40代の英語が続かない原因|記憶力ではなく、継続の設計だった
若い頃より記憶力が低下した気がする。仕事はますます忙しく、責任の重さも増していく。そんな中、会議のときに英語が交じり始め、メールも英語で返信を求められるようになる。「そろそろ本気でやらないと」と思っては、数ヶ月で日常に追われて止まる。40代の英語学習は、この繰り返しになりやすい。
「40代 英語」で検索してみると、「記憶力の低下を補う勉強法」や「40代向けのおすすめ教材」という記事が並びます。でも、本当に記憶力が問題なのでしょうか。正直に考えれば、20代の頃だって、買った単語帳は途中で止まっていたはず。何か、別の原因があるのではないか。
実際に、40代で英語をやり直して仕事の景色を変えた人がいます。旅行会社に勤める佐々木さんは、海外の顧客が増え、英語のメールと電話が日常的に入り込むようになり、学び直しを決断しました。今は「聞き返す事がなくなってきた」と言うまでになっています。何を選び、どう続けたのか。その具体的な経験は、本人の言葉のまま残されています。
佐々木さんは、英語コーチングスクール・ミライズの受講者です。公式サイトには200件以上の体験談が本人の言葉のまま公開されており、その中には40代で学び直した人の声も数多く残っています。この記事では、その声から「40代の英語は何を変えれば続くのか」を整理していきます。
40代の英語が続かないのは、記憶力ではなく「必要の波」のせい
40代で英語が続かない理由を、記憶力のせいにしている人は多いものです。ですが挫折の背景にあるのは、加齢ではありません。
もっと単純なことです。それが「必要の波」です。仕事も生活も、英語を使う必要が来ては引いていきます。
「伝える自信がない」は40代だけではない——数字の実態
「英語で話しかけられたら対応できるか」という問いに、多くの人が自信がないと答えます。スピークジャパン合同会社が2025年3月に実施した「日本人の英会話ポテンシャル実態調査」(英会話に関心がある20〜50代の日本人400名・訪日外国人130名)によると、外国人に話しかけられて対応を断った人の理由の76.5%が「英語で伝える自信がない」でした。
この数字が示すのは、自信のなさが40代固有の悩みではないということです。20代から50代まで広く共通しています。数字はさらに続きます。英語で伝える自信が「ある」と答えた日本人全体は7.7%(2.4%の「非常に自信がある」と5.3%の「自信がある」を合わせた数字)に過ぎません。
つまり、「英語に自信がない自分」は40代になったから生まれたのではなく、20代の頃から日本人の標準的な状態のまま持ち越されてきただけです。だとすれば、「40代だから覚えられない」という説明は、これまで続かなかった理由としても、これから始められない理由としても成り立ちません。続かなかった原因は、記憶力の外側にあります。受講者の言葉を見ると、その原因がはっきり出てきます。
必要の波——増えるとき、引くとき
元航空会社勤務の林さん(40代)の言葉に、その典型があります。
航空会社では海外担当の部門で長く働いていたんですけど、ある時国内部門に異動して英語を使う機会が減って、英語スキルが落ちていってる危機感を感じていました
海外担当の時期には日々あった英語との接点が、異動ひとつで消えました。
部門の異動は他人事ではありません。例えば、営業職が企画部へ、企画部が管理部へ。40代では珍しくない動きです。
担当が変わった瞬間に消えるのは、英語を使う「必要」と、学習を支えていた土台です。海外クライアント対応からオンショア業務へ移れば、英語との接点も急速に減ります。
この期間、多くの人は学習を続けようとします。ですが時間が経つにつれ、学習そのものが習慣から外れていきます。
大江さんは、本人の言葉で「ミドルエイジ(40代前後)」の頃、仕事でタイ、シンガポール、中国、カナダ、アメリカに行く機会がありました。その海外の仕事を機にECCやNOVAなどの語学学校に通い、こう振り返っています。
TOEICも620点をとり、目標の700点超を目指していました
出張という「必要」があったその時期、英語学習は生活の一部として確かに回っていました。
しかし波は引きます。大江さんは、こう述べています。
その後仕事で海外に行く機会がなくなり、結果15年以上も英語に触れることはほとんどありませんでした
40代前後で高まった波が引いたあと、英語に触れない期間が15年以上続く——必要が消えただけで、学習も一緒に流されます。TOEIC620点という実績があっても、波が引けば積み上げごと消えます。
15年のブランクはこうして生まれる
この15年という数字は、決して特別な例ではありません。もっと短い周期で、始めてはやめる循環を繰り返す人もいます。40代の英語で警戒すべきは、記憶力の低下ではなく、この循環に今回も入ってしまうことです。
ブライダル司会をする瀬尾さんは、こう語っています。
実は小さい頃から今まで何年も、英会話スクールに通ってはやめて、を繰り返していました
その理由も、本人が素直に言い当てています。
自分が置かれている環境にすぐ甘えてしまって、英語から離れていくということがたくさんありました
話す仕事をしていて英語も好きなのに、環境が要求しなければ離れていく。好きかどうかは、波の前では決め手になりません。
これは意志の弱さの話ではありません。仕事に余裕のある時期は英会話スクールに通えますが、繁忙期が来たり、仕事の内容が変わったり、家庭の予定が重なったりすれば、その習慣は一瞬で消えます。「必要」がない環境では、続けるハードルが急に上がるからです。40代は仕事の責任も家庭の変化も最も重なる年代ですから、波の振れ幅はむしろ20代より大きくなります。だからこそ、波が来ている今のうちに「波が引いても残る形」を作れるかが、今回の分かれ目になります。
波に流されないためには、何を最初に決めればいいのか。次章で見ていきます。
40代がやり直しの最初に決めること——「自分の場面」と「続く形」
波に流されない要点は、「場面」と「続く形」を最初に決めることです。
40代の英語は趣味ではなく、仕事から要求が来るもの。長く続くかどうかは、費用・時間・学習環境を先に設計できるかで決まります。
きっかけは仕事からやってくる
40代で英語を始める「きっかけ」の多くは、仕事の変化から起きています。
旅行会社で働く佐々木さんは、こう述べています。
仕事で英語を使う機会が増えたからです。昔に比べて海外の顧客も増えてきていますので、担当の方とは英語でメールのやり取りしなければいけなかったり、ごくごく稀に英語で電話がかかってきたりもします
仕事の環境が変わり、英語が日々の業務に混ざり始めた。それが学習を始める理由になりました。
アパレルで働くJ.Eさんも、同じように仕事の場面から必要性を感じています。外国人のお客さんへの対応について、こう述べています。
シンプルな英単語でなんとかやりとりしてました。もう少し英語でコミュニケーションが取れた方がお客さんにとっても楽しいんじゃないかと思ってましたね
40代の英語は、趣味や一般教養からではなく、仕事の現場が出す課題から始まります。つまり「何のために」の答えが、すでに手元にあります。
先に「続く形」を決めた人が残る
しかし、「理由がある」ことと「続く」ことは別の問題です。続いた人は何を違えたのか。
IT系ベンチャーで働く辻さんは、大手の英会話スクールに2年通った経験から、こう結論しました。
レッスンの質やサービスが良い反面、レッスン料金が非常に高いので、1日中そこにいて1日中先生と喋っていないと割に合わないのではないかという結論に至りました
その上で、学習を続ける上での重要性を述べています。
費用対効果が高いと長期間続けることができるので、その結果、継続的に英語を勉強できるのではないかと思います
つまり、必要があっても、「その続き方でいいのか」を先に問う必要があるということです。月々の負担が重すぎないか、通える場所か、生活に組み込める時間帯か——40代が挫折する時期は、必要の波が引いた時です。その時に残るのは、続ける条件を先に整えた人です。
もう一つの判断軸が、学習環境です。佐々木さんが選んだスクールの決め手は「社会人や年齢層の高い人が生徒として多いことが安心で、それが決め手でした」ということです。40代が続く場所は、同世代の職業人がいる環境です。そこで初めて「自分も続けられるかもしれない」と思えます。
セルフ診断——あなたの英語が要る場面はどれか
40代の英語は、「何のために」がすでに決まっています。その場面をはっきりさせることが、学習の土台になります。
次の6つのうち、当てはまるものを選んでください。選んだ場面が、そのまま学習のゴールになります。
診断Q1: 海外の取引先・顧客とのメールや電話に、待たせず返せるようになりたい
診断Q2: 会議やオンラインミーティングで、聞き取って一言でも発言したい
診断Q3: 店頭・現場での外国人のお客さん対応を、単語の羅列から会話にしたい
診断Q4: 部下や後輩に任せず、自分の言葉で海外とやり取りしたい
診断Q5: 昇進・転職・再就職の要件(TOEIC・面接)に備えたい
診断Q6: 場面は決まっていないが、「そろそろ本気で」を今回こそ形にしたい
選んだ場面ごとに、教材が決まる
Q1・Q2なら、実務の文面と議題がそのまま教材になります。佐々木さんは英文メールを書く仕事だったので、ライティングが得意な講師のレッスンを選びました。届いた実際のメール、次の会議の議題を持ち込めば、覚えたその週に使う場面が来ます。
Q3なら、接客の場面を想定して繰り返します。J.Eさんは「接客中の英語を使ったやりとり」を時間をかけて練習し、それが仕事中にぱっと浮かぶようになりました。
Q4・Q5なら、成果物を教材にします。林さんは英文レジュメの添削をレッスンの軸にしています。昇進・転職の要件があるなら、提出するものそのものを持ち込むのが早道です。
Q6なら、仕事の中でいちばん英語が必要になる場面を1つだけ決めます。そこから逆算すれば、教材も練習相手も決まります。
場面と形が決まったら、次は実例です。週末だけのマイペース学習で、仕事の英語が変わった40代を見てください。
実録——旅行代理店の佐々木さんが、「聞き返さなくなる」まで
この章では、40代が週末だけで英語を続けた場合、どんな変化が起きるのかを、実例で見ます。佐々木さんが示しているのは、意志の強さではなく生活の導線に学習を埋め込むことの効きめです。
始まり——留学、そして英語の仕事が増えるまで
佐々木さんは、2015年にフィリピン留学を経験しました。帰国後しばらくは英語の案件がない時期が続きましたが、本人いわく「その時はまだ英語の案件がない時だったので、渋谷校の旧校舎で何度かトライアルとしてレッスンだけ受けさせて頂いていました」。接点だけは細く残していました。
転機はその後です。
去年・一昨年くらいから英語のお仕事が増えてきたので英会話スクールに通おうかなと考えて
通学を始めました。必要の波が再び来たときに、残していた接点を再起動した形です。40代の学び直しは、ゼロから始めるのではなく「必要が来たから再開する」という入り方が自然に起きます。細くても接点が残っていれば、再起動は軽くなります。
続け方——週末固定・マイペース・楽しむ
佐々木さんの通学パターンは明確です。
現在は一時的に月額コースで月4回程通っていますが、基本的には1ヶ月に6〜7回、ほぼ毎週土曜日か日曜日に来ています
重要なのは、ここに意志の力がないということです。
ストイックなタイプではないので、週末にゆっくりでリラックスした雰囲気でミライズ英会話 渋谷校に英語を勉強しに来ています
この言葉に、自分を無理に追い込まない学習スタイルが出ています。週末という決まった導線に学習を置いたから、ストイックさがなくても続いています。
先生の使い方にも、飽きさせない工夫があります。
みなさん発音はキレイですけどやはり特徴があるので、Enya先生だけの話し方だけに慣れるのも良くないと思います。ですので、色々な先生とレッスンをして、違った発音を聞いたり、物の考え方や見方を学べると面白いので、たまに先生を変えています
同じ先生に固定せず、違う発音・違う視点に触れること自体を面白がる。学習を娯楽の側に寄せる姿勢が、ここにも出ています。
自習も同じロジックで組まれています。
参考書とかは飽きやすいので、続けていることで言えばBBCとかCNNの海外のドキュメンタリーやトラベルショーを欠かさず見ていたりします
「あとは、移動するタイミングでpodcastでアメリカ人が英語学習や最近のトレンドについて駄弁っているのが、面白くて聞いています」。
教材ではなく、飽きない娯楽のほうを英語に置き換える。この工夫が週末の学習を支えています。
宿題への向き合い方にも、無理のなさが出ています。
週末ならやる時間があるのでもっと出してもらっていいんですけど、あまり出ないです(笑)。恐らく、私ののんびりしている性格を理解してくれているんだと思います(笑)。
自分のペースを隠さず、そのペースごと学習の形に組み込んでいます。
レッスンの選択も、必要に応じて変わります。
Enya先生は、とても落ち着いた話し方をしていて、すごく聞きやすいです。あとは、例えば発音のレッスンをやりたいと行ったら用意してくれますし、気まぐれで2週間後にTOEICを受けることを話したら、TOEIC用のレッスンを準備してくれたこともあって、とても融通を利かせてくれています
スクール側が受け身ではなく、学習者の「その時の必要」に合わせてレッスン内容を変える。この柔軟性があれば、マイペースな学習も成立します。
変化——メールが短くなり、聞き返さなくなった
変化を、本人はこう測っています。
セブ留学をしていた時に比べて、聞き取れるようになったと思います。聞き返す事がなくなってきたように思えます
日常の仕事でいちばん目に見える変化は、英文メールでした。
主に仕事では英語のEmailを使うことが多いのですが、Emailも昔は意味もなく長い文章を書いていたのですが、今は『この文いらないな』とシンプルにできるようになりました
仕事で使う場面から逆算して、レッスンも選んでいます。
Sharon先生はライティングが上手だと聞いたので、Emailでライティングを使うので、レッスンを受けてみたんですけれども、とてもためになるレッスンでした
メールという自分の実務が、そのまま教材になっています。
実践の場でも変わりました。
ツアーの大会の本番で現場に行くと、海外のお客さんと話す機会があるので、自分の伝えたい事がスムーズに伝えられます
現在地は、完成ではなく進行形のままです。
今は職場で担当しているチームには結構英語の精鋭たちが多くて、スピーキングがネイティブレベルの方とかがいます。私はだらだら頑張りながらやってきていますが、まだ伸び代もあり、目指す高みの人たちがいるので、まだまだ先に向けて挑戦していきたいと思います
この言葉は、40代が英語学習に入る時の心構えを示しています。完璧を目指さず、身近に高みがあれば、ペースを保ったまま前に進み続けることができるということです。
佐々木さんのやり方から、40代がそのまま使える設計を取り出します。
40代の学習方法——続く形を選ぶ・仕事を教材にする・生活に埋め込む
40代がそのまま使える設計は、3つです。
波が引いても続く形を先に決めること、仕事の場面をそのまま教材にすること、娯楽の中に英語を埋め込むこと。この3つで、忙しさの中でも学習が残ります。
決め方1. 続く形を先に選ぶ——費用対効果と導線
辻さんの結論は一貫しています。「英語に限らず全ての勉学において継続力が大事だと思います」。そして続く実感も正直です。
じわじわとは感じます。ただやはり、毎日英語に触れる環境を作らないと実感するのが難しそうです。継続力が大事だと改めて感じます
40代で学習が続くかどうかは、英語のレベルではなく形で決まります。
40代の挫折パターンは決まっています。仕事の波、子どもの行事、予期しない忙しさ——それらが英語学習を必要としていた時期を過ぎると、モチベーションも一緒に引いていきます。月々の負担が重い、スクールが遠い、決まった時間に通えない——そうした条件の重さは、波が引いた瞬間にやめる理由になります。逆に、続けられる条件を先に揃えておけば、必要が消えても学習だけは残ります。
1つめは、月額・場所・時間帯を「忙しい月でも維持できるか」で選ぶことです。
2つめは、生活の導線に固定することです。例えば毎週金曜日の18時、毎週末の朝8時。時間帯が決まれば、その枠を埋める営みが習慣になります。
3つめは、短期集中で環境を作ることです。留学や集中講座は、必要が高まった波の立ち上がりで使います。
実際、辻さん自身がこの3つめ→1つめの順で動いています。まず「2週間フィリピン留学をして、みっちり英語の勉強をすることができました」と集中で立ち上げ、「セブ留学が終わって、日本に帰ってきてから継続的に英語を勉強しないといけないと考えていた所」で、続けられる費用対効果の通学へ移行しました。立ち上げは集中、維持は続く形。この使い分けです。
決め方2. 仕事の場面をそのまま教材にする
辻さんはビジネス英語の勉強方法をこう説明しています。
テキストをメインとしてビジネス英語を勉強しています。仕事のシチュエーションに合わせて英語でロープレをすることが多いです
具体的には「『プロジェクトはどのくらい進んでいますか?』『発注が終わって何日後には終了する予定です』といった実用的な英語を練習しています」と話しています。
転職活動中の林さん(40代・元航空会社勤務)は、英文レジュメの添削をレッスンの軸にしています。
自分でレジュメを書こうとすると日本人らしさが出てしまって、正しい英語を使っていても強調するべきポイントがずれてしまっていることがあるので、先生のアドバイスがとても助かっています
アパレルで働くJ.Eさんは、接客英語を想定練習の中心にしています。
英会話レッスンで様々な想定をして、接客中の英語を使ったやりとりなどを時間をかけて丁寧に教えていただいたので、それが仕事中にぱっと浮かんで来るタイミングが増えましたね
40代には20年分の仕事の場面があります。営業の電話、顧客との会議、メール対応、接客——市販の教材にある「いつか使う英語」ではなく、明日の会議、明日の接客を教材にする。覚えたその週に使う場面が来るので、その英語は忘れません。
1つめは、診断で決めた場面の「実際のやり取り」を、これから1〜2週間の予定から書き出すこと。2つめは、その場面をレッスンや練習相手にそのままリクエストすること。3つめは、使えた表現と詰まった表現を、次のレッスンに持ち帰ること。この小さな回転が、仕事の場面と学習をつなげます。
決め方3. 飽きない娯楽で英語を生活に埋め込む
40代が英語に触れる時間は、学習時間だけではありません。佐々木さんが続けるBBC、CNN、podcastがそれです。辻さんも、YouTubeからTEDへ選び直しました。
以前YouTubeを使って英語に耳を慣らしていましたが、最近はJesy先生に勧められてTEDを見るようにしています。TEDは様々なジャンルのプレゼンテーションが見れるので、勉強になりますね
参考書やテキストは「勉強」です。だから必要の波が引くと止まります。ドキュメンタリーやpodcast、TEDのプレゼンは娯楽です。興味があるから見る。だから必要が引いても、生活の中に残ります。学習をやめてもインプットが続く状態が、次の波が来たときの再起動を軽くします。
1つめは、好きなジャンルの英語番組を1つ決めて、習慣の中に置くこと。2つめは、移動時間をpodcastに固定すること。通勤や運動の時間にBBCやニュースpodcastを流します。3つめは、「教材を消化する」という発想を捨てること。「面白いから見る」ものだけが、生活に残ります。
基礎からやり直す道もあります。40代・事務職の由美子さんは正直にこう話しています。
最近は英語の文法をずっと勉強しているんですけど、英文法の正しい知識がもともとないので学ぶのに少し難しさを感じています
「英文法だけでなく英単語量の少なさも弱点なので言いたいことが英語で言えないときがまだまだあります」。40代のやり直しで、基礎の壁は実際に現れます。ただし、由美子さんはアプリや単語帳で補いながら、3つの設計の中で続けています。壁はありますが、続ける設計の中で埋められます。
自分の「続く形」がどれか——週末固定型か、短期集中で立ち上げる型か、オンラインで毎日触れる型か——は、一人では判断がつきにくいものです。学習設計の相談から入る方法があります(記事の最後に案内があります)。
この設計で続けた40代が、どこまで行けるのか。最後に並べます。
「知っている英語」を、話せる英語に。シャベリッシュの無料カウンセリングでは、スピーキングの現在地診断と、期日から逆算した学習プランをお持ち帰りいただけます。無料カウンセリングを予約する「40代からでは遅い」を覆した人たち——仕事の幅と、次の景色
40代から続けた英語がどこまで変わるのかを、5人の進行形の言葉で見ていきます。完成の宣言ではなく、現場で使いながら進んでいく姿です。
接客の現場が変わった——単語から、場面へ
アパレル業界で働くJ.Eさん(40代)は、外国のお客さまとのやりとりのために英会話を始めました。始める前の接客は、本人いわく「シンプルな英単語でなんとかやりとりしてました」という状態です。
受講後の変化を、J.Eさんはこう実感しています。
そうですね、英語の聞き取りはすごくしやすくなったと思います
レッスンで接客の場面を想定して学んだ表現が、実務でぱっと浮かぶタイミングも増えました。単語の羅列だった接客が、会話になりました。
「あと、英語を勉強したことで仕事の幅は広がったと思います」
正直な現在地も添えられています。
イレギュラーなことだとまだ英単語が浮かばなかったりするんですけど
完成ではありません。それでも、仕事の現場を知っている40代に英語が加わると、できることが増えます。
15年のブランクから、仕事の環境へ
元航空会社勤務の林さんは、異動で英語を使う機会が減り、スキルが落ちていく危機感から動きました。友人の勧めでセブ島留学に踏み切り、帰国後は英語力を維持する環境として通学を続けています。いまは前章で見た通り、転職活動の英文レジュメをレッスンで仕上げる段階まで来ています。危機感から始まった学習が、キャリアの次の一手を支えるものに変わりました。
一方、40代前後に一度英語を学び、海外出張が途絶えてから15年以上ブランクを経た大江さん(いま64歳)は、セブ島留学で学び直しを始め、英語への抵抗感が消えていきました。
「徐々に英語を喋ることへの抵抗感みたいなものがなくなってきて、英語に対する自信もついてきた感じはありますかね。」
変化は教室の外にも出ています。
外にでて現地の人達との会話で以前より英語でコミュニケーションが取れているなと感じられることが多くなりました
本人は「英語の勉強の仕方も少し分かってきた気がします」とも言います。そして何より大事な変化は、この「学び方そのもの」を手に入れたことです。
「このセブ島留学期間に取りためたPhrase/ノートは自分にとってはSpeaking上の大きな財産だと思っています。」
ブランクのあとの学び直しで手に入るのは、点数ではなく、波に流されない学び方そのものです。
「1番年上かな」と思っていた側から——40代が背中を押す現場
原田さんは、元グランドスタッフとして空港で働き、いまは医療アシスタンスの現場にいます。「もっと英語ができれば、できる業務が増えるのになと」と思い続けてきた人です。
「セブ島留学前は正直「自分が1番年上かな」と思っていたのですが、社会人留学のミライズ留学では先輩方が多くてとても刺激を受けました。30代40代でも生き生きと目標を持っていらっしゃる方ばかりなので、私もそのように成長していけたらと思うようになりました。」
原田さんの視点は、40代読者とは少し違います。留学前は「自分がいちばん年上かな」と思っていた——と本人は振り返ります。ところが現場に集まるのは、30代・40代で目標を持って学ぶ先輩方ばかり。若い世代が人生の先輩として見上げる学びの姿が、そこにはあります。
40代は「遅い側」ではありません。学びの現場では、むしろ年下の学習者が見上げる「目標を持って学ぶ側」になれます。
誰も完成を宣言していない
主役の佐々木さんの職場には、スピーキングがネイティブレベルの同僚もいます。その環境で、現在地をこう表現します。
「私はだらだら頑張りながらやってきていますが、まだ伸び代もあり、目指す高みの人たちがいるので、まだまだ先に向けて挑戦していきたいと思います。」
J.Eさんも、林さんも、大江さんも、原田さんも、誰も完成を宣言していません。接客で単語が浮かばない日もあれば、レジュメを先生に直してもらう途中でもあります。それでも全員が、仕事の現場で使いながら進んでいます。
その進み方が、40代だからこそのものです。焦らず、できることから始め、現場で使いながら広げていく。仕事の場面という教材を20年分持っていて、必要の波がどう来るかも知っている——40代は「遅い側」どころか、学び直しに一番向いた条件を揃えています。
最後に、今日からの始め方を整理します。
まとめ|40代の英語は、記憶力との勝負ではなく「続く形」をつくることで決まる
「40代 英語」で検索する人が抱いている不安は、記憶力の問題ではありません。「また続かないのでは」という過去の経験のほうです。
20代や30代でも学習は止まります。40代だからこそ、その繰り返しを防ぐ仕組みが要ります。
では、続かない理由は何か。それは「やるべき形」を決める前に、勉強方法だけを探すからです。記事内で見てきた受講者たちは、共通して「形」を先に設計していました。
40代がこれから英語を始める時は、次の4つのステップで進めることをお勧めします。
まず最初に、自分の場面を1つ決めることです。取引先の来日時の会議か、月1回の国際電話か、来客への簡単な接客か、あるいはキャリア要件としての受験か。漠然とした「英語力」ではなく、「この場面が変わる」という具体的なゴールが、学習を続ける力になります。
次に、忙しい月でも続けられる「形」を先に選びます。週末固定なのか、朝の30分なのか、通勤中なのか。その形に英語学習を埋め込めば、意志とは無関係に続く設計になります。
3つ目に、仕事の場面をそのまま教材にすることです。実際の相手のメール、実際の会議の会話、実際の資料。これらをレッスンで扱うだけで、「勉強している感」が消えて、仕事の一部になります。
最後に、参考書ではなく飽きない娯楽で英語を生活に埋め込むことです。日本語で見ていたドキュメンタリーを英語で見る、聞いていたpodcastを英語版に変える。それだけで、教材を探す時間が要らなくなります。
これらの4つは、特別な才能を必要としません。受講者たちに共通していたのは、特別な学習習慣ではなく、仕事の進め方のほうが変わっていったことです。
「日本人の英会話ポテンシャル実態調査」では、英語で伝える自信がある日本人は7.7%でした。自信のなさは、40代のハンデではなく、多くの日本人が持ち越してきた当たり前の状態です。
それでも、必要の波は今も来ています。その波の前で「また続かないのでは」と止まるのか、それとも「続く形」を用意して迎えるのか——その差が、仕事の景色を変えるかどうかを決めます。佐々木さんの週末マイペースがその実例であるように、今回は波に流されない形から作る。それが、40代の英語学習の入り方です。
