からない

人が強く緊張するのは、結果が読めないときです。自分の発音は通じるのか。相手の返事を聞き取れるのか。見通しがまったく立たないまま本番に立つから、身体が警戒態勢に入ります。

外資系企業で働く中津さんの記録が、この状態を正確に描いています。「『私の発音合っているかな』『この英語伝わっているかな』と意識が自分の発音に引っ張られてしまい、会議に集中できませんでした」。通じるかどうか分からない不安が頭の中を占領して、会議の中身に使うべき集中力が削られる。うまく話せないから、また不安になる——見えないことが、緊張が緊張を生む悪循環を作るのです。

正体2. 失敗の記憶|前の失敗が忘れられない

公務員のN.Fさんは、大学時代のイギリス留学で、イギリス人から面と向かって「LとRの発音がわからない」と指摘された経験を「今でもしっかり覚えている」と語っています。強い失敗体験は年単位で残り、似た場面が来るたびに身体を固くします。

ここで大事なのは、緊張しやすい人は性格が弱いのではなく、失敗の記憶が具体的なだけだということです。記憶が鮮明な人ほど、似た場面で身体が正確に反応してしまう。それは裏を返せば、経験から学ぶ力の強さでもあります。

2つの正体を並べると、共通点が見えます。どちらも「情報」の問題です。通じるかどうかが見えない(不透明さ)。過去の記憶が新しい記憶で上書きされていない(失敗の記憶)。性格の問題ではないから、性格を変える必要はありません。「見えるようにする」「上書きする」という具体的な手で対処できます。

セルフ診断——あなたの緊張はどちらのタイプか

自分の緊張がどちらから来ているのか、6つの質問で確かめてください。Yesが多くついた方が、あなたの対策の起点です。

タイプ質問
不透明自分の発音が相手にどう聞こえているか、確かめたことがない
不透明会話の前に「聞き取れなかったらどうしよう」が先に立つ
不透明初めての相手・場面ほど緊張が強くなる
記憶英語で恥をかいた・指摘された具体的な場面を覚えている
記憶その場面と似た状況になると、身体が固くなるのが分かる
記憶頭では「間違えてもいい」と分かっているのに、身体が言うことを聞かない

タイプが見えたら、対策です。どちらのタイプにも効く順番で並べます。

対策1. 準備|緊張の隙間を、決まり文句で埋める

ここからは対策です。1つ目は、本番の最初の30秒を考えなくても出る状態にしておく「準備」です。

実録——「完璧」の基準を下げた人たち

緊張しても話せるようになった人たちの記録には、共通する準備があります。挨拶、自己紹介、そして聞き返しの決まり文句。ホテルで働くKさんの「ちゃんとした文章でなくても、とりあえず自分の言葉で伝えようという意識に変化しています」も、広い意味での準備です。完璧な文で話すという基準を下げた瞬間、本番へのハードルも下がります。

なぜ効くのか——緊張は出だしが最大だから

緊張のピークは、話し始める直前です。会話が数往復して回り始めると、身体は勝手に落ち着いていきます。だから最初の30秒を「自動運転」にしておけば、緊張の山を越えるところまでは準備が運んでくれて、その先は落ち着いた自分に任せられるのです。

もう1つの効き目は、正体1の不透明さへの保険です。聞き返しの決まり文句を口癖レベルで持っていると、「聞き取れなかったらどうしよう」という警戒そのものが減ります。聞き取れなくても、聞き返す手段があると分かっているからです。

あなたがやるなら

  1. 自分の場面の「最初の30秒」——挨拶、自己紹介、最初の一言——を書き出して、声に出して10回読んでください。黙読では出だしの自動運転は作れません
  2. 聞き返しのフレーズを2つ決めて、日本語の「え、なんですか?」と同じ速さで出るまで練習してください。これが不透明さへの保険になります
  3. 本番の直前には、新しいことを覚えないでください。直前の詰め込みは不安を増やすだけです。準備済みの30秒だけを確認して臨む——それが一番緊張が少ない直前の過ごし方です

準備は、直前の対策です。緊張の根本を変えるには、もう1つ——場数の積み方が重要になります。

対策2. 場数|緊張が薄れる環境を選ぶ

対策の2つ目は場数です。ただし、どんな場数でもいいわけではありません。実際に緊張が薄れた3人が、どんな環境を選んでいたかを見ていきます。

実録——場数で変わった3人

1つ目は、同じ相手との反復です。ある留学生の方は「最初は緊張していましたが、ずっと顔を合わしている間に親しくなれて、マンツーマンもそんなに緊張しなくなりました」と語っています。相手が変わらなければ、緊張する理由が1つ減ります。

2つ目は、失敗しても大丈夫な空気です。製造業の経理として働く市川さんは「英会話を始める前ってどうしても緊張してしまうと思うのですが、先生が冗談を言うことで気持ちをリラックスさせたり授業を楽しませてくれるので」と、環境の側が緊張を下げてくれた経験を語っています。

3つ目は、あえての小さい挑戦です。メーカー勤務の方は、留学中に隔週で行われる英語プレゼンテーションに3回挑戦しました。もともと人前で話すのは苦手で、1回目は緊張でセリフが飛び、声のトーンまで変わってしまったと本人が笑いながら振り返っています。1回目だけを見れば失敗です。それでも回を重ねて、同じ場を「程よく緊張もできて」と語れるところまで来ました。会場がイベント感のある柔らかい雰囲気だったことも、挑戦を続けられた条件の1つです。

なぜ効くのか——場数の本質は「上書き」

場数の本質は、回数ではありません。失敗の記憶を、「大丈夫だった」という記憶で上書きすることです。正体2で見た通り、緊張の一因は過去の具体的な記憶です。記憶は消せませんが、新しい記憶で上書きはできます。

だから環境の条件が効くのです。同じ相手なら、上書きの成功率が上がる。笑える場なら、失敗がそもそも失敗として記録されない。小さい挑戦なら、1回目に失敗しても2回目3回目で上書きが完了する。セリフが飛んだ1回目の後に2回目をやめていたら、記憶には「人前でセリフが飛んだ」だけが残っていたはずです。3回やる前提だったから、上書きまで届きました。

あなたがやるなら

  1. 場数の最初は、相手を固定してください。毎回違う相手は、緊張の練習としては上級者向けです
  2. 失敗しても笑える場を選んでください。空気の硬い場での場数は、上書きではなく失敗の記憶の積み増しになる危険があります
  3. 月に1つ、少しだけ大きい挑戦を足してください。ただし3回やる前提で。1回目の失敗は織り込み済みです

準備と場数の積み方で、実際にどこまで変わるのか。最後に記録を並べます。

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緊張したまま、変わった人の記録

メーカー勤務の方の記録を、あらためて通して見てください。ネイティブとの電話会議で引け目を感じていた人が、人前のプレゼンに3回挑戦して、こうなりました。

「元々人前で話すのは全然ダメで、3回やったうちの1回目は凄く緊張でセリフも飛ぶし、声のトーンもちょっと違いました(笑)」

セリフが飛んだ経験を、この方は笑いながら話しています。そして同じプレゼンの場を「程よく緊張もできて」と振り返っている——失敗の記憶が、挑戦の記憶に上書きされた状態です。

クリエイティブディレクターの方は、「英語が話せなくてもどかしい思いをした」ところから学習を始めて、いまはこう語ります。「だいぶ減りました。簡単な日常英会話なら、抵抗が全くなくなったと言っても過言ではないかなと感じてます。」

そして中津さん。発音の不安で会議に集中できなかった人が、発音の課題を特定して訓練した後、「発音を気にしながら会議に出席することもなくなりました」——正体1の不透明さが消えると、緊張に取られていた集中力が、仕事の中身に戻ってきます。

3人に共通することが1つあります。誰も「緊張しない性格」になったわけではない、ということです。通じた実感と、大丈夫だった記憶が積み上がって、緊張が「話せない理由」ではなくなった。それだけで、仕事も会話も変わっています。

もう1つ、3人の記録から言えることがあります。変化にかかった期間は、どれも「性格を変える」ような年単位の話ではありません。プレゼン3回は6週間の留学の中の出来事で、中津さんの発音の課題解決も集中的な訓練の期間で起きています。緊張の上書きは、やり方さえ合っていれば数週間〜数ヶ月の単位で進むのです。なお、緊張とよく似た「恥ずかしさ」には別の仕組みがあります。そちらは英語が恥ずかしい人の記事で5つの原因に分解しています。

最後に、診断タイプ別の第一歩を整理します。

まとめ——緊張は消さなくていい。話せない理由から外すだけ

10人中8人が緊張しているのだから、緊張はあなたの欠陥ではなく、誰もが持っているものです。消そうとしなくて構いません。話せない理由から外す——それだけで十分です。

  1. 不透明タイプの方 —— 自分の英語が通じるかを、まず測ってください。発音診断でも、音声入力に話しかけるでも構いません。「得体の知れない不安」が「この音を練習すればいい」に変わった瞬間、警戒は解け始めます
  2. 記憶タイプの方 —— 「最初の30秒の台本」と「同じ相手での場数」で、大丈夫だった記憶を積んでください。古い記憶は消えませんが、上書きはできます
  3. どちらか分からない方 —— 今日、自分の場面の最初の30秒を書いて、10回音読してください。どちらのタイプにも効く、一番小さい第一歩です

セリフが飛んだ1回目の後に、「程よく緊張もできて」と笑える3回目があります。緊張は、消してから話すものではなく、連れて行くものです。

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